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VILTROX AF 50mm F1.4 Pro レンズレビュー完全版

このページでは「VILTROX AF 50mm F1.4 Pro」のレビューを掲載しています。

製品提供について

このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(1か月)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

VILTROX AF 50mm F1.4 Pro のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 社外製としては適度
サイズ 同クラスの中で大きめ
重量 同クラスの中で重め
操作性 豊富だが要ファームウェア改善
AF性能 良好だが要ファームウェア改善
解像性能 遠景で全体的に良好
ボケ 後ボケがとても滑らかで柔らかい
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 非常に良好な補正状態
コマ収差・非点収差 軽微な影響
周辺減光 一般的な減光効果
逆光耐性 大きな問題が見られない
満足度 後ボケが強みとなるが互換性は要改善

評価:

ポイント

後ボケが強みとなるが互換性は要改善

近寄って柔らかく、引いてシャープな結果が得られる大口径レンズ。大きく重い50mm F1.4ですが、販売価格と光学性能を考慮するとコストパフォーマンスは高い。特におススメしやすいのがボケ。ポートレートの撮影距離でも後ボケは滑らかで柔らかい描写を維持しています。

残念だったのはα7 V装着時に遭遇した動作不良の類。最新ファームウェアに更新後もしばしば遭遇することがあり、タムロン・シグマでは見られない欠点と言えるでしょう。今後のファームウェア更新に期待したいところ。

This large-aperture lens delivers soft, creamy results when you get close and sharp, crisp results when you step back. Although the 50mm F1.4 is large and heavy, it offers excellent value for money when you consider its price and optical performance. The bokeh is particularly impressive. Even at portrait shooting distances, the background bokeh remains smooth and soft.
The only downside was the occasional operational glitch I encountered when using it with the α7 V. Even after updating to the latest firmware, these issues still occur frequently—a flaw not typically seen with Tamron or Sigma lenses. I’m hoping for improvements in future firmware updates.

まえがき

VILTROXのフルサイズProシリーズレンズとして、2本目となる製品。(1本目は85mm
VILTROX「Pro」シリーズは、ハイエンドモデル「LAB」と、低価格・小型軽量「Air」の間に位置付けられています。光学性能と大口径でバランスを取りつつ、手頃な価格を維持。絞りリングやスイッチ類を搭載しており、コントロールが充実しています。

同シリーズはAPS-CでF1.2、フルサイズでF1.4の大口径単焦点レンズであることが多い。外装のデザインやコントロールは他のProシリーズと同等で、価格もよく似ています。

主な仕様

レンズマウントはソニーEとニコンZに対応。Eマウントには競合製品が多いものの、ニコンZはごく僅か。純正品とはコンセプトの違いから迷うことは少ないはず。

レンズマウント E/Z
対応センサー フルサイズ
焦点距離 50mm
レンズ構成 11群15枚
EDガラス 3枚
高度非球面レンズ 1枚
高屈折率ガラス 8枚
開放絞り F1.4
最小絞り F16
絞り羽根 11枚
最短撮影距離 0.45m
最大撮影倍率 0.145倍
フィルター径 77mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング フッ素
サイズ φ84.5×111mm
重量 800g
防塵防滴 対応
AF HyperVCM
絞りリング 搭載
クリック切替対応
その他のコントロール AFLボタン
AF/MFスイッチ

価格のチェック

2026.3時点で販売価格は約9万円。シグマと比べると数万円安く、ソニーと比べると10万円ほど安い。国内ではシグマが強力なライバルとなり、重量や価格を考慮するとVILTROXのアドバンテージは控えめ。

VILTROX AF 50mm F1.4 Pro
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

これまでのVILTROX製品の箱は白を基調としたデザインでしたが、Proシリーズは黒を基調としたデザインを採用。Labのようなマットブラックではなく、少し光沢のある黒色。外装にはVILTROXのロゴとと共に、レンズ外装の画像がプリントされています。

レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属。

外観

外装は金属製。フォーカスリングと絞りリングはどちらも金属製で、ゴム製カバーは無し。
デザインはProシリーズで一貫しています。

レンズを前後に倒すと「カタカタ」と音がしますが、これは通電していない時にボイスコイルモータ駆動のフォーカスレンズが固定されていないため。他社でよく見る仕様であり、特に不思議なことではありません。

コントロール以外の意匠は最小限。側面に「Pro」のバッヂを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。

ハンズオン

50mm F1.4の中では大きく重め。パナソニックのS PROを除けば最大・最重の選択肢です。一眼レフ時代のレンズを考えると許容範囲内ですが、ミラーレス用で携帯性を重視する場合は選択肢から外れます。

サイズ 重量
VILTROX φ84.5×111mm 800g
Sony φ80.6×96mm 516g
Nikon φ74.5mm×86.5mm 420g
SIGMA φ78.2×109.5mm 670g
Canon Φ76.5×99.3mm 580g
Panasonic Φ90mm×130mm 955g
SAMYANG φ80.1×88.9mm 420g

前玉・後玉

77mm径の円形フィルターに対応。ソニーやシグマと比べると対応サイズが大きめ。フィルターサイズが大きいと言うことは、そのぶん高価。特にC-PLが高価になる傾向があります。

前玉にはメンテナンス性の高いコーティングが施されているものの、ダメージを回避するために保護フィルターが必要となる場合あり。

金属製レンズマウントは5本のビスで本体に固定。周囲には耐候性を確保するシーリングとファームウェアアップデート用のUSB-Cポートを備えています。ファームウェア更新はUSBケーブルを接続し、WindowsかMac OS用のVILTROXアプリを起動して更新を実施。

フォーカスリング

適度な幅の金属製フォーカスリングを搭載。ソニーとよく似た抵抗感ですが比較的重め。ソニーEマウントとα7 V・α7R V装着時に反応が悪く、リング操作時にピント位置が前後に揺れる不具合あり。ファームウェアを最新にすると改善。

絞りリング

金属製絞りリングを搭載。F1.4からF16まで1/3段刻みで動作。感触はシグマのI Seriesとよく似ていますが、クリック感は弱め。クリック無しの無段階操作にも対応しています。

スイッチ類

適度なクリック感のあるFnボタンを搭載。表面はゴム製で深めに押し込むことができますが、動作するまでのストロークは浅い。AF/MFスイッチの操作性に問題はありませんでした。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属。直毛やゴムカバーはありませんが、本体にしっかりと固定可能。やや深めのレンズフードなので、逆さ付けの時はフォーカスリングが覆い隠されます。

装着例

α7R Vに装着。
やや大きめですが、アンバランスと言う程ではありません。各種コントロールはソニーやシグマと同じように使うことができます。

注意点として、ファームウェア「V01」の状態でα7 V装着時にしばしば起動時のフリーズに遭遇します。この場合、電源のオンオフでも回復しませんが、レンズの脱着で復帰します。頻発するので、早めに改善してほしい現象。

AF・MF

フォーカススピード

ボイスコイルモーターを使用したリニア駆動。至近から遠景へのピント移動は電光石火と言えませんが、ストレスがない程度に素早く動作します。一般的な撮影距離では電光石火と評価できるほど高速。

初期状態のファームウェアでテストを実施したところ、AF開始から合焦までワンテンポ遅れることがあります。(AF速度が遅くないものの、合焦完了直前にひっかかるような動作)また、被写体検出利用時にAFの挙動がおかしくなる時が稀にありました。

これはファームウェアを「V01」に更新することで改善。ただし、更新後も拡大AFを使用すると動作が不安定。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、無限遠で撮影した結果が以下の通り。

ピント位置による画角の変化はほとんどありません。とても良好な状態です。

Before imageAfter image

精度

拡大AFを使わない限り、α7R Vとの組み合わせで問題ありませんでした。

MF

前述したように、初期状態のファームウェアには問題があります。おかしいと感じたら、ファームウェアの更新を検討してください。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM5
  • 交換レンズ:VILTROX AF 50mm F1.4 Pro
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

少なくとも近距離の解像チャートテストとは相性が悪く、絞り開放付近は残存収差により中央・隅ともにイマイチの結果となりました。他社の50mmレンズも近距離で性能低下の傾向があるものの、ここまで顕著ではありません。

幸いにも絞ることでパフォーマンスが徐々に改善します。広い範囲はF2.8-4で非常に良好となり、隅もF8まで絞れば良好となります。

中央

至近距離では球面収差の影響が強く、ピント面が滲んでいることが分かります。ボケ質に良く作用する収差ではあるものの、解像性能の観点から見るとマイナス。「50mm F1.4」の用途にもよりますが、「F1.4」をハイスピードレンズと捉えている人にとって少し扱い辛いと感じるかもしれません。

周辺
四隅

数値確認

Center Mid Corner
F1.4 3568
F2.0 3776
F2.8 4552 1013
F4.0 4586 3741 2312
F5.6 4573 4354 2850
F8.0 4550 4589 4053
F11 4560 4211 3905
F16 3605 3800 3518

実写確認

様々な50mmレンズのテスト結果と比較。どのレンズも周辺や隅で性能の低下が見られますが、本レンズほど極端ではありません。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2026.2.24
  • カメラ:α7R V
  • 三脚:SIRUI AM324
  • 雲台:アルカスイスZ1+
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW 現像
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

テスト結果

中央

絞り開放から非常にシャープでコントラストも良好。F2.8-4付近で極わずかなフォーカスシフトの影響があるため、高解像モデルでベストを尽くす場合は絞ってからピント合わせがおススメ。ほぼ無視できる程度なので、心配する必要はありません。

周辺

中央と同じくF1.4から良好な結果。近距離解像チャートのような画質低下はありません。

四隅

周辺と同じく、解像チャートのような画質低下はありません。F.4から非常に良好な結果が得られ、絞りによる改善効果は僅か。

像面湾曲の影響はほぼありませんが、隅にピントを合わせると画質が若干向上します。ただし、中央が少し低下するのでおススメしません。絞れば差は無くなるので、どちらかと言えば像面湾曲に注意したほうが良いでしょう。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

左が中央でピントを合わせた結果、右が隅でピントを合わせた結果です。

画質はほとんどありませんが、よく見ると僅かな影響があります。絞り開放でも無視できる程度。絞ったら解消します。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

細部に少し残存していますが、無視できる程度に抑えられています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

倍率色収差と同じく軽微な影響。ゼロではありませんが、目立つシーンは少ないと思われます。F2.8まで絞っても影響は少し残ります。ボケの色付きを完全に抑えるためには数段絞る必要あり。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

穏やかな樽型歪曲。実写ではほぼ無視できる程度に影響は軽微。直線的な被写体をフレームに入れても目立つことは稀。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

点像が僅かに変形していますが、全体像からすると軽微な影響です。点像が重要となるシーンを除けばF.4から実用的な結果が得られています。F2.8くらいまで絞ると、ほぼ解消。

球面収差

F1.4

前後のボケ質に差があります。球面収差は完全な補正状態ではありません。

軸上色収差のテスト結果を確認すると、F1.4-F2.0-2.8の間でピントの山が遠側へ移動していることが分かります。絞り開放測距の場合、フォーカスシフトの影響に注意。

F2.0

F2まで絞ると前後ボケ質の差がほとんど無くなります。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

球面収差の影響か、ごく僅かに滲みを伴う柔らかい描写。

前ボケ

後ボケとは反対に、球面収差の影響で縁取りの硬い2線ボケの兆候が見られます。前ボケがフレームに入るシーンでは少し絞ったほうが良いかもしれません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

非球面レンズの研磨ムラが少ない滑らかな描写。口径食の影響は穏やかですが、色収差の影響でボケに色付きが発生しています。コントラストの高いシーンで微ボケが少し騒がしくなるかもしれません。F2.0まで絞ると大幅に改善します。

ボケ実写

至近距離

接写時はボケ質を評価できないほど浅い被写界深度です。敢えて言えば、ピント面が少し滲むくらいには球面収差が残存しています。ピント後方が複雑だったとしても、柔らかくぼかしてくれることでしょう。

近距離

撮影距離が少し離れると、球面収差の影響が緩和。ニュートラルなボケ質に変化します。それでも被写界深度がまだ浅く、ボケは質感を議論するほどでもない程に大きい。

中距離

引き続きニュートラルな描写。テストシーンでは色収差などの悪影響が目立たず、滑らかで綺麗なボケに見えます。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F1.4)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

全身をフレームに入れる撮影距離でも背景ボケは滑らかで綺麗。フレーム端や隅におけるボケ質の乱れも目立ちません。かなり使いやすいレンズだと思います。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

最短撮影距離の場合、F1.4でも周辺減光の影響は穏やか。F2.8まで絞るとほぼ解消します。

無限遠

無限遠の場合、F1.4でかなり目立つ減光効果が発生。F2.8まで絞っても隅に影響が残ります。

逆光耐性・光条

中央

フレアとゴーストは良く抑えられています。シグマと同程度で、ソニーよりも少し良好。

光源がフレーム端にある場合、影響は軽微。

光条

F5.6から光条が少しづつ発生、F11-16でシャープな描写。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 50mm F1.4としては手頃な価格
  • 金属製の頑丈な鏡筒
  • 防塵防滴・前玉撥水コート仕様
  • 機能的な絞りリング
  • フォーカスブリージングが目立たない
  • 絞り開放から遠景解像性能が良好
  • 倍率色収差が穏やか
  • 軸上色収差が穏やか
  • 歪曲収差が穏やか
  • コマ収差の影響が軽微
  • 後ボケが滑らかで柔らかい描写
  • 逆光耐性

万能とは言えないものの、”ツボは押さえている”手頃な価格の大口径レンズ。

ボケを活かせる撮影距離では、滑らかで柔らかい描写が得られます。
明るさを活かす撮影距離では、広い範囲でF1.4からシャープな結果が得られます。

50mm F1.4で何を撮りたいかにもよるものの、コストパフォーマンスの高さを感じる場合が多いはず。特におススメしやすいのは柔らかなボケ質。

悪かったところ

ココに注意

  • 50mm F1.4としては大きく重い
  • フィルター径が少し大きめ
  • フォーカスリングの応答性が悪い
  • 動作が不安定(α7 V 装着時)
  • 拡大AFの動作が不安定
  • 近接時に周辺・隅の解像性能低下
  • 主に近距離で球面収差の影響がある
  • 遠景で周辺減光が少し目立つ

気を付けたいのはレンズサイズと重量。ここ最近のミラーレス用「50mm F1.4」レンズとしては大きく重い製品です。長時間の手持ち撮影では携帯性が悪く、バッグへの収納性も良くありません。運搬する時間が長い場合は負担と感じる可能性あり。

個体の問題、初期ファームウェアの問題である可能性が高いものの、カメラとの組み合わせで動作不良に遭遇する頻度が多かったです。シグマやタムロンでは多々見られないようなトラブル(フリーズ・MFレンズの応答性・拡大AFの動作不良)に遭遇します。失敗できないプロユースで使うのは避けたいと感じました。少なくともファームウェアの更新状況は確認しておくと良いでしょう。

結論

近寄って柔らかく、引いてシャープな結果が得られる大口径レンズ。大きく重い50mm F1.4ですが、販売価格と光学性能を考慮するとコストパフォーマンスは高い。特におススメしやすいのがボケ。ポートレートの撮影距離でも後ボケは滑らかで柔らかい描写を維持しています。

残念だったのはα7 V装着時に遭遇した動作不良の類。最新ファームウェアに更新後もしばしば遭遇することがあり、タムロン・シグマでは見られない欠点と言えるでしょう。今後のファームウェア更新に期待したいところ。

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購入を悩んでいる人

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「50mm F1.4」の中でトップクラスの光学性能を実現しつつ、高い携帯性を両立しているハイエンドモデル。お金に糸目をつけずに選ぶとしたらコレ。

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NIKKOR Z 50mm f/1.4

ニコン純正品にも関わらず、手頃な価格で携帯性の高い50mm F1.4 レンズ。ただし、光学性能は必ずしも高いと言えず、VILTROXと比べて妥協点が多い(コマ収差、ボケ質、周辺減光など)。とはいえ極端に癖の強い描写でもなく、「これくらい良い」と感じる人も多いはず。

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50mm F1.4 DG DN

ソニーGMより大きく重いものの、光学性能は健闘しているレンズ。VILTROXよりも少し高価ですが、安定した動作、近距離での性能、高速AFなどで優位性あり。その一方、滑らかなボケを優先する場合はVILTROXのほうがおススメです。

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50mm F1.4 の中で最軽量クラスかつ価格も手ごろ。光学性能はシグマやVILTROXよりも少し見劣る結果ですが、「これで十分」という水準は満たしているのかなと。

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作例

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