2022年2月9日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。おそらくCinemaEOS向けのズームレンズに装着すると思われる水中撮影用のアタッチメント光学系に関する特許となっています。
概要
- 【公開番号】特開2022-24363
- 【発明の名称】アタッチメント光学系、光学系、および光学系の製造方法
- 【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【住所又は居所】東京都大田区下丸子3丁目30番2号- 【課題】簡素な構成で、水中での使用の際に空気中での使用の場合と近い光学性能を得ることが可能なアタッチメント光学系を提供する。
- 【0002】
従来、撮像レンズに装着するためのアタッチメント光学系が知られている。また近年、水中での撮影を楽しむユーザが増え、水中での使用に最適に設計された撮像レンズの要求が高まっている。一般に、水中カメラや水陸両用カメラは、カメラを水中ハウジング内に収容したもの、またはカメラ自体に防水機構を施したものが使用されている。しかし、水や塩水は屈折率と分散が空気中とは異なり、例えばd線に対する屈折率は空気に対して約4/3であり、分散はアッベ数で62程度となる。このため、空気中において十分収差補正された撮像光学系を水中にて使用すると、水と撮像光学系が接する境界面での屈折作用が変化し、収差の変化により光学性能が低下する。- 【0005】
空気中の使用を前提として収差補正を行った光学系を水中で使用すると、前述のように収差が変化する。具体的には、像面湾曲のオーバー側への発生、歪曲収差の発生、および、ピント位置が像面後方にシフトしてピントを像面位置に戻すためにフォーカスレンズ群を繰り出す必要があることによる収差変動の発生などがある。また、収差の変化は、水中で使用し、光学系の前方に装着されるハウジングの厚さが厚くなるほど顕著となる。特許文献1や特許文献2に開示されたアタッチメント光学系では、前述の収差の変化の全てに対応することは困難であり、水中での使用の際に空気中での使用の際と近い光学性能を得ることができない。- 【0006】
そこで本発明は、簡素な構成で、水中での使用の際に空気中での使用の場合と近い光学性能を得ることが可能なアタッチメント光学系、光学系、および光学系の製造方法を提供することを目的とする。- 【0007】
本発明の一側面としてのアタッチメント光学系は、撮像光学系の物体側に装着可能な第1のコンバーター光学系を有し、前記第1のコンバーター光学系は、ドーム型カバーからなる第1のユニットと、複数のレンズからなる第2のユニットとを有し、前記第2のユニットは、前記第2のユニットにおいて最も前記第1のユニットに近い位置に配置された負の屈折力のレンズを有し、水中における前記第1のユニットの焦点距離fd、前記第2のユニットの焦点距離ffc、前記第2のユニットにおける前記負の屈折力のレンズの焦点距離fnは、所定の条件式を満足する。
実施例1
- 焦点距離:13.15-93.99
- F値:2.8-4.12
- 半画角:49.79-9.39
- 像高:15.55
- 全長:423.63
- バックフォーカス:20.64
実施例2(リアコンバーター無し)
- 焦点距離:14.06-99.33
- F値:2.80-3.61
- 半画角:47.87-8.90
- 像高:15.55
- 全長:390.30-390.41
- バックフォーカス:39.99-40.09
おそらくCinemaEOS向けのズームレンズに装着する水中用のアタッチメント光学系だと思われます。スチル向けでは無いと思うので参考までに(像高が15.55mmだったり、光学系の全長が400mmを超えていたり)
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