DPReviewがニコン「NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S」のハンズオンを公開。雨天で何時間使用しても手持ち撮影で疲れなかった、PFレンズの効果とリスク、レンズ構成やフォーカスシステムについて。
DPReview:Hands on with Nikkor Z 600mm F6.3 VR S
レンズ紹介
- 野生動物やスポーツ、一脚や三脚を使わない旅行に理想的な、比較的軽量な超望遠単焦点レンズ。
- レンズ全長は278mm、重さは1,390gだが、雨の中で何時間もレンズを手で持っていても疲れなかった。
- 軽量化の秘訣は、位相フレネルレンズ(PFレンズ)を使用することで少ないレンズ構成で重量減を実現している。
PFレンズ
- ニコンはレンズ名に「PF」を付けなくなったが、600mm F6.3 VR Sの特徴は「位相フレネル」テクノロジーを採用していることだ。
- これは回折光学素子を使用するニコンのブランド名であり、このような長焦点レンズの小型軽量化を可能にするものである。
- キヤノンは「Diffractive Optics(回折光学素子)」という名称で同様のアプローチを採用していた。
- (訳注:技術的な説明部分は割愛)
- リスクは、レンズの特殊な形状に光が当たると、奇妙な収差が発生することだ。この技術が、レンズ真正面から光が当たる望遠レンズで使用される主な理由だ。
- フレアが発生しやすくなる場合もある。
- 軸上色収差が発生する可能性もあるが、600mm F6.3 VR Sは、この問題を修正するために、赤や緑よりも青い光を曲げる短波長屈折(SR)レンズを使用している。
レンズ構成
- このレンズは14群21枚で構成されている。
- 2枚のED(Extra-Low Dispersion)レンズ、1枚のSRレンズを使用している。これらの要素はすべてカラーフリンジを補正するためのものだ。
- PFレンズは、ニコンがレンズ内で必要とするガラス材料の量を削減することを可能にし、非PFレンズよりも小さくすることができる。
- 防塵防滴仕様で、前玉の埃や汚れを防ぐフッ素コーティングが施されている。
- フレアを抑える「ナノクリスタルコート」が施されている。
- ニコンによると、レンズの重量を後玉に近づけているが、これはレンズを体に近づけることで安定させるための設計上の決定であり、さらに安定性を助けるために最大6段分のVRを搭載している。
- 6.0段の補正を行うには、ボディ内手ぶれ補正システムとレンズのシステムを同期させることができるカメラボディが必要だ(現在はZ8とZ9)。
- 旧型のボディは、CIPA規格のテストにより、5.5段分の補正効果があると測定されている。
カスタムボタンとリング
- フォーカスリング、コントロールリング、そしてニコンのカメラボディのメニューからカスタマイズできるいくつかのボタンがある。
- メモリーセットボタンはレンズの右側にある。一度セットして押すと、レンズは記憶されたフォーカス位置に移動する。
- 左側面のレンズ基部付近にL-Fnボタンがある。
- 手前側にはL-Fn2ボタンがある。この2つ目のカスタムボタンは鏡筒の周囲に4か所あり、どのカメラの向きでも押しやすい。4つのL-Fn2ボタンはすべて同じ機能になる。
- ボタンは頑丈な感触で、フォーカスリングとカスタムリングは、素早く回せるほど滑らかだが、設定やフォーカスを不注意で動かしてしまうほど緩くはないというスイートスポットと感じる。
フォーカスシステム
- 鏡胴左側、A/Mスイッチとフォーカスリミッタースイッチがある。
- フォーカスリミッター(無限遠-10m)をオンにすると、撮影対象が常に中距離以上にあることがわかっている場合、レンズがハンチングするのを避けることができる。
- スイッチを「FULL」の位置に設定すると、レンズの最短撮影距離は4mになる。
- ステッピングモーター(STM)がフォーカスを駆動する。
- 製造コストを下げるために、STMを使用できるようにフォーカスレンズの重量を減らしたと述べている。
まとめ
- 素敵なレンズフードを同梱している。4分の1回転させると所定の位置にカチッとはまり、ボタンを押すとロックが解除されるので、再び回転させて外すことができる。
- 360度回転させることができる三脚リングが付属。
- 1.4xと2.0xのテレコンバーターに対応しているが、開放F値は上昇する(1.4x TCでF9、2xでF13)。
- 2023年10月下旬発売。
- 販売価格は4799ドル。
従来の「NIKKOR Z 600mm f/4 TC VR S」と比べると非常にコンパクトで軽量な600mm単焦点レンズですね。開放F値が「6.3」と大きいので、薄曇りや屋内でISO感度が上がりやすいものの、収納性や携帯性が良く、気軽に持ち出せるレンズに仕上がっているようです。テレコンバージョンレンズと互換性があるものの、開放F値が非常に大きくなるので屋外以外では使い辛いかもしれません。
DPReviewによると、600mmの超望遠レンズながら手持ち撮影で疲れを感じなかったとのこと。1470gと非常に軽量で、NIKKOR Z 70?200mm f/2.8 VR Sとほぼ同じ重量と考えると確かに長時間の手持ち撮影に最適と言えそうです。
PFレンズ搭載モデルということでフレアや収差の発生が気になるところですが、今のところハッキリと確認できるサンプルはありません。このあたりは発売以降にFlickrやPHOTOHITOなどのユーザー投稿で確認したいところ。
ニコン NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S 最新情報まとめ
- 発売予定日:2023年10月27日
- 希望小売価格:オープン
- 初値:712,800円
レンズの仕様
レンズの仕様 | |||
---|---|---|---|
発売日 | 2023年10月27日 | 初値 | 712,800円 |
マウント | Z | 最短撮影距離 | 4m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 0.15倍 |
焦点距離 | 600mm | フィルター径 | 95mm |
レンズ構成 | 14群21枚 | 手ぶれ補正 | 5.5段 |
開放絞り | F6.3 | テレコン | 対応 |
最小絞り | F32 | コーティング | F/SIC |
絞り羽根 | 9枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ106.5×278mm | 防塵防滴 | 対応 |
重量 | 1470g | AF | STM |
その他 | コントロールリング | ||
付属品 | |||
キャップ・フード・ケース |
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