まえがき
今年の初めにニコンのDXフォーマットでついに登場したハイエンドモデル『D500』。多くのスポーツ・野生動物の撮影に魅力的なスペックを持っている。
しかし、APS-Cクラスの一眼レフカメラとしては『EOS 7D Mark II』よりも高額な20万超えとなっている。
それに見合う性能は持ち合わせているものの、果たして自分自身にそれを使いこなせるだろうか?そして、それならば価格が落ち着いてきたD7200や中古価格がお手頃になっているD7100などを視野に入れている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回はそんな3台を見比べて、一体どれを買ったら良いのか?を考えたいと思います。
外観比較
正面
背面
D500とD7200/7100の操作性で大きく違う点は3つ。
- サブセレクター搭載(フォーカスポイント選択用レバー)
- チルト式液晶モニタ(しかもタッチパネル)
- ボタンイルミネーション(暗いシーンでボタンが光るFX機の機能)
上面
D500はD5やD810と同様の操作デザイン。
性能比較
詳細スペック
D500 | D7200 | D7100 | |
ローパスフィルター | 無 | ?無 | 無 |
有効画素 (画素ピッチ指数) |
2088万画素 (0.17) |
?2416万画素 (0.15) |
2410万画素 |
処理エンジン | EXPEED 5 | EXPEED 4 | EXPEED 3 |
RAW画質モード | 12・14bit ロスレス圧縮・圧縮・非圧縮 |
12・14bit ロスレス圧縮・圧縮 |
12・14bit ロスレス圧縮・圧縮 |
ISO感度 | 100-51200 拡張Hi5 1,640,000 拡張Lo 50 |
100-25600 拡張 102,400 |
100-6400 拡張 25,600 |
AF | 153点 (クロス99点 F8対応15点) |
51点 (クロス15点 F8対応1点) |
51点 (クロス15点 F8対応1点) |
検出輝度 | -4-20 | ?-3-19 | -2-19 |
速写 | 秒間10コマ | 秒間7コマ x1.3クロップ時 |
秒間7コマ x1.3クロップ時 |
連続撮影 | 200コマ (ロスレスRAW) |
18コマ (ロスレスRAW) |
6コマ (ロスレスRAW) |
測光 | 18万ピクセルRGB マルチパターン測光III |
?2016分割RGB マルチパターン測光II |
2016分割RGB マルチパターン測光II |
モニタ | 3.2型 236万ドット チルト液晶パネル タッチパネル採用 |
?3.2型 123万ドット 固定式 |
3.2型 123万ドット 固定式 |
ファインダー | 視野率100% 1.0倍(換算0.66倍) |
視野率100% 0.94倍(換算0.62倍) |
視野率100% 0.94倍(換算0.62倍) |
シャッター | 30-1/8000秒 (Mup時電子先幕可能) |
30-1/8000秒 | 30-1/8000秒 |
動画 | 4K UHD 30fps | ?FHD 60fps | ?FHD 30p |
メディア | XQD+SD | デュアルSD UHS-I対応 |
デュアルSD UHS-I対応 |
フラッシュ同調 | 1/250秒 | 1/250秒 | 1/250秒 |
WiFi | 対応 | 対応 | 未搭載(別売りオプション) |
Bluetooth | 対応 | ?非対応 | 非対応 |
ボディ | カーボン+マグネシウム モノコック構造 防塵防滴 |
?マグネシウムボディ 防塵防滴 |
マグネシウムボディ 防塵防滴 |
バッテリー | EN-EL18 | EN-EL15 | EN-EL15 |
サイズ | 147*115*81mm | 135.5*106.5*76mm | 135.5*106.5*76mm |
連続撮影 | 1240枚 | ?1110枚 | 950枚 |
重量 | 860g | 765g | 765g |
価格 2016.1.7現在 |
¥233,270 |
¥111,000 |
|
備考 | フリッカー低減 AWB3モード グループエリアAF ボタンイルミネーション 動画電子手ぶれ補正 電子先幕シャッター 2点拡大表示 10ピンターミナル NFC搭載 |
NFC搭載 |
画像処理エンジン
代を重ねるにつれて、画像処理エンジン『EXPEED』が進化している。
特にEXPEED 4では従来までよく言われていた「黄色被り」が緩和されて、やや寒色よりに調整されている。また、高感度時のノイズ処理など画質面での向上もあり「EXPEED 3」よりは「EXPEED 4」だろう。
D500には最新の「EXPEED 5」が搭載されているが、各種カメラ雑誌を見る限りでは「EXPEED 4」との大きな差はなさそうだ。主な改善点は高い演算処理能力を使って連写性能を高めているものと思われる。また、ホワイトバランス「オート1」に設定すればEXPEED 3世代の光原色を残したバランス型の設定も可能になっている点は便利。
ISO感度
D7100の常陽感度上限がD7100で2段、D500でさらに1段向上している。拡張感度はD500でかなりぶっ飛んだ数値になっているが、非常用と言った感じなので割り切る必要あある。
前述したように、画像処理エンジンによって高感度時のノイズ処理性能が日進月歩で改善されている。「新しい方が性能が良い」のは間違い無いだろう。
高感度性能比較
では実際のところはどうなのか?
機種名が切れてしまっているが、左上がD500、右上がD7200だ。右下が余ったので、同じくEXPEED 4を搭載しているD5500に登場してもらった。
ご覧のように、EXPEED 3のD7100がやや高感度域が不利な画質となっている。ISO1600~6400程度ではD500の処理性能に肉薄するD7200・D5500だが、徐々にノイズによる差が出始めているのが分かる。
AF・連写性能・追従性能比較
AF
D500の圧倒的性能
D500が測距点数(153点)と広範囲なエリアで圧倒的に差をつけている。D7200(D7100も同様)と比較するとそのカバーエリアは一回り広い。特にx1.3クロップした場合にはクロップ域をほぼカバー出来る程だ。DX機では初となるグループエリアAFを搭載しているのもD500の特徴。
さらに、暗所においても-4EV対応と従来モデルよりも性能が上がっているので、屋内や夕景・夜景にも効果的だ。さらに望遠レンズにテレコンバージョンレンズを付けた場合に必要なF8対応の測距点がD7200では1点だったものが15点に増加している。
D7200/7100はFX機D750と同様のモジュールを搭載
比較してD7200・D7100も負けてはいない。測距点数こそ少ないものの、それはFX機(D750)にも採用されている評価の高い『アドバンストマルチCAM3500II』センサーモジュールだ。51点で広範囲をカバーしており、D500と比べるとやや心もとないが競合他社機と比べるとかなり健闘していると言える。
F8対応の測距点は中央1点のみなので、テレコン使用時の使い勝手はやや制限される。暗所性能は-3EVは確保されているので、D500ほどでないにしろ健闘出来る性能だろう。
連写
D500が凄すぎるんです
豊富なバッファとXQDメディアとの連携ではRAWで200枚連写と言う従来機を突き放す性能を持っている。実際に連写するとあっという間にメディア容量が一杯になってしまうが、「ここぞ!」という場面で連写が詰まらないのはなんとも頼もしい限り。
速写性はこれまでのAPS-C最速と言われている「EOS 7D Mark II」同様で秒間10コマを叩き出している。バッテリーが7Vという電圧で、一眼レフ機で10コマを稼げるという超性能。
D7100では散々だったが、D7200で改善
D7100はRAW連写で6枚という少なさで詰まってしまう。競合他社と比較してこれはあんまりにも…という性能だったものの、D7200で競合クラス並みに改善されている。
速写性能はどちらも秒間6コマとD500に比べると少なく、競合他社と比較してもやや物足りない。とは言え、往年の連写機D300が秒間6コマだったりするので、こんなもんでしょう。
追従性
各種カメラ雑誌での比較記事に目を通すと、D7200がかなり健闘している。
稼げるコマ数が少ないので、その点でマイナスされているものの合掌率が高いので結果オーライな性能。
D500の性能は言わずもがな。AF微調整をし始めるときりがなさそうな印象は受ける。連写コマ数が稼げる分、合掌率が下がってしまうシーンもありそうだ。と言っても、合掌しているコマ数が結果的にD7200よりも多かったりする。つまるところ大容量メディア必須。
ファインダー・モニタ
ファインダー
そのファインダー性能はAPS-Cクラスの一眼レフでは最上となる倍率1.0倍を達成。とても見やすい光学ファインダーを備えている。ファインダー内の表示には有機ELを採用しているので、明るい屋外での視認性も良好だ。D5と同様にフッ素コート付きのアイピースが装着されている。
D7200も同様にファインダー内の表示には有機ELを採用している。ファインダー倍率はやや落ち、0.94倍となっている。
モニター
D500の可動モニタは便利
DX機では初となるチルト式液晶パネルに加えて、D5500で初導入されたタッチパネルがD500にも採用されている。
タッチシャッターが使えるので、リモコンが無くとも画面をソフトタッチする事で手ぶれを抑えてシャッターを切ることが出来る。
さらに、約123万ドットに比べて236万ドットと密度が倍になっているので、より細部の確認がし易いモニターだ。
D7200・7100は固定式
ローアングルやハイアングルではファインダーもモニターも確認出来ない撮影シーンがあると思われる。
従来機で不便さを感じなければ問題ないが、やはり動く液晶モニタは便利。これは実際に展示機を触って確認してみて欲しい。
その他機能
D500はボタンが光る
D500はFX機で好評だったボタンイルミネーション機能が搭載されている。
D500のフリッカー低減機能
屋内スポーツなどで連写を要する場合に人工照明で色再現にバラつきが発生する原因を緩和する機能。屋内スポーツの撮影が多いのであればD500だ。
通信関連
Buletoothが使えるD500
ニコンの最新機種で導入が進んでいるBluetoothに対応するシステムをD500も搭載している。WiFiと比べて低電力でスマホと常時接続を可能にしているので、画像の転送やスマホの位置情報を写真に追記するなどの飛び道具が利用可能。
WiFiを搭載したD7200
D7200はBuletoothこそ使えないものの、WiFiはしっかり搭載している。さらにニコン一眼レフとしては初となるNFC対応モデルでもあるので、接続方法も簡単で便利。
遠隔操作や写真の転送が可能だ。ただし、GPSを利用するには別途オプションパーツを購入する必要がある。
D7100はどちらも単体では不可能
D7100にはWiFiもGPSも搭載されていない。
買うならどれだ?
APS-C最強のD500
連写を重視するならベスト
EOS 7D Mark IIをぶっちぎり、APS-C一眼レフの頂点に立つ連写・速写モデル。もはや何も言うことが無い。
他にもフリッカー低減機能やボタンイルミネーション、AWB3モードなど追加機能がとても多い。D5には手が出ないものの、速写・安定感を極めたいのであればD500はそれに答えてくれる1台だ。
ボディ・アクセサリーも高いが、レンズの充実も必要
性能がぶっちぎりなら価格もぶっちぎり。現在のところ、APS-C(DX)機としてはとても高価な機種で、マルチパワーバッテリーパックもかなり高価なスペックになっている。
さらに、D500の性能を最大限に発揮するつもりならば、ボディ性能に加えてレンズ性能を底上げしておく必要がある。レンズ性能(AF速度)がキャップとなってしまい、追従性が低下してしまうとなると勿体ない。逆に、既に高性能レンズを所有しているならば、その性能を最大限に引き出せるスペックをこのD500は持ち合わせている。
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精度や描写性能は引けを取らない D7200
D500やD5の上を行く解像感
DXハイエンドの座をD500に譲ってしまったが、まだまだ現役の高性能モデルには違いない。
そもそもD500の他モデルをぶっちぎるスペックを使いこなせるのか、と疑問ならばD7200で大丈夫だろう。並みの連写性能とEXPEED 4の高感度耐性は中々のもので、描写性能だけで言えばD500とあまり変わらない。むしろ有効画素数が多い分、情報量の多い風景などでは有利。
D500の登場で「これはもうD7200終わったな」という空気が一時流れたものの、実はとてもパフォーマンスが高い1台。お値打ち価格になってきたので、ここら辺が買いごろ。
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?低感度ならまだまだ現役 D7100
処理エンジンの古さやバッファ量に致命的な差が発生しているものの、ローパスフィルターレスの2400万画素が織りなす高精細な描写はまだまだ現役。
連写しなければバッファも要らず、AF性能はD7200同様なので一発入魂で勝負すればそうそう大差は生まれないはず。風景メインで連写は極々まれというスタイルであれば頑張ってD500やD7200に行く理由があまり無い。
とは言っても、新品もあまり見なくなってきているので基本的には中古を探すしか無い(Amazonにはまだ新品の出品が残っている)。また、新品で1~2万円程度の差額であればD7200の方が良い(リセールバリューや高感度性能を考えると、長い目で見てD7200が良い)
変化球でEXPEED 4搭載のD5500・D5300やD3300という選択肢もあるが、防塵防滴や操作性を重視するならやっぱりD7100。
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