このページでは「Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8」のレビューを掲載しています。
Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8のレビュー一覧
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビュー完全版
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.5 ボケ編
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.4 諸収差編
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
レンズの評価
| ポイント | 評価 | コメント |
| 価格 | 比較的安い | |
| サイズ | インナーズーム・小型 | |
| 重量 | 軽いほう | |
| 操作性 | 完璧ではないが充実 | |
| AF性能 | 適度な速度・精度 | |
| 解像性能 | 絞れば良好だが近距離で低下 | |
| ボケ | 全体的に使いやすい描写 | |
| 色収差 | 広角以外は良好 | |
| 歪曲収差 | 穏やかな糸巻き型 | |
| コマ収差・非点収差 | 全体的に穏やかな影響 | |
| 周辺減光 | サイズを考慮すると穏やかな影響 | |
| 逆光耐性 | ゴーストは目立つがフレアは少なめ | |
| 満足度 | 普通に使えて携帯性抜群の大口径ズーム |
評価:
ポイント
普通に使えて携帯性抜群の大口径ズーム
きちんと使える小型軽量な大口径ズームレンズ。
全長の変化がないインナーズーム構造である点はこの種の製品で珍しく特徴的。携帯性・収納性・密閉性の観点から有利。光学性能は完璧ではないものの使い勝手の良い描写。価格も「てごろ」と言える水準に抑えられています。
非ライセンスのため互換性の問題はつきまといますが、最新機種で問題なく使うことができました。カメラのファームウェア更新時に問題が発生したとしても、(Thypoch次第ですが)USBポート経由でレンズ側のファームウェアで対応可能となっています。
A compact, lightweight, large-aperture zoom lens that performs reliably.
Its inner-zoom design, which maintains a constant overall length, is a rare and distinctive feature for this type of product. This offers advantages in terms of portability, storage, and weather sealing. While the optical performance isn’t perfect, it delivers images that are easy to work with. The price is also kept at a reasonable level.
Since it’s an unlicensed product, compatibility issues are inevitable, but I was able to use it without any problems on the latest camera models. Even if issues arise when updating the camera’s firmware, the lens’s firmware can be updated via the USB port (depending on Thypoch).
まえがき
- 発売日:2026.9.11
- 焦点工房
- データベース
- 管理人のFlickr
中国レンズメーカー初となるミラーレス用のAFズームレンズ。
これまでAFレンズとは無縁だった光学ブランド「Thypoch」からまさかのリリースとなりました。
シネレンズブランド「DZOFILM」で培ってきた技術を活かしていると思われます。小型軽量な筐体とインナーズーム方式を両立しつつ、「24-50mm F2.8」標準大口径ズームレンズを実現。インナーズーム構造は防塵防滴仕様と相性が良く、IP52水準の耐候性を発揮するとのこと。
競合製品がひしめき合うカテゴリですが、独自色を出しつつ手頃な価格を実現しています。
主な仕様
| 発売日 | 2026年6月 |
| 初値 | 99,000円 |
| レンズマウント | E |
| 対応センサー | フルサイズ |
| 焦点距離 | 24-50mm |
| レンズ構成 | 13群16枚 |
| 開放絞り | F2.8 |
| 最小絞り | F22 |
| 絞り羽根 | 10枚 |
| 最短撮影距離 | 0.3m |
| 最大撮影倍率 | 0.216倍 |
| フィルター径 | 67mm |
| 手振れ補正 | - |
| テレコン | - |
| コーティング | 情報なし |
| サイズ | Φ70×92.8mm |
| 重量 | 432g |
| 防塵防滴 | |
| AF | STM |
| 絞りリング | 搭載 |
| その他のコントロール | Fnボタン AF/MF |
| 付属品 | レンズフード |
価格のチェック
| Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 | |
| 楽天市場 | Amazon |
| カメラのキタムラ | |
| 楽天市場中古 | |
| カメラのキタムラ中古 | |
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品

淡い紺色を基調としたシンプルなデザイン。色は異なりますが、VI刷新後のシグマ外箱とよく似ています。

レンズ本体のほか、レンズフードと前後キャップ、書類が付属します。
外観

外装はプラスチック製の鏡筒とゴム製のコントロールリング。日本メーカーのズームレンズと比べて遜色ありません。厳密には異なるものの、シグマの影響を受けていると思われるデザインです(絞りリングなど)。
意匠は最小限ですが個性的。特に二つのコントロールリングには斜めのラインでグリップを強化した珍しいデザイン。往年のミノルタレンズと似ています。
側面にはThypochを示すロゴやバッジがあります。マウント付近にはシリアルナンバーや設計・製造がThypochであることを示すプリントあり。独特のフォントを採用しており、文字を読みづらいのが難点。
ハンズオン

| サイズ | 重量 | |
| Thypoch | Φ70×92.8mm | 432g |
| FE 24-50mm | φ74.8×92.3mm | 440g |
| 28-70mm DG | φ72.2 x 101.5mm | 470g |
| 20-40mm VXD | φ74.4×86.5mm | 365g |
| S 24-6mm | φ84.07 x 99.82 mm | 544g |
ソニー「FE 24-50mm F2.8 G」やシグマ「28-70mm F2.8 DG DN」とよく似た重量です。競合製品と同程度のサイズ・重量を維持しつつ、ズーム操作で全長の変化がないインナーズーム構造を実現。
24mmでも50mmでも、このサイズ。
前玉・後玉

レンズのロゴはシリアルナンバーと同じフォントを採用しており、やや読み取りにくい。「Thypoch」のロゴとフォントが異なっているのが少し気になります。
防塵防滴仕様ですが、レンズ前面にフッ素コーティング処理が施されている記述は確認できません。前玉へのダメージが想定される場合は保護フィルターを装着したほうが良いでしょう。
インナーズーム・インナーフォーカス構造のため、フィルター取り付け部分が前方へ伸びたり、回転することはありません。

金属製レンズマウントは4本のネジで本体に固定。マウントには防塵防滴用のゴムリングやファームウェア更新用のUSB-Cポートがあります。内側にはフレアカッターを装備。
フォーカスリング

大きめのゴム製カバーを備えたフォーカスリングを搭載。ソニー純正レンズよりも適度なトルク感のあるコントロールです。
レスポンスはリング操作に対してリニアな反応を示します。回転速度に関わらず、ピント全域を約360度で操作可能。焦点距離によるストロークの変化が無いので使いやすい。
ステッピングモーターによる動作は滑らか。
ズームリング

適度なサイズのズームリングを搭載。インナーズームのレンズながら、しっかりとしたトルク感があります。滑らかに回転しますが、ズーム中間域でトルク感が僅かに変化、動画撮影でズーム操作する場合は少し気になるかもしれません。
リングには5つの焦点距離「24/28/35/40/50 mm」を表示。
前述したように、焦点距離による全長の変化はありません。
絞りリング

マウント付近にシグマとよく似たデザインの絞りリングを搭載。グリップはローレット加工でしっかりと保持が可能。
適度なトルク感で1/3段刻みのクリックあり。クリック解除やAポジションでのロックは出来ません。
スイッチなど

側面にAF/MFスイッチとAFLボタンを搭載。どちらも問題なく使用できますが、AF/MFスイッチの位置は個人的に好みよりも少し下方向に配置されています。もう少し上にあっても良かったのかなと。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。必要最低限のデザインとサイズで邪魔になりません。ただし装着時の固定が緩く、使用時にフードが回転してしまうことがありました。
装着例

α7R Vに装着。
重量は1.1kg程度なので、片手持ちでの撮影も容易。ストラップで首や肩にかけても負担は少なめです。
ズームレンジは狭いものの、F2.8の標準大口径ズームレンズとしては小型軽量。カメラバッグに収納しやすく、インナーズームのため使用時も取り回しが容易。どの焦点距離で持ち歩いても、このサイズを維持しているのは魅力的。
必要な時はズーム操作、普段は使う焦点距離に合わせて単焦点レンズのように使うことが出来ます。
AF・MF
フォーカススピード
フォーカスユニットはステッピングモーターで動作。
ボイスコイルモーターと比べると電光石火とは言えませんが、動体撮影で極端なシーンを除けば十分なAF速度です。AF-C使用時はさらに速度が向上します。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
どのズーム域でもピント位置による画角の変化が目立ちます。素早いピント移動時に目立つ可能性あり。
24mm


35mm


50mm


精度
α7R V・α7 Vとの組み合わせで大きな問題はありません。非ライセンスのリバースエンジニアリングだと思われますが、問題無く動作しています。
不調を感じた場合はThypochのファームウェアアップデートを確認することをお勧めします。
2026.9.15時点でEマウントはVer1.3のファームウェアを配信。AF-Cの安定性向上やα7R VIの対応など。
MF
前述したように、ズーム全域で約360度のリニアレスポンス動作。動作は滑らかで快適に利用することが可能。
解像力チャート
撮影環境

テスト環境
- カメラボディ:
- 交換レンズ:
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ
・格納されたレンズプロファイル(外せない) - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
- 24mmは最短撮影距離が長く、定型チャートを所定の倍率で撮影できません。このため28mmよりテストを開始。
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
28mm

中央は非常にシャープですが、周辺や隅に向かって性能が大幅に低下します。像面湾曲の影響があるので、ピントを合わせる位置によって結果が変動。ただし、周辺や隅にピントを合わせたとしても良好な結果は期待できません。
安定した結果を得るためには、少なくともF8やF11まで絞りたいところ。
今回の結果はあくまでも「至近距離でのパフォーマンス」であって、一般的な撮影距離でのテスト結果と乖離している場合があります。とはいえ、本製品は至近距離におけるパフォーマンス低下が他社よりも少し目立つ印象あり。
数値確認
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 4552 | ||
| F4.0 | 4520 | ||
| F5.6 | 4486 | ||
| F8.0 | 4258 | 3041 | 2126 |
| F11 | 4178 | 2930 | 2835 |
| F16 | 4242 | 3529 | 3097 |
| F22 | 3999 | 3337 | 3256 |
35mm

引き続き、中央はF2.8から優れた結果が得られます。周辺や隅は絞り開放の結果こそ悪いものの、少し絞ると改善。F8-11まで絞れば、十分に実用的な結果となりました。
数値確認
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 4238 | ||
| F4.0 | 4744 | 2225 | |
| F5.6 | 4725 | 2838 | 2193 |
| F8.0 | 4691 | 3823 | 2958 |
| F11 | 4728 | 3873 | 3614 |
| F16 | 4372 | 3762 | 3358 |
| F22 | 3780 | 3491 | 3030 |
50mm

中央は望遠端でも優れた結果。周辺もまずまず良好ですが、F8まで絞ることで中央に近い結果となります。隅はF2.-4で甘いものの、F5.6-8で急速に改善します。
数値確認
| Center | Mid | Corner | |
| F2.8 | 4318 | 2930 | |
| F4.0 | 4825 | 3282 | |
| F5.6 | 4825 | 3746 | 2923 |
| F8.0 | 4824 | 4728 | 4110 |
| F11 | 4825 | 4490 | 4160 |
| F16 | 4527 | 4085 | 3996 |
| F22 | 3641 | 3611 | 3227 |
競合製品比較
ソニー「FE 24-50mm F2.8 G」と比較。
Thypockと比べると、近距離でも周辺や隅の性能がまずまず良好。どの焦点距離でも数値が得られるくらいには結像が安定しています。
遠景解像力
テスト環境

- 撮影日:2026.8.31 晴れ 微風
- カメラ:ILCE-7RM5
- 三脚:SIRUI AM324
- 雲台:アルカスイスZ1+
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Camera RAW 現像
- シャープネスオフ
- ノイズリダクションオフ
- レンズ補正オフ
24mm
中央

絞り開放から良好ですが、残存収差により僅かなコントラスト低下があります。無視できる範囲内ですが、ベストを尽くす場合はF4かF5.6まで絞りたいところ。
周辺

中央と比べると細部が少しソフトですが、F4まで絞るとシャープな結果。F5.6からF8のピークで中央に近いパフォーマンスを発揮します。
四隅

F2.8から細部の描写は安定しているものの、コントラストが低め。F4で改善し、F5.6で良好な結果が得られます。倍率色収差の影響は残るものの、絞って風景撮影であれば十分なパフォーマンス。
35mm
中央

ズーム中間域も良好な結果。F2.8は色収差の影響があるものの、F4まで絞ると改善します。F5.6やF8では細部まで優れた結果となります。
周辺

中央と同程度ですが、コントラスト低下が少し強い。F5.6以降でピークの結果が得られ、この際は中央とほぼ変わらない優れた性能です。
四隅

中央や周辺と比べると、流れるような描写で不安定に見えます。絞ると徐々に改善しますが、F8かそれ以上までしっかりと絞りたいところ。
50mm
中央

広角側やズーム中間と同じ傾向。色収差が目立たず、F2.8から良好なコントラスト。絞りによる変化は目立ちません。
周辺

中央と同程度ですが、コントラスト低下が少し強い。F5.6以降でピークの結果が得られ、この際は中央とほぼ変わらない優れた性能です。
四隅

ズーム中間域と同じく、絞り開放付近は細部の描写が不安定です。風景撮影で隅まできちんと撮影したい場合はF5.6を推奨。F8やF11まで絞るとさらに改善します。
像面湾曲
像面湾曲とは?
像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。
理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。
例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。
像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。
なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

ピント面が分かりやすいように加工しています。
実写で確認
遠景では問題ありませんが、近距離では中央と隅でピント位置が異なります。
倍率色収差
倍率色収差とは?
倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。
軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。
倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。
ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
24mm
絞り値に関係なく、フレーム隅で色収差が発生。過度に目立つわけではないものの、コントラストの高いシーンでは修正が必要と感じるかもしれません。幸いにも、自動補正しやすい収差のため問題と感じることは少ないはず。
35mm
広角側ほど色収差は目立ちません。補正無しでも、ほぼ問題無し。
50mm
このレンズで倍率色収差が最も目立たない焦点距離です。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。
軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。
また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

24mm
ピント位置の前後にわずかな色収差が発生していますが。実写では無視できる程度。1段絞るとほぼ解消します。
35mm
24mmと同程度。
50nnm
広角やズーム中間域よりも少し強めですが、実写で無視できる程度の影響に違いありません。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。
歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。
他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。
レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。
24mm
補正無しでも大部分は問題ありませんが、フレーム隅で部分的な糸巻き型歪曲の影響を受けているように見えます。ボディ側の補正を利用可能ですが、Adobe Camera RAW でレンズプロファイルはありません。
35mm
広角側よりも目立つ糸巻き型歪曲が発生します。依然として目立たない程度ですが、直線的な被写体を撮影する際は気になるかもしれません。
50mm
ズーム中間域よりもさらに強めの糸巻き型。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。
本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。
コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。
一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
実写で確認
ズーム全域で、絞り開放のフレーム隅に影響が見られます。軽微な問題ですが、完全に抑え込む場合は1段か2段絞る必要があります。
球面収差
球面収差とは
球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。
理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。
球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。
球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。
一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。
実写で確認
全体的に球面収差は良好に補正されているように見えます。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。
騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。
ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。
ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ
滲むように柔らかい描写ではないものの、縁どりが目立たず綺麗な質感のボケです。色収差の影響も少なめで、悪目立ちする要素がありません。
前ボケ
後ボケと同じ質感でニュートラルなボケ。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。
理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。
- 影響が強い
- 影響が弱い
また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。
- 前ボケ
- 後ボケ
実写で確認
ズーム全域で口径食は穏やか。縁取りは弱く、色収差の影響も少なめ。全体的に使い勝手の良い描写です。ただし、最短撮影距離が長いため50mm側以外で大きなボケが得られません。
ボケ実写
24mm
夢のような描写ではありませんが、広角 F2.8の描写としてはきちんとしています。ボケの縁取りが弱く、フレーム周辺部の悪目立ちも抑えられています。色収差の影響がいくらかありますが、許容範囲内。
撮影距離が長い場合にフレーム周辺部の描写が乱れますが、ボケが小さいため(大きくクロップしない限り)問題となりません。
35mm
近距離では全体的に滑らかで綺麗。全身ポートレートの距離感では背景が少し荒れるものの、ボケが小さいので気になりません。
50mm
35mmと同じ傾向。近距離は滑らかで綺麗、全身ポートレートの距離感では背景が荒れるものの、上半身やバストアップくらいまでなら許容範囲内。離れた撮影距離からのクロップは避けたいところ。
周辺減光
周辺減光とは?
周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。
本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。
周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。
一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。
- 良好
- 周辺減光
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
24mm
撮影距離に関わらず、一定の周辺減光が発生します。影響は穏やかですが、絞りによる改善は少なめ。気になる場合はレンズ補正などを利用する必要があります。
最短撮影距離
無限遠
35mm
傾向は24mmと同じですが、影響は穏やか。補正無しでも無視できる程度。
最短撮影距離
無限遠
50mm
35mmと同程度、僅かに影響が少ない。補正無しでも問題ありません。
最短撮影距離
無限遠
逆光耐性
逆光耐性とは
逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。
逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。
逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。
ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。
レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。
24mm
強い光源がフレームに入ると、絞りに関係なくゴーストが発生しやすい。フレアは良く抑えられています。
35mm
24mmと同じ傾向。
50mm
他の焦点距離と同じ。ただし画角が狭いため、影響が少ない位置に光源を配置しやすい。
光条
光条とは
光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。
光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。
光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。
一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。
レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。
実写で確認
絞りは10枚偶数のため、光条は10本。
回折の影響が少ない絞り値からシャープな光条が発生します。光の筋は均等に描写され、先細りする綺麗な形状。大口径ズームレンズとしては珍しい傾向。
まとめ

良かったところ
ココがおすすめ
- 手ごろな価格
- インナーズーム構造
- 外装の造りが良好
- 防塵防滴
- リニアレスポンスのMF
- 絞ると全体的に良好な遠景
- 色収差の大きな問題無し
- 穏やかな糸巻き型歪曲
- 穏やかなコマ収差
- 球面収差の問題無し
- ニュートラルで使いやすいボケ
- 口径食・周辺減光が穏やか
- 少し絞ると光条が綺麗
小型軽量かつ全長が伸びない構造の大口径ズームレンズ。
24mmでも50mmでも全長が一定で携帯性・収納性に優れています。鏡筒が伸び縮みしないため、防塵防滴仕様の観点でも有利。
肝心の光学性能も十分良好。インナーズーム構造や小型軽量の大きな代償となっていません。きちんとした解像性能とボケ質が得られ、諸収差の補正状態も悪くない。
悪かったところ
ココに注意
- 絞りリングのクリック解除なし
- 非ライセンス(ファームウェア互換性の問題が付きまとう)
- フォーカスブリージングが目立つ
- 近距離における周辺解像低下
- 最短撮影距離が長め
- 逆光時のゴーストが目立つ
構造上、動画向けのズームレンズに見えますが、絞りリングはクリック解除非対応で、フォーカスブリージング抑制も不十分。使えなくもないですが、万能ではありません。
光学性能の欠点がいくつかあるものの、これは限定的であり人によっては許容範囲内のはず。
最も注意したいのは、本製品が非ライセンスであること。現時点でα7 V ・α7R Vとの組み合わせで問題ありませんが、カメラ側の最新ファームウェア適用で動作しなくなる可能性があります。
(レンズ側のファームウェア更新で改善する可能性があります。)
結論

きちんと使える小型軽量な大口径ズームレンズ。
全長の変化がないインナーズーム構造である点はこの種の製品で珍しく特徴的。携帯性・収納性・密閉性の観点から有利。光学性能は完璧ではないものの使い勝手の良い描写。価格も「てごろ」と言える水準に抑えられています。
非ライセンスのため互換性の問題はつきまといますが、最新機種で問題なく使うことができました。カメラのファームウェア更新時に問題が発生したとしても、(Thypoch次第ですが)USBポート経由でレンズ側のファームウェアで対応可能となっています。
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購入を悩んでいる人
FE 24-50mm F2.8 G

ズーム操作で全長が伸びるものの、光学性能はより良好。特に近距離時の画質低下がThypochより抑えられています。ベストな選択肢ですが、販売価格はやや高め。
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28-70mm F2.8 DG DN

広角端が28mmですが、小型軽量で70mmまで焦点距離をカバー。中央はThypoch有利ですが、周辺・隅の安定感はシグマがやや有利。Eマウントライセンス下で開発されているため、Thypochよりも互換性が良好である可能性あり。
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購入早見表
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作例
関連レンズ
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