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VILTROX AF 40mm F2.5 レンズレビュー 完全版

このページでは「VILTROX AF 40mm F2.5」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 40mm F2.5のレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 Z 40mm F2よりも安価
サイズ 比較的小さい
重量 比較的軽い
操作性 最小限だが良好
AF性能 必要十分で爆速ではない
解像性能 Z 40mm F2よりも接写時に良好
ボケ やや硬めの描写
色収差 まずまず良好な補正状態
歪曲収差 問題なし
コマ収差・非点収差 目立たないが影響あり
周辺減光 無限遠側は要補正
逆光耐性 問題無し
満足度 Zマウント40mmもう一つの選択肢

評価:

Zマウント40mmもう一つの選択肢

NIKKOR Z 40mm f/2との比較が悩ましいレンズ。
基本的には互換性が確かな純正品(ニコン)を買うべきだと思いますが、個性が異なるVILTROXも捨てがたい。ニコンと比較してかっちりとした描写のため、撮影する被写体やカラープリセット次第ではVILTROXのほうが”ハマる”可能性あり。

It's hard to compare it with the NIKKOR Z 40mm f/2. Basically, I think you should buy a genuine product (Nikon) that is guaranteed to be compatible, but VILTROX, which has a different personality, is also hard to ignore. Depending on the subject you are shooting and the color preset, there is a possibility that VILTROX will “fit” better due to its crisp depiction when compared.

まえがき

VILTROX AF 20mm F2.8に続いて登場したお手軽・お手頃シリーズのフルサイズ用レンズ。ここ最近は大口径で高価なレンズが多かったVILTROXですが、中口径の単焦点レンズを2万円台の非常に手頃な価格で実現。NIKKOR Zラインアップの穴を埋める選択肢として面白い選択肢が登場しました。

今回の40mm F2.5は「NIKKOR Z 40mm f/2」と被り気味であるのが悩ましいところですが、比較して手頃な価格。レンズフードや金属製マウントなど区別化する要素は複数あります。純正品を差し置いて購入するほど訴求力があるか?と言うと微妙ですが、どれほどのパフォーマンスを備えたレンズなのかテストでチェックしていきたいと思います。

  • 公式ウェブサイト
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  • 発売日:2024年 4月25日
  • 初値:¥23,700
  • マウント:Z
  • フォーマット:フルサイズ
  • 焦点距離:40mm
  • レンズ構成:6群10枚
    EDレンズ1 / 非球面レンズ1 / HRガラス3
  • 開放絞り:F2.5
  • 最小絞り:F16
  • 絞り羽根:7枚
  • 最短撮影距離:34cm
  • 最大撮影倍率:0.14倍
  • フィルター径:52mm
  • 手ぶれ補正:-
  • テレコン:-
  • コーティング:不明
  • サイズ:65 x 59.5 mm
  • 重量:167 g
  • 防塵防滴:-
  • AF:STM
  • その他:-
  • 付属品:レンズフード / 前後キャップ

価格のチェック

売り出し価格は23,700円。セールで2万円前後となる場合もあり、NIKKOR Zと比べると1万円ほど安価(Z 40mm F2も買い方やタイミングによっては2.5万円くらいで入手可能ですが…)。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

最近のVILTROXレンズらしく、白を基調としたデザインの箱。どことなくシグマと似ていますが、デザインは大きく異なります。箱には封印シールが貼られており、未開封かどうか確認することが可能。開封跡に粘着性のシールが残るため、箱のカバーを装着すると開けられなくなる可能性が高い(AF 16mm F1.8でやらかしました)。レンズ本体のほか、レンズフードやソフトポーチが付属。

外観

中国製AFレンズでは珍しい、ポリカーボネート製の鏡筒。YONGNUOやSAMYANG(Tinyシリーズ)のような安っぽいプラスチック外装ではなく、日本メーカーのプラスチック外装に近い質感。感触としてはシグマのContemporaryラインによく似ています。

意匠はシンプルで飾り気がない。最小限ですが十分。
コントロールはフォーカスリング兼コントロールリングのみ。絞りリングやAF/MFスイッチはありません。

ハンズオン

167gと非常に軽量。Z 40mm F2とほぼ同じ。手に取ると、質感の良い金属鏡筒でないことが分かるものの、プラスチック外装ながら安っぽい感触はありません。

前玉・後玉

前玉周辺のカバーにはレンズ名やフィルターサイズ、フルサイズ対応(φ43.3mm イメージサークル)などがプリント。白字で光を反射しやすいため、フィルター装着時に強い光が当たると写りこむ可能性あり。最前面にフッ素コーティング処理が施されているため、プロテクトフィルターの必要性は低い。とはいえ、物理的ダメージが予想されるシーンでフィルターを装着する場合は写りこみに気を付けたいところ。

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金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定。マウント面に防塵防滴用のシールはありませんが、価格を考慮すると驚くべきことではありません。マウント面には更新用のUSBポートがあります。

フォーカスリング

プラスチック製のフォーカスリングを搭載。やや緩めですが、滑らかに回転します。応答性はリニアで、回転速度が変化しても移動量は一定。ストロークが360度あるためフルマニュアルの操作には適していませんが、微調整で正確な操作には十分と言えるでしょう。

レンズフード

20mm F2.8やAPS-C用の56mm F1.7と共通する浅底のレンズフードが付属。装着が緩めで、固定する羽根の力が弱い。ちょっとした力が加わるとフードが回転してしまうのはマイナスポイント。

ケラレ耐性

52mmフィルターを2~3枚重ねても問題なく使用できました。ドーム型のねじ込み式レンズフードも利用できます。

装着例

Z 8に装着。非常に軽量なレンズであり、Z 8では小さすぎるくらい。Z fやAPS-Cと組み合わせてもバランス良好と思われます。フォーカスリングの位置は問題ありませんが、必要となる操作量が多い(ストロークが長い)ため、MFで完結するには手間がかかるかもしれません。

 

AF・MF

フォーカススピード

リードスクリュータイプのステッピングモーターを採用。静かで滑らかなAFを期待できます。AFはリニアモーター駆動の一部レンズほど電光石火ではありませんが、一般的な撮影では十分に高速。至近距離から遠景にピントを移動させる場合に少し遅いと感じる程度です。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

過度ではないものの、画角の変化が少しあります。静止画・動画で気にならないレベル。

精度

Z 8装着時に大きな問題はありませんでした。

MF

前述したように、リニアレスポンスで360度のストロークを備えています。素早いフォーカス操作には不向きですが、AF後の微調整用としては適しています。

撮影倍率

最短撮影距離が34cm、最大撮影倍率が0.14倍。お世辞にも寄りやすいレンズとは言えず、「NIKKOR Z 40mm f/2」と比べて見劣りするポイント。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:Z 8
  • 交換レンズ:VILTROX AF 40mm F2.5 Z
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

実写で確認すると悪くない結果ですが、数値で見ると絞り開放付近が伸び悩んでいます。F5.6以降で大幅に伸びるものの、開放付近の切れ味を重視する場合は少し不満を感じるかもしれません。

中央

数値ほどソフトに見えず、少なくともNIKKOR Z 40mm F2よりは良好なコントラストが得られています。ただし、絞っても急速な改善が見られず、ピークのF5.6に向かって徐々に向上。少しじれったい印象。

周辺

絞り開放付近の安定感はニコンよりも遥かに良好。中央と同じく絞った際の改善速度が遅いのは残念ですが、均質性は悪くないように見えます。

四隅

中央や周辺と比べるとソフトですが、それでもニコンのF2・F2.8よりも良好。特にF5.6やF8まで絞った時の性能はワンランク上。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.5 2683 3045 1969
F2.8 3020 3020 1945
F4.0 2751 2694 2023
F5.6 4081 3275 2903
F8.0 4618 3414 2907
F11 4014 3898 3350
F16 3468 3342 3341

実写確認

競合レンズとの比較

参考までに以下のレンズを掲載。テストしているカメラや解像性能が異なるので厳密な比較ではない点に注意してください。

FE 40mm F2.5 G」は次元の違うパフォーマンスを発揮。近距離で抜群の解像性能が必要出ればソニー40mm F2.5 Gがおススメです。「EF40mmF2.8 STM」は繰り出し式フォーカスのためか、近距離でも良好な結果が得られています。

比較してNIKKOR ZやVILTROXは価格・サイズなりと言った印象。どちらも周辺部がややソフトで、数段絞ると改善傾向。中央の立ち上がりが早いのはニコンですが、他のレンズと比べると五十歩百歩。とはいえ、ニコンは球面収差が強く、数値以上に中央のコントラストが低い点に注意が必要です。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2024-05-22 晴れ 微風
  • カメラ:Z 8
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

テスト結果

近距離の解像チャートテストと異なり、遠景では絞り開放から全体的に良好な結果。絞っても大きく改善することはありませんが、F4-5.6まで絞ると周辺や隅のパフォーマンスがピークに達します。Z 40mm F2と比べて見劣りしない結果。

中央

F2.5の絞り開放からピークの性能を発揮し、絞っても画質はほとんど変わりません。

周辺

細部が僅かに低コントラストですが、全体的に見ると安定感があり、良好な画質。F4-5.6まで絞ると残存収差が収束し、コントラストの高いシャープな結果を得ることができます。

四隅

F2.5から十分な結果が得られています。さらにF2.8-4まで絞るとコマ収差が改善し、F5.6でピークの結果を得ることが可能。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F2.5から中央・隅にピントが合っていることが分かります。少なくとも遠景において像面湾曲の心配はありません。ただし、接写時は絞っても改善しない程度の像面湾曲が発生します(これが影響する撮影シーンは少ないと思いますが)。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り全域で良好な補正状態です。追加の補正は必要最小限で済みそうです。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

微量の色収差が残存しているものの、極端シーンでもほとんど目立ちません。軸上色収差ではありませんが、注意点としてF2.8からF4にかけて目立つフォーカスシフトが発生しています。

 

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

修正なしでも全く問題ありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

フレーム四隅で点光源がわずかに変形しています。全体像からすると影響は軽微ですが、点像再現性を重視する場合はF4くらいまで絞ると改善します。

球面収差

少なくとも近距離では完璧な補正状態ではなく、前後のボケ質に僅かな違いが見られます。軸上色収差のテストから判明したように、フォーカスシフトの原因となっている可能性あり。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

全体的にほぼニュートラルですが、ピント面直後は僅かに滲むような描写。軸上色収差が僅かにあるものの、悪目立ちするほどの影響ではありません。柔らかいボケとは言えませんが、騒がしいボケでもない。

前ボケ

後ボケと同様、ピント面の直前で球面収差による影響あり。この際は少し硬めのボケですが、ボケが大きくなると気にならなくなります。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認 F2.5

縁取りが少し硬く、軸上色収差の影響があります。さらにフレーム隅に向かって縁取りが強くなり、部分的にシャボン玉ライクの個性的なボケに変化。これを好む人もいるかもしれませんが、主張の激しい描写であり、被写体や撮影シーンによって向き不向きが発生すると思われます。少し騒がしいと感じたら絞りを閉じると改善する可能性あり。

玉ボケの描写に関してはZ 40mm F2がはるかに良好。

実写で確認 F4.0

F4まで絞ると改善しますが、7枚の絞り羽根では玉ボケが角ばりやすい。

ボケ実写

至近距離

中央付近は滑らかで綺麗なボケですが、周辺や隅のハイライトはボケの縁取りが強くなる傾向があります。少し気になる場合はF2.8-4まで絞ると改善します。

近距離

至近距離と同じ傾向。やはり周辺や隅のハイライトが目立つ可能性があるため、状況によってF4くらいまで絞る必要があるかもしれませんん。

中距離

ボケが小さくなるため、騒がしいボケも目立ちにくい。それでも気になる場合、やはりF4まで絞ると改善します。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

「40mm F2.5」でフレームに全身を入れると、被写体を背景から分離するのが難しい。ボケはお世辞にも綺麗とは言えませんが、小さなボケのため悪目立ちしにくい。上半身~バストアップくらいまで近寄るとボケが大きくなるものの、騒がしいボケが主張する場合はF4まで絞ったほうが良いでしょう。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

F2.5の絞り開放で周辺部に僅かな影響あり。F4まで絞るとほぼ解消しますが、周辺部に穏やかな減光効果が残ります。

無限遠

最短撮影距離とは打って変わって強めの減光効果が発生。状況によっては非常に目立つため、カメラ側ヴィネッティング補正が必須。F4まで絞っても光学的に減光が残っています。解消するにはF5.6まで絞る必要があります。

逆光耐性・光条

中央

シンプルな光学系のためかゴーストは少なめ。フレアの影響も良く抑えられており、強い光源を正面から受けてもフレア・ゴーストの影響は僅か。絞っても良く抑えられています。

 

 

光源を隅に移動した場合、絞り開放付近で影響はほとんどありません。絞ると筋状に伸びるゴーストが発生しますが、フレームを少しずらすと回避可能。

光条

F8付近までは分散するタイプの描写ですが、F11以降は先細りするシャープな光条。低価格のレンズとしては良好に見えます。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • 手頃な価格
  • 接写時の解像性能がZ 40mm F2より良好
  • 遠景解像性能がF2.5から良好
  • 像面湾曲の問題無し(接写時を除く)
  • 倍率色収差の問題無し
  • 軸上色収差が穏やか
  • 歪曲収差の問題無し
  • 逆光耐性

手頃な価格できちんとした光学性能の40mm F2.5 レンズ。撮影距離による変動がニコン純正よりも少なく、比較的かっちりと写る傾向あり。

悪かったところ

ココに注意

  • 防塵防滴非対応
  • 浅底レンズフード
  • コントロールがフォーカスリングのみ
  • 接写時のピーク性能が低め
  • 接写時のフォーカスシフト
  • 後ボケが硬い部分が多い
  • 周辺の玉ボケが騒がしい
  • 無限遠側の周辺減光

Z 40mm F2とよく似た欠点を持ちつつ、大きくことなるのは近距離時のボケ。硬めの写りとなり、柔らかい描写の表現が苦手。

結論

満足度は95点。
NIKKOR Z 40mm f/2との比較が悩ましい。基本的には互換性が確かな純正品(ニコン)を買うべきだと思いますが、個性が異なるVILTROXも捨てがたい存在。比較してかっちりとした描写のため、撮影する被写体やカラープリセット次第ではVILTROXのほうが”ハマる”可能性あり。

競合製品について

NIKKOR Z 40mm f/2

VILTROXよりも若干高価なニコン純正品。光学性能は五十歩百歩ですが、近距離時の柔らかいボケが特徴的。価格でVILTROXを選ぶのは十分にアリだと思うものの、互換性や柔らかいボケを重視するなら1万円の差額を支払うだけの価値はあるはず。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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