大型連休も終わりを告げて、やや落ち着きを取り戻した近所の公園にK-1片手てにお散歩してきた。
今回はKマウントのレンズで売れ筋となっている、タムロンの大口径望遠ズーム『SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO A001』と大口径標準ズーム『SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09) 』に『smc PENTAX-D FA マクロ 100mm F2.8 WR』の三本を携帯していった。
どのレンズもフルサイズ対応レンズとしてはかなり手頃な価格で手に入れる事ができる。「じゃあ写りはどうなのか?」と気になる方も多いと思われるので色々と試してみた。
K-1を手に入れた翌日にも一度持ちだして記事を書いているので、そちらも併せてお読みいただくと良いかもしれない。
Index
『SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO (Model A09) 』
通称魚住レンズと呼ばれるタムロンのレンズの中では息の長い標準ズーム。
現行レンズではペンタックスでもOEM(と思われる)として発売された手ぶれ補正搭載の『SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD』 に取って代わられている。Kマウント用は発売されていないので、現在手に入るのは旧式のA09だけだ。
2016年5月現在では3万円を切る価格で新品を入手出来ることもあって人気が高まっている。お陰様で在庫がなくなっている店も多く、安い店舗では既に納期未定のお取り寄せとなっている所も多い。
シグマのレンズと違って、画像データのEXIF情報に正確なレンズ名が登録されるのでLightroomなどで管理する時に楽だったりする。
現行のレンズと比べて、最大撮影倍率が高くかなりクウォーターマクロ以上で撮影する事が出来る。
大きめの花であれば画面一杯に写すことも出来るだろう。標準ズームといえば広角端で使う事が多いレンズだが、望遠端が使いやすいレンズなのでついつい75mmで撮影してしまう。
フォーカスリングの回転角が90°程度しか無いので、マニュアル操作はややシビアなコントロールを求められる。
リアルレゾリューションをオンで撮影してみたところ、中央や周辺は良く頑張っていると感じる。
四隅に関してはF8まで絞ってもやや甘いかなぁとは思うものの、等倍で鑑賞でもしない限りは気にならない程度。
中間域もまずまず良好。全域でF8程度まで絞れば安定した描写を得ることが出来る。絞り開放でボケと解像力の両立は難しく、やや甘い傾向にある。
また、ピントが微妙にズレる場合もあるのでそういう意味でも開放のピント面が緩く感じる時が多い。調整に出すか、諦めて絞るか、ボケを楽しむかの三択。
自分の撮影した画像を見直すと、結構絞っている写真が多い。
接写する場合は被写界深度を稼ぐために、中景・遠景は画質を安定させるためにそれぞれ絞るので、開放付近で撮影するのはシャッタースピードを稼ぐか大きめの被写体を撮影する時くらいだろう。シャッタースピードに関してはK-1の場合ISO感度でのカバー域も増えているので活用度は低い。
F値変動だが、『HD PENTAX-D FA28-105mm F3.5-5.6』という選択肢もある。中景~の風景写真や記録写真が多いのであれば、やや高いが現行の最新レンズの方が素直にオススメ出来ると思う。防滴という点を考えるとさらに汎用性は高い。
2,3万円のレンズを「酷使して使う」事に抵抗がなければ、使い勝手は良い。
『SP AF70-200mm F/2.8 Di LD [IF] MACRO A001』
APS-Cの2400万画素であるK-3で実写テストをしているので、頑張ってくれるだろうなとは分かっていた。
但し、コントラストAFに非対応だったり、フォーカスリングの回転角がA09同様小さかったりするのでピント面の追い込みに難儀する。
フレキシブルチルトを使ったローアングルやハイアングルでの応用が出来ない点は明らかにマイナス。
位相差AFでも「最後の微調整」的にピント面をやや前後させるので、動き物を捕捉するには不向きでストレスが溜まると思う。
いっそ絞って被写界深度を深めてしまい、ざっくりAFでピントが合うようにすると手っ取り早い。大口径レンズである意味が薄くなってしまうが…。
ピントさえガチっと合えば、なかなか良い写りをしてくれる。
A09に負けず劣らず、こちらも最大撮影倍率が高いレンズである事が特徴の一つとして挙げることが出来る。
テレマクロ的に使用すると背景をガッツリ溶かしこんで、被写体を浮き上がらせることが可能だ。相応にピント面は無いに等しく、ピント面も滲んでかなり甘いの「柔らかい表現」には向いているかもしれない。
広角端でF8まで絞り込んでの遠景。
周辺部の高コントラスト部でカラーフリンジが発生しているが、目立たない範囲でLightroomなどで修正できる範疇だと思う。
解像度は高くも無く、悪くも無く、といったところ。
我が家ではほぼ猫撮り用。但し、前述したようにフォーカシングの追い込み速度に難があり、「レリーズ優先」に設定しておかないとチャンスを逃す事もしばしば。
特に猫のアイレベルで撮影する場合にフレキシブルチルトを活用出来ないのはかなり痛い。
とは言え、実売5万円程度でフルサイズ対応の大口径望遠ズームと考えると、寛容的になれるような。資金的に余裕があれば、もちろん★70-200mmの方をオススメする。
『smc PENTAX-D FA マクロ 100mm F2.8 WR』
従来のペンタックス機ではかなり不便だったこの様なアングルでの撮影も、フレキシブルチルトのお陰でかなり快適になった。
マクロレンズを多様する身としては従来機との使い勝手は雲泥の差。バリアングルモニタのK-S2よりも良い。
APS-Cサイズにクロップすれば1.5倍マクロとなる。1600万画素程度と余裕があるので、クロップしても問題なく使える。
画像中央左をトリミングするとこんな感じ。
1600万画素をさらにトリミングしてもソコソコ使えそうだ。
昆虫撮影でもワーキングディスタンスを取りやすいので、現行のKマウントマクロレンズの中では使いやすいレンズだと思う。
但し、前述したタムロンA001と同じくピントの追い込み動作にややもたつく傾向がある。特に、屋外での撮影であればそよ風程度の揺らめきでもAFが決まるのに時間がかかる。「レリーズ優先」か「AFキャンセル」の設定はしておいた方が精神的に良い。
昆虫撮影においては「やっぱりAF内蔵の150mmや180mmのテレマクロ欲しいなぁ」が実際の所。
ピント面さえしっかり合っていればトリミングしても使うことは出来るのだけど…。
特殊レンズを使っていないためか、最新レンズと比べると色にじみが多いので、極端に切り抜きは難しそうだ。
急に蝶が飛び出してきた時はAvモードだとシャッタースピードが追いつかない場合が多い。
そんな時にTAvモードは絞り値を維持しつつ1/1000秒に設定するが出来た。高感度が強い機種なので、積極的にTAvモードを活用出来ると思う。
余談:被写界深度
フルサイズでマクロレンズを使うと被写界深度が浅くなる。と言うと極論になるが、小さいセンサーサイズのカメラと同様の大きさで被写体を撮ろうとすると、確実に被写界深度は浅くなる。
すると、そよ風でもピント面がガッツリ変わってしまい、ガチピンがかなり狙いにくい。
今回は同時にマイクロフォーサーズのE-M1でも撮影しており、150mm(換算300mm)で撮影したトンボが以下の画像
これをトリミングすると
こんな感じで被写界深度が深くパンフォーカスを狙いやすい。
それを考えると、フルサイズでのマクロレンズは難易度が高い。決まると会心の一撃となるが、被写界深度の調整と手振れ・被写体ブレの予防や対策を徹底する必要がある。
被写界深度が浅い事を逆手にとって、ボケを大きくした柔らかい写りはフルサイズならでは。パンフォーカスはあえて小さいセンサーに任せて、トロケるような柔らかいボケに専念した方が精神的に良いのかなと感じる。
現行でKマウント純正のフルサイズ対応のデジタル向け単焦点が「D FAマクロ50mm」「D FAマクロ100mm」であり、「この機会にマクロ撮影をしてみようかな」と思っている方がいれば参考にしてほしい。
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