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RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM 徹底レビュー完全版

このページではキヤノン「RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM」のレビューを掲載しています。

RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STMのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 非常に安い
サイズ 収納時はコンパクト
重量 非常に軽量
操作性 誤操作しやすい
AF性能 静かで高速AF
解像性能 接写時に大幅低下
ボケ 接写時は後ボケが滑らか
色収差 軸上色収差が目に付く
歪曲収差 18mmは補正必須
コマ収差・非点収差 まずまず良好
周辺減光 歪曲収差の補正前提
逆光耐性 ゴーストが少ない
満足度 キットレンズとしては良好

評価:

ポイント

小型軽量で手ごろな価格のキットレンズだ。外装の質感や光学性能に過度の期待は禁物だが、極端にパフォーマンスが低下するのは接写時の周辺部のみで、それ以外は概ね満足のいく結果が得られる。ただし、部分的にレンズ補正に依存している分野があるのでRAW現像時には注意が必要だ。

被写体の適正

被写体 適正 備考
人物 大きな被写体でボケを得るのが難しい
子供・動物 高速AFや静かな駆動系が役に立つ
風景 キットレンズとしては良好な解像性能
星景・夜景 まずまずだが積極的に選ぶレンズではない
旅行 収納性は非常に良好
マクロ ズーム全域で寄りやすい
建築物 18mmと画角が狭い・歪曲収差がキツイ

まえがき

EOS R7やEOS R10と共に登場したAPS-C EOS R初の交換レンズだ。焦点距離や開放F値はかなり割り切った仕様となっている点には注意が必要だが、沈胴構造やプラスチックマウントのおかげでAPS-Cミラーレスと相性の良いコンパクトで携帯性の高いレンズに仕上がっている。防塵防滴には非対応のため、EOS R7の耐候性を活かすのであれば別のレンズを探す必要がある。

概要
レンズの仕様
マウント RF 最短撮影距離 0.20m(AF)
0.15m(MF)
フォーマット APS-C 最大撮影倍率 0.16倍(AF)
0.26倍(MF)
焦点距離 18-45mm フィルター径 49mm
レンズ構成 7群7枚 手ぶれ補正 4.0段分
開放絞り F4.5-6.3 テレコン -
最小絞り F22-32 コーティング 不明
絞り羽根 7枚
サイズ・重量など
サイズ φ69.0×44.3mm 防塵防滴 -
重量 130g AF STM
その他
付属品
キャップ

レンズ構成は7群7枚で、そのうち2枚に非球面レンズを使用している。ニコンの8群9枚構成のZ DXレンズ「NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR」と比べるとシンプルな設計だ。レンズフードは付属していないので、欲しいのであれば用意しておく必要がある。純正フードは納期が不安定となっているが、EF-M15-45mmと同じフードを使用するため、Amazonなどで社外製のレンズフードを購入することが可能だ。

レンズフード EW-53
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価格のチェック

単品では4万円弱と高価だが、EOS R10のキットレンズとして購入すると1.5万円程度で購入することが出来る。個人的な見解として、単品4万円弱で購入するのはおススメしない。EOS R10を購入する際にキットレンズとして入手すると良いだろう。

RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

EOS R10のキットレンズとして入手したのでレンズ専用の箱に関する写真は無い。

レンズに関する付属品は前後のキャップのみだ。これは単品で入手しても同じであり、レンズフードは別途購入する必要がある。

外観

外装は全てプラスチックパーツで作られている。フォーカスリングやズームリングは滑り止めの加工が施されているもののプラスチック製だ。キットレンズとして入手した場合の価格を考慮すると許容範囲内と言ったところ。

高級感のある作りでは無いが、極端に安っぽい作りでもない。外装はしっかりとした作りでがたつきなどは見られない。後述するが二つの操作リングも感触は良好だ。

沈胴構造のため、使用時には内筒を伸ばして使う必要がある。内筒もプラスチック製で、最大でレンズの全長が2倍ほど伸びる(18mm時)。ニコンZ DXレンズと異なり、内筒は多段式ではなく単筒となっている。伸ばした際に内筒のがたつきは良く抑えられている。

小型軽量でしっかりとした作りだが、使用時に携帯性が良いとは言い難い。収納時にはレンズを格納する必要性が高い。ただし、ニコンZ DXレンズも沈胴構造から同程度まで内筒が伸びる。

ハンズオン

全長44.3mm、重量130gの小型軽量な標準ズームレンズだ。携帯性抜群だが、競合他社の沈胴式ズームレンズと比べて優位性が有るわけでは無い。ニコン・ソニー・富士フイルム各社のAPS-C用の沈胴式ズームレンズも似たようなサイズ・重量である(それに手ぶれ補正も搭載している)。それに広角端の焦点距離はキヤノンが最も長く、望遠端はニコンやソニーよりも短い。ズームレンジが最も狭いレンズであることを考慮するとサイズが少し大きすぎるように感じる。

前玉・後玉

前面にはエッチング加工が施されたレンズ名やフィルター径の表示が見える。一眼レフ時代と異なり、白文字のプリントでは無いのでフィルターに写りこみにくい。個人的には歓迎できるデザインだ。前玉は穏やかな球面でメンテナンスしやすい。フッ素コーティングは施されていないので、汚れの付着が予想できるのであれば、プロテクトフィルターを装着した方が良いだろう。

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フィルター径は49mmと小さい。RFレンズ最小はRF16mm F2.8やRF50mm F1.8の43mmである。今のところ49mm径はこのレンズのみであり、今後49mm径のレンズが増えていくのかどうかは分からない。

レンズマウントもプラスチック製だ。フルサイズ対応マウントの中でも大口径のRFマウントに対してAPS-Cフォーマットのレンズは奇妙かつ無駄に見える。この辺りはAPS-C専用マウントであるEOS Mシステムのほうがスマートだ。贅沢にも見えるフレアカッターの周囲にCEマークなどが施されているのは面白いデザインと言えるだろう。ちなみに製造国は台湾である。

フォーカスリング/コントロールリング

カメラ側でコントロールリングにもなるフォーカスリングにはローレット加工が施されている。ズームリングとは明らかに異なる感触であり、ファインダーを覗きながらでも識別は可能だ。識別は可能だが、ズームリングと隣り合っているためにズームリング操作時に触れてしまい誤操作しやすい。適度なトルクでフォーカス操作はしやすいが、誤操作を防ぐほどのトルクでは無いので気を付けたい(特にコントロールリング時)。ちなみにフォーカスリングのレスポンスはカメラ側で切り替えることが出来る。

回転量 回転速度
18mm 約180° 45°以下~180°
28mm 約180° 45°以下~180°
45mm 約180° 45°以下~270°

回転量に応じた移動量、いわゆるリニアレスポンス時はズーム全域でストロークが180°くらいに統一されているので使いやすい。ノンリニア時も概ねズーム全域で統一された操作感だ。

ズームリング

フォーカスリングとは感触が異なる加工が施されたズームリングを搭載。沈胴ポジションから18mm~45mmの間で操作することが出来る。沈胴ポジションにロック機構は無いが、沈胴と18mmの間には強めのトルクが発生するので誤操作の心配はない。ズーム時はフォーカスリングよりも少し強めのトルクが発生する。トルクのかかり方はズーム全域で一定だが、動画撮影に使えるほど滑らかに回転はしない。この辺りはニコンのキットレンズのほうが少し良好だ。最良は富士フイルムやソニーのような電動ズームである。

沈胴時にレンズは最も短くなり、18mmに展開した際に最大となる。ズーム操作で僅かに内筒が縮むが、基本的にはほぼ同じ全長となる。ズーム操作時の開放F値は以下の通りだ。

  • 18mm~:F4.5
  • 22mm~:F5.0
  • 30mm~:F5.6
  • 38mm~:F6.3

一般的な標準ズームと比べて広角端で2/3段暗く、望遠端で1/3段暗い。低照度で高速シャッタースピードの撮影は苦手なレンズと見て間違いない。

レンズフード

別売りのレンズフードEW-53は適正価格であれば1.5千円前後で入手可能だ。社外製の互換フードと価格差が少ないので、出来れば純正品を買いたいところである。ただし、在庫不足の場合も多いので注意が必要だ。

ちなみにJJC製のフードも手に入れてみた。純正と比べると少し光沢が強く見えるが、基本的には同じ形状で同じように使うことが出来る。

装着例

EOS R10に装着。小型軽量なボディと相性が良く、携帯性・収納性は非常に良好だ。前述した通り、沈胴構造を展開することでレンズが伸びる点には注意が必要だが、沈胴構造に物理ロックは無いので、素早く展開・格納が可能となっている。携帯性は良好だが、フォーカスリングとズームリングが隣り合っているので、誤操作は避けられない。特にコントロールリング設定は誤操作で設定が切り替わりやすいので「フォーカス」に設定しておくのがおススメだ。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用している。ナノUSM駆動ではないものの、EOS R7との組み合わせで最短撮影距離から無限遠まで電光石火でピントが移動する。EOS R7との組み合わせでフォーカスに迷いは無く、良好に動作する。ただし、前述したように開放F値が大きく、低照度は苦手なレンズである。日中で光量が問題ないシーンでは良好に動作するが、低照度ではAF性能が低下しやすいので注意が必要だ。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指す。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となる。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。
今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離と無限遠で撮影した結果が以下の通り。

18mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

画角変化が発生しているものの、目立つ量ではなく、実写で問題となるシーンは少ないはずだ。

28mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

18mmと同程度の画角変化が発生する。

45mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

18mmや28mmよりも少し目立つが、それでも大問題とは感じない。

精度

EOS R7やEOS R10と組み合わせている限りでは精度に問題は見られない。ただし、前述したように低照度では合焦速度が低下したり、精度が低下する可能性がある。

MF

適度なストロークで滑らかに操作することが出来る。ピーキングやフォーカスガイドなど便利な機能を利用可能だ。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:
  • 交換レンズ:
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 64 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

18mm

中央

中央は絞り開放から抜群の解像性能だ。3250万画素のAPS-Cセンサーで4000以上の数値を叩き出すレンズはそう多くない。開放からピークの解像性能を発揮し、F5.6までパフォーマンスが維持される。F8まで絞ると回折の影響で性能の低下が始まり、F11以降は急速に低下するのでできるなら避けたほうが良いだろう。

周辺

中央と比べると平凡な性能に見えるが、良好なパフォーマンスに違いは無い。F5.6まで絞ると少し改善し、以降はF11までピークの性能が続く。

四隅

中央や周辺部と比べるとパフォーマンスが悪くなり、画質は1グレード低下する。絞ることで改善は可能だが、ピークに達するまでかなり絞る必要がある。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.5 4071 2845 1999
F5.6 4116 3281 2173
F8.0 3465 3369 2462
F11 3285 3343 2868
F16 2678 2609 2549
F22 1964 2169 2036
実写確認

24mm

中央

絞り開放は18mmと似たようなパフォーマンスを発揮するが、絞ると徐々に低下する。やはり回折の影響が強くなるF11以降は出来るだけ避けたいところ。

周辺

18mmと同じく絞り開放から良好だ。絞っても改善しないが、F11までパフォーマンスを維持している。

四隅

18mmと同じく絞り開放の結果はあまり良くない。絞ると徐々に改善するが、やはりF11くらいまで絞る必要がある。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.0 3949 2930 2033
F5.6 3549 3105 2190
F8.0 3363 3137 2427
F11 3214 3154 2950
F16 2731 2607 2344
F22 2056 2081 2079
F25 1898 1764 1640
実写確認

28mm

中央

28mmも中央は絞り開放から良好だ。ただし、F8以降は急速にパフォーマンスが低下する。

周辺

広角側の結果と比べるとパフォーマンスは少し低下する。絞ることで改善するが、中央の性能が犠牲となる点に気を付けたい。

四隅

これまで通り絞り開放はやや甘めだ。絞ると徐々に改善する。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.0 3795 2718 2012
F5.6 3795 2742 2042
F8.0 3697 3004 2357
F11 3114 3162 2678
F16 2591 2504 2383
F22 2000 2052 1993
F29 1727 1719 1579
実写確認

35mm

中央

開放から良好だが、広角側と比べると切れ味が落ちる(それでも非常に良好だ)。F8以降で急速な性能の低下が見られるので絞りの自由度は高くない。

周辺

開放から良好な性能でF11まで維持している。

四隅

傾向はここまでの焦点距離と全く同じだ。F11まで絞るとピークの結果を得ることが出来る。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F5.6 3667 2977 2064
F8.0 3630 2841 2432
F11 3218 2984 2731
F16 2588 2501 2340
F22 2094 1977 1834
F29 1667 1977 732
実写確認

45mm

中央

望遠端は解像度がワンランク低下するが、F8まで絞ると改善する。以降は回折の影響で低下するため、絞りの自由度は狭めだ。必要に応じて絞りを調整しなければならないが、回折の影響は避けられない。

周辺

絞っても非常に良好な結果は期待できないが、絞り開放から安定感のある描写だ。

四隅

他の焦点距離と同じく開放付近はパッとしない結果だが、F11まで絞ると改善する。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F6.3 3052 2636 1909
F8.0 3465 2659 2295
F11 2941 2818 2545
F16 2586 2364 2250
F22 2004 1909 1674
F32 1376 1373 1321
実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2022-08-01
  • カメラ:EOS R7
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・レンズ補正オフ
    ・その他初期設定

18mm

中央

絞り開放から良好な解像性能だが、絞ることでコントラストが僅かに改善する。ピークはF5.6で、F8で僅かな低下が見られ、F11以降は回折の影響で急速に画質が低下する。EOS R7の解像性能を活かすのであれば許容範囲はF11付近のように見える。

周辺

基本的に中央と同程度のパフォーマンスを維持している。解像性能の低下やコントラストの低下は見られない。絞ると僅かに改善するが、絞り開放から十分に実用的な画質だ。

四隅

中央や周辺部と比べると非点収差や色収差が僅かに増加するが、顕著な画質低下は見られない。実質1.5万円のキットレンズとしては非常に良好な性能だ。絞ると僅かに画質が向上するが、F4.5から実用的な画質である。ピークはF8前後となる。

24mmm

中央

全体的な傾向は18mmと同じだ。絞り開放は僅かにコントラストが低く、少し絞ると改善する。解像性能はF5から良好で絞りによる改善は期待できない。

周辺

細部の解像性能は中央と比べると少し見劣りするものの(陽炎の可能性もある)、ぱっと見は非常に良好だ。絞っても改善傾向は見られない。

四隅

中央や周辺部と比べて極端な画質の低下は見られず、18mmよりも周辺減光の影響が少ない。絞り開放から非常に良好な画質だ。絞っても画質に大きな変化は無いので、被写界深度の調整で絞りを使えば良いだろう。

28mm

中央

これまでと同じく絞り開放はコントラストが僅かに低下する。少し絞ると改善するが、解像性能は絞り開放からピークの状態が続く。

周辺

中央と同じ傾向、性能に見える。単焦点レンズに迫る切れ味ではないかもしれないが、キットレンズの中間域の性能としては非常に良好だ。

四隅

驚いたことにパフォーマンスの低下は見られない。絞っても画質に大きな改善は無いが、絞り開放から良好だ。

35mm

中央

これまでと同じく絞り開放はコントラストが僅かに低い。F8でピークの結果が得られるが、それ以上絞ると回折の影響を受ける。

周辺

広角側と比べると解像性能がワンランク低下する。極端な画質の乱れでは無いが、非点収差のような影響で細部の切れ味が低下している。

四隅

周辺部と同じく、28mmまでと比べるとパフォーマンスがワンランク低下する。

45mm

中央

望遠端でも良好に見えるが、よく見ると細部の解像性能はやや低下している。

周辺

基本的には35mmと同じ傾向だ。F11まで絞ると若干の改善が見られる。

四隅

キットレンズの望遠端における隅の画質と考えると良好だが、決して抜群の性能ではない。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

18mm

完璧な補正状態とは言えないものの、小型軽量で安価なキットレンズとしては良く補正しているように見える。残った色収差は低リスクで後処理が可能となっているので、ハイコントラストなシーン以外で心配する必要は無いだろう。

24mm

18mmと比べて色収差の影響が小さくなり、無補正でもほとんど無視できる範囲内に抑えられている。

28mm

24mmと同程度だ。

35mm

24mmや28mmと同じく、僅かに残っているが無視できる範囲内に抑えられている。追加補正も可能だが、必要性は低い。

45mm

望遠端までまずまず良好な補正状態を維持している。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

18mm

開放F値が大きな小口径のズームレンズだが、軸上色収差と無縁ではない。絞り開放のピント面前後には色収差の影響が薄っすらと見られる。状況によっては少し目立つかもしれない。絞ると徐々に改善し、F8付近で無視できる程度に抑えることが可能だ。

28mm

18mmと同じく完璧な補正状態ではない。コントラストが高いシーンのピント面前後には色収差の影響が発生する場合もあるだろう。やはりF8付近までに問題は解消する。

45mm

広角・中間域と比べると影響は軽微で無視できる範囲内に見える。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがち。個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくないと感じる。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人がいてもおかしくない。
参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルを以下に示す。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によって変化し、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向がある。
特殊な方法として「アポダイゼーション光学素子」などを使って強制的に滑らかなボケ描写を実現しているレンズも存在する。

実写で確認

明らかに後ボケ重視の描写傾向が見られる。ピント面直後の後ボケは滲むように柔らかくボケ始めるが、前ボケは縁取りが硬く2線ボケの兆候が見られる。軸上色収差の影響も残っているので、状況によっては前ボケが騒がしく感じるかもしれない。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

ここで言う「口径食」とはレンズ口径がボケへ影響していることを指す。
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりする。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法が無い。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来る。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がる。口径食が強いと、ボケが小さく感じたり、場合によってはボケが荒れてしまう場合もある。
できれば口径食の小さいレンズが好ましいが、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要がある。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生する(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまう。

18mm

口径食の影響は穏やかだが、玉ボケには強い縁取りがあり、色収差の影響も見られる。状況によっては少し騒がしく感じるかもしれない。

28mm

基本的に18mmと同傾向の描写が続く。極端に悪目立ちはしないものの、積極的に使いたい描写とは感じない。

45mm

18mmと28mmと同様の傾向が続く。

ボケ実写

18mm

大部分で滑らかな後ボケが得られるものの、周辺部から隅にかけてボケが騒がしくなる。今回の作例では無補正のRAWを使用しているので、通常であればクロップしている部分が荒れている。歪曲収差補正後は概ね問題のない描写だ。

撮影距離が長くなると全体的にボケが少し騒がしくなる。ボケのアウトラインが強くなり、軸上色収差の影響も見られる。ただしボケが小さいので欠点が目立つことも少ない。

45mm

接写時はなかなか良好なボケが得られる。少なくともいつものテストショットで大きな欠点は見られない。色収差の影響が発生する場合もあるだろうが、45mmの接写時は問題を感じない。

18mmと同じく撮影距離が長くなると、後ボケが少し騒がしくなる。極端に悪目立ちするわけではないので、手ごろな価格のキットズームレンズと考えると許容範囲内の描写性能だ。

撮影距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて、18mmと45mmの絞り開放で撮影距離を変えながら作例を集めたのが以下の写真群だ。

18mm

フレームに全身を入れようとすると、被写体を背景から分離するのは難しい。上半身くらいまで近寄ると、少しボケが大きくなるものの、それでもまだ弱い。背景から被写体が分離し始めるのはバストアップからで、十分なボケ量を得るには顔のクローズアップくらいに近寄りたい。

45mm

焦点距離が長いとは言え、フレームに全身を入れるほど撮影距離が長い状態で後ボケを入れるのは難しい。膝上でも不十分で、上半身くらいまでに近寄ると背景がボケ始める。バストアップや顔のクローズアップまで近寄ると十分なボケ量に見える。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

18mm

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非常に強い樽型歪曲が残っており、さらに隅のケラレからしてイメージサークルが足りていないように見える(レンズがAPS-Cセンサーの面積をカバーしていない)。歪曲収差の補正は必須であり、この際に足りていないイメージサークルを補うように四隅を引き伸ばすのだと思われる。このような傾向は本レンズに限った話では無く、RF24-240mmやRF15-30mmなど、様々なレンズで同様の手法を採用している。競合他社でもたまに見かけるコンセプトである。

個人的にこのようなコンセプトに拒否反応は無いが、補正後に四隅の解像性能が低下するのは避けられない。とは言うものの、歪曲収差を光学的に補正するよりも、後処理にまかせて他の収差補正を優先したほうが結果的に画質が向上する例も多い。酷い歪曲収差に違い無いが、これも一つの選択肢である。

24mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

18mmと比べると遥かに穏やかな樽型の歪曲収差だ。そのままでも使えないことも無いが、気になるのであれば後処理を適用しておくのがおススメ。

35mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

24mmからさらに歪曲収差が小さくなる。ほとんど無視できる量だ。

45mm

スライドショーには JavaScript が必要です。

ほぼゼロ歪曲である。補正は必要無いように見える。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

18mm

最短撮影距離

絞り開放で四隅にかなり重めの周辺減光が発生している。影響する範囲は限定的だが、強度のある光量落ちだ。歪曲収差補正時に解消すると思われるが、補正しない場合はF11まで絞ると解消する。

無限遠

周辺減光と言うよりはイメージサークルの不足からくるケラレのような状態となる。絞ると改善するものの、小絞りまで影響が残り続けるのでトリミングか歪曲収差を補正するしかない。ケラレを除いて考慮すると、周辺減光はそこまで重く無いように見える。

28mm

最短撮影距離

18mmとは打って変わって絞り開放からRAWでも全く問題ない。よく見ると薄っすらとベールがかかったような光量落ちが見られるものの、無視できる範囲内に収まっている。

無限遠

最短撮影距離と同じく絞り開放から無視できる範囲内だ。

45mm

最短撮影距離

ズーム中間域と比べると全体的な影響が少し強くなるが、それでも18mmと比べると遥かに良好である。僅かな光量落ちを解消するには2段ほど絞る必要がある。

無限遠

最短撮影距離とほぼ同じだ。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

18mm

完璧な補正状態からは程遠いが、恐ろしく収差が残っているわけでもない。キットレンズの補正状態としてはまずまず良好だ。

24mm

中間域ではコマ収差がほとんど発生していない。非常に良好な補正状態だ。

28mm

24mmと同じく良好な補正状態である。

35mm

望遠側へズームしても引き続き良好な状態を維持している。絞り開放からほとんど問題の無い結果が得られる。

45mm

望遠端となる45mmでも良好な補正状態を維持している。

逆光耐性・光条

18mm

標準ズームとしてはレンズ構成枚数が少なく、レンズ間面のゴーストは少なく見える。フレアによるコントラスト低下もよく抑えられている。とは言え、1つのゴーストでも影響が広く強いため、結果的にかなり目立つ。絞って改善するのは光源周辺のフレアのみで、ゴーストが改善することは無い。

光源を隅に配置した場合もフレアは良く抑えられているように見える。ただし、ゴーストの影響がいくらか残っており、状況によっては少し目立つかもしれない。絞っても描写に大きな変化は見られないが、分散した光条と思われる光の筋がかなり主張している印象を受ける。

28mm

ズーム中間域も18mmと同じ傾向が続く。ただし、フレアか大きなゴーストの影響で、全体的にコントラストが低下しているように見える。絞ってもあまり改善しない。

フレーム隅に光源を配置すると18mmと同様の結果となる。

45mm

ゴーストの数は少ないものの、褒められない形状・色の目立つゴーストが主張している。絞ると徐々に収束するが、どの絞り値でも実用的な描写とは言えない。構図を大胆に変える必要がある。

光源周辺がフレアの影響を受けていることを除けば影響は良く抑えられている。ただし、絞り過ぎると光条が悪さをするので気を付けたい。

光条

18mm

F16-F22まで絞るとシャープな光条となるが、回折の影響で綺麗とは言い切れない。このレンズで解像性能と光条を両立するのは諦めたほうが良いだろう。

望遠側では絞ってもほとんどシャープな光条は得られない。最小絞りでなんとかシャープになるが、回折の影響が非常に強いので現実的とは言えない。

45mm

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • キットレンズで実質1.5万円と安い
  • フィルター径が49mmと小さい
  • 滑らかで適度なトルクのフォーカスリング
  • 高速で静かなAF
  • 接写性能が高い
  • 光学手ぶれ補正
  • 全体的に良好な遠景解像性能
  • 倍率色収差の補正が良好
  • 滑らかな後ボケ
  • 中間域と望遠域で穏やかな歪曲収差
  • 補正込みで穏やかな周辺減光

手ごろな価格で小型軽量なキットレンズだが、一般的な撮影距離ではズーム全域で良好な解像性能を実現している。もちろん抜群の解像性能からは程遠いが、これと言って弱点と感じるほどの領域は無い。簡単に補正できる部分を除けば諸収差の補正状態も良好だ。明るいレンズではないが接写性能が高く、被写体にグッと近寄ることでボケが大きくすることが出来る。さらに効果的な光学手ぶれ補正を搭載しているので、ボディ内手ぶれ補正が無いEOS R10でも手持ち撮影でスローシャッターが可能だ。

悪かったところ

ココに注意

  • ズームレンジが狭い
  • 沈胴構造のため使用時は展開必須
  • レンズフードが別売り
  • 防塵防滴に非対応
  • レンズマウントまでプラスチック製
  • フォーカスリングとズームリングを誤操作しやすい
  • 接写時に周辺部の解像性能が大幅に低下
  • ボケのアウトラインに色づきが発生する
  • 開放F値が暗い
  • 18mmの巨大な歪曲収差
  • ゴーストが発生しやすい
  • シャープな光条が生成しにくい

レンズの作りや付属品の少なさは価格を考慮すると妥協できる範囲内だ。特筆すべき弱点は無いものの、接写時の周辺解像性能が低下することと、18mm時の巨大な樽型歪曲が発生する点を理解しておくと対処しやすいと思う。逆光耐性やボケ質は褒められた性能では無いが、1.5万円のキットレンズに期待すべきカテゴリではない。
個人的に、使用時に展開する必要がある沈胴構造があまり好きになれなかった。このような構造を採用するのであれば、電源投入時に自動的に展開するパワーズームであるのが望ましい。そして、ズームレンジが狭く、広角端の画角も広くない点には予め理解が必要となる。

総合評価

満足度は85点。
実質1.5万円のキットレンズとしては全体的に良くまとまっている。レンズマウントは金属製が良かったし、広角端は15mmくらい広いと良かったのは間違いないが、実質1.5万円なら許容できる。そして、小型軽量ながらきちんとした光学性能を備えている。抜群の性能とは言えないが、ディールブレーカーと感じるほどの大きな欠点は無い。カメラ購入時に標準ズームレンズにお金をかけたくないのであれば良い選択肢になるだろう。

キットレンズとしてもう一つの選択肢が「RF-S18-150mm F3.5-6.3 IS STM」だ。18-45mmと比較して高価(キットレンズで5万円くらい)だが、18mmから150mmの広い範囲をカバーしており、沈胴構造では無いのでそのまま利用できる。光学性能は高倍率ズームながら18-45mmと比べて見劣りしておらず、ボケも滑らかで見栄えが良い。もしも携帯性や価格設定に問題を感じなければ、個人的には18-150mmがおススメだ。

購入早見表

RF-S18-45mm F4.5-6.3 IS STM
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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