「VILTROX AF 9mm F2.8」のレビュー第四回 諸収差編を公開。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(1か月)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
色収差やコマ収差などは良好に補正されており、明るい広角レンズで気になる像面湾曲も問題無し。
小型軽量かつ低価格な「9mm F2.8」ですが、これと言って致命的な弱点がありません。敢えて言えば複雑な歪曲収差が厄介ですが、全体的に見れば影響は軽微で無視できる範囲内。プロファイルがあれば簡単に修正可能な収差です。
Chromatic aberration and coma aberration are well corrected, and there is no issue with field curvature—a common concern with bright wide-angle lenses.
Although the ‘9mm F2.8’ is compact, lightweight and affordable, it has no particular fatal flaws. If I had to mention one, complex distortion is a bit of a nuisance, but overall its impact is minor and negligible. It is a type of aberration that can be easily corrected with a profile.
*当ブログのレビューは冒頭に断りが無い限り、自費購入となっています。
VILTROX AF 9mm F2.8のレビュー一覧
- VILTROX AF 9mm F2.8 Air レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 9mm F2.8 Air レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 9mm F2.8 Air レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 9mm F2.8 Air レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
ピント位置による解像性能の変化は目立ちません。像面湾曲は遠景において良く補正されています。
- 中央合わせ
- 隅合わせ
- 中央合わせ
- 隅合わせ
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
軽微な影響が残っていますが、実写で大きな問題とはなりません。現像ソフトなどで簡単に修正可能。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
F2.8から影響は穏やかで無視できる範囲内。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認

周辺部で穏やかな樽型、フレーム隅で糸巻き型となる複雑な歪曲収差です。手動補正は難しいので、レンズプロファイルでの修正が必要。ただし、影響が穏やかであるため、無修正でも目立たない場合が多いです。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
点像再現性に若干の影響が見られるものの、全体像からすると目立ちません。点像を重視する場合はF4まで絞ったほうが良いでしょう。
球面収差
前後のボケ質に大きな違いはありません。収差は良好に補正されています。
まとめ

色収差やコマ収差などは良好に補正されており、明るい広角レンズで気になる像面湾曲も問題無し。
小型軽量かつ低価格な「9mm F2.8」ですが、これと言って致命的な弱点がありません。敢えて言えば複雑な歪曲収差が厄介ですが、全体的に見れば影響は軽微で無視できる範囲内。プロファイルがあれば簡単に修正可能な収差です。
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