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AstrHori AF 27mm F2.8 レンズレビュー Vol.4 減光・逆光・ボケ編

「AstrHori AF 27mm F2.8」のレビュー第四弾 ボケ・減光・逆光編を公開しました。

おことわり

E&Iクリエイション株式会社より無償貸与の製品を使用しています。
レビューにあたり金銭の授受や内容への指示は全くなかったことを明記しておきます。

今回のまとめ

口径食が目立つものの、後ボケは滑らかで使いやすい。周辺減光は常時目立つので補正必須。逆光はまずまず良好ですが完璧ではなく、絞った際の光条はシャープで綺麗。

AstrHori AF 27mm F2.8のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

輪郭が目立たない滑らかで柔らかい描写。軸上色収差による色づきが少なく、使い勝手が良好。

前ボケ

後ボケと比べると硬めですが、色収差の影響が少なく悪目立ちしていません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

玉ボケの内側は滑らかですが、若干の縁取りと目立つ口径食があります。口径食は2段絞ると改善しますが、6枚の絞り羽根で角ばりやすい。

ボケ実写

至近距離

滑らかで綺麗なボケ。口径食は強いものの、近距離では問題が目立ちません。

近距離

撮影距離が長いと口径食が目立ち始めます。しかし色収差が極小で、縁どりが弱いので騒がしい描写ではありません。

中距離

撮影距離が長い場合でも健闘しています。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。「27mm F2.8」という性質上、ボケを得やすいレンズではありません。十分なボケを得るにはバストアップくらいまで近寄る必要があります。ボケ質はこれまで通り使い勝手が良好。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

近距離でも絞り開放でやや目立ちます。F4まで絞っても解消しないため、状況によっては現像ソフトなどで修正する必要があります。

無限遠

無限遠側ではさらに周辺減光が強まる。フラットなシーンではかなり目立つので補正必須。F4まで絞っても目立つ減光効果が残ります。

逆光耐性・光条

中央

TTArtisanや7Artisansと同じく、中国メーカーとしてはまずまず良好な結果。構成枚数が少ないシンプルな作りのためか、フレア・ゴーストはどちらも少なめ。

完璧とは言えないものの、フレアが過度に影響することは少ない。

光条

6枚偶数絞りのため、クロスフィルターのようにシャープで力強い光条が得られます。F8くらいまで分散する描写ですが、F11-F16まで絞れば先細りする見栄えの良い光条へ変化。

まとめ

携帯性が良く、低価格で中口径のレンズとしては良好な後ボケが得られます。極上とは言えませんが、滑らかで綺麗で、悪目立ちする要素が少ない。口径食は強めですが、そのようなシーンはボケが小さいので気にならない場合が多いはず。

周辺減光は絞り開放でかなり目立つため、状況によらず補正は常時適用がおススメ。特に無限遠の絞り開放付近が目立ち、絞ってもしつこく残ります。

逆光耐性は状況にもよりますが、フレアは良く抑えられています。この点でTTArtisanや7Artisansよりも良好。同じ光学系ですが、筐体の違いからくる性能差でしょうか?謎。光条は絞ると6本の目立つ描写ですが、しっかり絞らないと先端が分散します。
(下部に逆光シーンでフレアが目立った時の写真を掲載。完璧ではありません)

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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