このページでは「TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro」のレビューを掲載しています。
TTArtisan 100mm F2.8 2X Macroのレビュー一覧
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.5 ボケ編
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.4 諸収差編
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.3 遠景解像編
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.2 解像チャート編
- TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.1 外観・操作編
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | やや安い | |
サイズ | 適度なサイズ | |
重量 | 金属鏡筒で重め | |
操作性 | 電子接点はない | |
AF性能 | 非対応 | |
解像性能 | 全体的に安定した性能 | |
ボケ | ニュートラルで欠点が目立たない | |
色収差 | 良好な補正状態 | |
歪曲収差 | ほぼ問題無し | |
コマ収差・非点収差 | 隅に若干の影響あり | |
周辺減光 | 問題無し | |
逆光耐性 | 従来のTTArtisanより良好 | |
満足度 | 一眼レフにも対応する2倍マクロ |
評価:
変化自在の一眼レフ用マクロレンズ
一眼レフでも使うことができるきちんとした光学性能の2倍マクロレンズとして貴重な選択肢。アダプター経由で各種ミラーレスでも利用できるため、これ一本で様々なマウントのミラーレスでマクロ撮影が可能になる。
ミラーレス用は純正や他社の競合製品が存在するため、価格を考慮すると厳しい戦い。特にLマウントやEマウントにはシグマやタムロンのAFマクロレンズがあるので、2倍マクロを重視しなければAFマクロがおススメ。価格もTTartisanと比べて大きな差はないはず(倍ほど違わない、という意味で)。
Une option intéressante en tant qu'objectif macro 2x avec des performances optiques décentes qui peuvent également être utilisées avec des reflex. Il peut également être utilisé sur divers appareils photo sans miroir via un adaptateur, de sorte que ce seul objectif peut être utilisé pour la macrophotographie sur des appareils photo sans miroir dotés de diverses montures.
La concurrence pour les objectifs sans miroir est rude, compte tenu du prix, en raison de l'existence de produits authentiques et compétitifs d'autres fabricants. Il existe notamment des objectifs macro AF de Sigma et Tamron pour les montures L et E, de sorte que la macro AF est recommandée si la macro 2x n'est pas importante. Le prix ne devrait pas être significativement différent par rapport au TTartisan (dans le sens où il n'est pas deux fois plus différent).
Index
TTArtisan 100mm F2.8 2X Macroのおさらい
2024年夏に銘匠光学が発表した一眼レフ・ミラーレス用の2倍マクロレンズ。既存の「TTArtisan TS 100mm F2.8 2X Macro」からティルト・シフト機能を取り除くことでフランジバックを確保し、一眼レフにも対応したと思われます(少なくとも光学系は同じ)。
ティルトシフト構造が無くなったことで100gほど軽量化され、鏡筒はシンプルなデザインでマクロ撮影に集中できるものとなっています。
- 焦点工房
- 管理人のFlickr
- 最新情報まとめ
- フォーマット:フルサイズ
- マウント:E / X / Z / RF / L / GFX / EF / F
- 焦点距離:100mm
- 絞り値:F2.8-F22
- 絞り羽根:12枚
- レンズ構成:10群14枚
- 最短撮影距離:0.25m
- 最大撮影倍率:2.0倍
- フィルター径:67mm
- サイズ:不明
- 重量:700-748g
- 防塵防滴:-
- AF:MF限定
- 手ぶれ補正:-
- その他機能:
・シューアダプター対応
ティルト・シフト機能付きと異なり、一眼レフの2マウントにも対応していることが強み。一眼レフで利用できるほか、各種アダプターでミラーレス用としても使用することが出来ます。
10群14枚のレンズ構成でリアフォーカス方式を採用。フレームの広い範囲で非点収差が良好に補正されていますが、フレーム隅のみ急激な落ち込みがある模様。このあたりが実写でどのような結果となるのか、これから見ていきたいと思います。
価格のチェック
販売価格は5万9400円。ティルト・シフト機能付きが6万2820円で売り出されていたことを考慮すると少し高く感じるかもしれません。また、ミラーレスの一部マウントではシグマ「105mm F2.8 DG DN MACRO」を8万円台で入手可能となっています。電子接点無しのマクロレンズに6万円近い金額出せるかどうか悩ましいところ。
とはいえ、2倍マクロに対応する一眼レフ用レンズは選択肢が少なく、「LAOWA 100mmF2.8 2xUltra Macro APO」と比べると手頃な選択肢となっています。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
シンプルなデザインですが、銘匠光学らしいファブリック調のカバーで装飾されています。高級感があるとは言えませんが、他社と差別化は出来ているように見えます。レンズ本体はウレタン製の緩衝材で保護されています。
説明書などを除くと、レンズ本体の他にキャップとコールドシューアダプタが付属。レンズケースやレンズポーチはありません。
外観
外装は総金属製のしっかりとした作り。無駄な装飾はなく、表面にはピント距離や被写界深度、撮影倍率など必要な表示があるのみ。全ての表示は外装にプリントしただけではなく、刻印したうえで塗装が施されています。
ティルトシフトレンズのように、側面に突出したノブがありません。このため、他のレンズを(硬い金属製の)ノブで傷つけることがありません。
レンズキャップは金属製のかぶせ式が付属。内側には滑り止め用のフェルト生地が張り付けられ、程よい抵抗感で脱着が可能。簡単に脱落しない程度には固いです。
ハンズオン
総金属製の100mm F2.8 2倍マクロと言うこともあり、重くて大きなレンズです。ティルトシフト機能を省略したことで多少の軽量化を実現していますが、それでもキヤノンのEF100mm F2.8よりも100gほど重い。ただし、ニコンAF-S105mm F2.8と同程度。ミラーレスで使用する際はアダプターの重量を加味する必要があります。
前玉・後玉
67mm径のねじ込み式フィルターに対応。接写性能が高く、フッ素コーティング未処理であることを考慮するとプロテクトフィルターの必要性は高い。また、お世辞にも逆光耐性が良好とは言えないため、社外製のレンズフードもおススメ。リアフォーカス式のため全長の変化はりませんが、後玉はフォーカシングで前後に移動します。
レンズマウントは金属製。電子接点はなく、カメラ側に情報が全く伝達されないフルマニュアルレンズです。内部は反射を抑えるためのマットブラックの塗装が施されています。
フォーカスリング
金属製の幅広いフォーカスリングを搭載。マクロ撮影に適した少し重めの抵抗感で滑らかに回転します。安いレンズに多い、緩々のフォーカスリングとは雲泥の差。
ただし、フォーカスリングのストロークは180度で2倍マクロレンズとしては短め。ストロークの半分は2倍マクロから1/2マクロのピント距離となっています。また、無限遠側のストロークが非常に短く、微調整が難しい。幸いにも良好な抵抗感と滑らかさでストレスを感じることはありませんでした。
絞りリング
クリック付きの絞りリングを搭載。絞りの範囲は「F2.8」から「F22」まで。F2.8からF11までは1/2段刻みでクリックストップがあり、以降は1段刻みとなります。フォーカスリングと同じく適度な抵抗感で滑らかに操作可能。クリックストップがない中間でも絞りを保持することが出来ます。
ケラレ耐性
もともと±6mmのシフト撮影に対応できる広いイメージサークルを備えているためケラレ耐性は高め。ただし、イメージセンサーが大きなGFXでは気を付けたほうが良いかもしれません。
装着例
EFマウント版をアダプター経由でLUMIX S9に装着。全長が長く見えますが、100mmマクロレンズとしては一般的なサイズに見えます。今回はライカLマウントカメラに装着しましたが、アダプター経由でニコンZやキヤノンEOS Rにも装着可能。
ティルトシフトレンズよりもすっきりとした外観で調整用ノブがグリップと干渉することがありません。
アダプター経由でマイクロフォーサーズカメラに装着することも可能。この際、200mm相当の画角で換算4倍のマクロレンズとして利用することが出来ます。ボディが小さく取り回しやすいため、顕微鏡のように使うのであれば面白い選択肢となりそうです。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・1m・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
マクロレンズらしく、撮影距離によって画角が大きく変化します。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:α7R V
- 交換レンズ:TTArtisan 100mm F2.8 Macro 2X
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
F2.8の絞り開放から隅まで良好な結果が得られています。6100万画素のα7R Vを最大限活かすにはあと少し足りないものの、2400万画素や4500万画素では十分な性能と言えそう。絞っても大幅な改善はないものの、F2.8から実用的な画質。中央より周辺が若干良好となっているのは、中央でピントの山を僅かにつかみそこなっていたのかもしれません。
中央
絞り開放から良好なコントラストで大きな問題はありません。絞っても顕著な改善はなく、ほぼピークの状態。
周辺
中央と同じような結果が得られ、開放からピークの性能。非常にシャープであり、問題点はありません。
四隅
中央や周辺と比べると細部が若干ソフトですが、全体的に見るとほぼ同じ。一貫性のあるパフォーマンスが得られています。2段絞ると改善し、中央や周辺と同程度の結果を得ることが出来ます。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3944 | 4340 | 3561 |
F4.0 | 4188 | 4322 | 3767 |
F5.6 | 4188 | 4725 | 4339 |
F8.0 | 4339 | 4658 | 4043 |
F11 | 4090 | 4423 | 4070 |
F16 | 3668 | 3865 | 3416 |
F22 | 2799 | 2946 | 2628 |
実写確認
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2024.9.3 晴れ 無風
- カメラ:ILCE-7RM5
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:ISO 100 絞り優先 中央測光
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC 最新バージョン
・シャープネスオフ
・ノイズ補正オフ
テスト結果
全体的にF2.8のコントラストは低め。ただし、中央は絞り開放から良好な結果が得られ、周辺や隅はややソフト。2段絞るとコントラストが改善し、F8で隅までシャープな結果。傾向はティルトシフト版と同じ。イメージサークルが広い(と思われる)ものの、遠景における画質の一貫性はいまいち。使う場合はF8くらいまで絞ったほうが良いでしょう。
中央
コントラストは低いものの、細部までよく解像しているように見えます。F5.6まで絞ると大幅に改善してピークの性能。F8まで絞ると若干の低下が見られます。
周辺
中央と比べると絞り開放付近がソフトな画質。F4まで絞ってもあまり改善しませんが、F5.6で画質が大幅に向上します。ベストはF8~F11まで絞ったとき。
四隅
周辺と同じ傾向。隅における極端な画質低下はありません。コントラスト低下を除けば、良く解像しているほうだと思いますが、基本的には公開されているMTF通り。F5.6まで絞るとソフトさがなくなり、シャープで十分なコントラスト。
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
F2.8から中央・隅までピントが合っているように見えます。像面湾曲の目立つ影響はありません。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
実写で確認
僅かに残存しているものの、絞り全域で倍率色収差の顕著な影響はありません。残る収差もカメラや現像ソフトで簡単に修正することが出来ます。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
軸上色収差はほぼゼロまで良く抑えられています。残る色収差が実写で悪影響を及ぼす可能性はほとんどないと思われます。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
直線的な被写体をフレーム周辺に配置しても目立つ影響はありません。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
僅かに残存する程度ですが、F4くらいまでは点光源の変形が残ります。
球面収差
前後のボケ質に違いが発生する程度には球面収差が残っています。軸上色収差のテストを見る限り、フォーカスシフトに関して顕著な影響はありません。撮影距離によるのかもしれませんが…。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
ニュートラルな描写ですが、若干滑らかで縁取りの弱いボケ質に見えます。
前ボケ
後ボケと比べるとやや硬調ですが、悪目立ちするほどではありません。
色収差が良く抑えられているため、特に大きな問題はなし。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
滑らかで綺麗な玉ボケ。非球面レンズを使用していないので玉ねぎボケの兆候がなく、ボケの縁取りは僅か。口径食の影響が若干見られるものの、影響は過剰ではなく、F5.6までに解消します。
ボケ実写
至近距離
近距離ではボケが大きく、これと言った問題点はありません。問題があったとしても目立ちません。ピント面はコントラストが高く、球面収差の影響は僅か。滲むように柔らかいボケとは言えませんが、使い勝手は良好。
近距離
撮影距離が長くなると、100mm F2.8でもボケは小さくなります。硬めの描写であり、背景のコントラストが高いシーンではボケの輪郭が目立つ可能性あり。それでも悪目立ちする要素は良く抑えられており、大きな問題はなし。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
全身ポーtレートの撮影距離では背景が騒がしくなるレンズが多い。しかし、このレンズは比較的滑らかで綺麗なボケ質を維持しており、騒がしさの少ない描写。撮影距離が短くなるほど滑らかで綺麗な描写となっていきます。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
絞り開放から周辺減光はほとんどありません。ただし、実効F値が上昇するため、無限遠と同じ露出を維持するためにはシャッタースピードを2段程度遅くする必要があります。今回のテストでは中央測光に設定した状態で適正露出を維持する際「無限遠 1/250秒」に対し「2倍マクロ 1/40秒」となっています。
無限遠
マクロ撮影時と比べて周辺に僅かな減光効果が発生しています。無視できる程度で全く問題ありません。
逆光耐性・光条
中央
影響がゼロではないものの、TTArtisanブランドのレンズとしてはフレアの影響が少ないほう。特に正面から強い光源の影響を受けにくくなっています。
隅
光源をフレーム隅に移動しても顕著な影響はありません。レンズフードはありませんが、必要とならない可能性が高い。
光条
偶数絞りで12本の光条が発生。F5.6付近から目立ち始めますが、先細りするシャープな描写はF8から。光条は均等かつ明瞭な描写となっています。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 一眼レフ用モデルあり
- 金属製の頑丈な作り
- 滑らかで適度な抵抗のフォーカスリング
- F2.8から隅まで安定感のある解像性能
- 色収差の補正状態が良好
- 歪曲収差の問題無し
- ニュートラルで綺麗な前後のボケ
- 周辺減光の問題無し
- 偶数絞り(12)によるシャープな光条
ティルトシフト対応の余裕ある光学系を使用しているだけに、通常のマクロレンズとしても全体的に良好。隅に向かって極端な画質低下がなく、競合するAstrHoriより良好。撮影距離が長い場合でも球面収差は良く抑えられ、ニュートラルできちんとした解像性能やボケが得られます。
一番の特徴は一眼レフ対応であること。一眼レフカメラで使うことができるほか、レンズアダプター経由で各種ミラーレスに装着することが出来ます。複数のカメラメーカーを使用しているのであれば、このレンズ一本で各カメラを使ったマクロ撮影が可能。ティルトシフトやレデューサーレンズ搭載のアダプターを使うこともできます。
悪かったところ
ココに注意
- 電子接点なし
- 2倍マクロとしてはストロークが短め
- 無限遠側の周辺がF2.8で少しソフト
- 内向性のコマ収差がわずかに残存
- 光源付近にわずかなフレア
敢えて言えば、電子接点が無いのでレンズ情報を手動入力するのが面倒。TTartisanはAFレンズも製造しているので、レンズ情報だけでも電子接点で記録してほしいところ。
結論
一眼レフでも使うことができるきちんとした光学性能の2倍マクロレンズとして貴重な選択肢。
ミラーレス用は純正や他社の競合製品が存在するため、価格を考慮すると厳しい戦い。特にLマウントやEマウントにはシグマやタムロンのAFマクロレンズがあるので、2倍マクロを重視しなければAFマクロがおススメ。価格もTTartisanと比べて大きな差はないはず(倍ほど違わない、という意味で)。
強みは前述した通り、一眼レフ版からのアダプターやレデューサー、フィルター内蔵アダプターを使えること。このあたりを活用する場合は唯一無二の2倍マクロレンズとなることでしょう。
購入早見表
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作例
関連レンズ
- EF100mm F2.8L マクロ IS USM
- AF-S VR Micro-Nikkor 105mm F/2.8G IF-ED
- SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
- SP 90mm F/2.8 Di MACRO 1:1 VC USD
- atx-i 100mm F2.8 FF MACRO
- LAOWA 100mm F2.8 Ultra-Macro APO