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Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8 レンズレビューVol.4 諸収差編

「Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8」のレビュー第四回 諸収差編を公開。

製品提供について

このレビューは焦点工房より無償提供(2か月)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

諸収差に関して致命的な問題はありません。完璧とも言えませんが、実写で問題と感じる場面は少ないと思います。色収差は目立たない程度に補正され、歪曲収差はほぼ良好で自動補正も利用可能。球面収差は適切に補正されています。

絞り開放の四隅でコマ収差が残存していますが、点像の再現性を追求しない限りは無視できる程度。像面湾曲は接写時に問題となるものの、近距離で平面的な被写体を撮影しない限り問題となりません。

全体的に見て、小型軽量ながら良好な補正状態です。

There are no critical issues regarding various types of aberrations. While it’s not perfect, I believe there are few situations in real-world photography where this would be a problem. Chromatic aberration is corrected to the point where it’s barely noticeable, distortion is generally well-controlled, and automatic correction is available. Spherical aberration is appropriately corrected.
Some coma aberration remains in the four corners at maximum aperture, but it is negligible unless you are specifically seeking the highest level of point image sharpness. Field curvature can be an issue during close-up photography, but it won’t be a problem unless you’re photographing flat subjects at close range.
Overall, despite its compact and lightweight design, it offers excellent correction.

Thypoch Voyager AF 24-50mm f/2.8のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。

理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。

例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。

像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。

なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

参考:ニコン 収差とは

ピント面が分かりやすいように加工しています。

実写で確認

遠景では問題ありませんが、近距離では中央と隅でピント位置が異なります。

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

24mm

絞り値に関係なく、フレーム隅で色収差が発生。過度に目立つわけではないものの、コントラストの高いシーンでは修正が必要と感じるかもしれません。幸いにも、自動補正しやすい収差のため問題と感じることは少ないはず。

35mm

広角側ほど色収差は目立ちません。補正無しでも、ほぼ問題無し。

50mm

このレンズで倍率色収差が最も目立たない焦点距離です。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

24mm

ピント位置の前後にわずかな色収差が発生していますが。実写では無視できる程度。1段絞るとほぼ解消します。

35mm

24mmと同程度。

50nnm

広角やズーム中間域よりも少し強めですが、実写で無視できる程度の影響に違いありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

24mm

補正無しでも大部分は問題ありませんが、フレーム隅で部分的な糸巻き型歪曲の影響を受けているように見えます。ボディ側の補正を利用可能ですが、Adobe Camera RAW でレンズプロファイルはありません。

35mm

広角側よりも目立つ糸巻き型歪曲が発生します。依然として目立たない程度ですが、直線的な被写体を撮影する際は気になるかもしれません。

50mm

ズーム中間域よりもさらに強めの糸巻き型。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ズーム全域で、絞り開放のフレーム隅に影響が見られます。軽微な問題ですが、完全に抑え込む場合は1段か2段絞る必要があります。

球面収差

球面収差とは

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

実写で確認

全体的に球面収差は良好に補正されているように見えます。

まとめ

諸収差に関して致命的な問題はありません。完璧とも言えませんが、実写で問題と感じる場面は少ないと思います。色収差は目立たない程度に補正され、歪曲収差はほぼ良好で自動補正も利用可能。球面収差は適切に補正されています。

絞り開放の四隅でコマ収差が残存していますが、点像の再現性を追求しない限りは無視できる程度。像面湾曲は接写時に問題となるものの、近距離で平面的な被写体を撮影しない限り問題となりません。

全体的に見て、小型軽量ながら良好な補正状態です。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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