Phototrendが「Z f」のハンズオンを公開。価格はZ 6IIと同程度ながら、新世代のAFや機能を搭載。応答性も良く、レトロな外観には似つかわしくないレスポンスに驚かされたとのこと。同社で最もお買い得なフルサイズミラーレスと言及。
Phototrend:Prise en main du Nikon Z f : coup d’oeil dans le rétro
レトロデザイン
- 手に取った瞬間、強烈な印象を受けるカメラ。
- フィルムカメラによく似た外観は、Z fcを大きくしたようなものだが、特にFM2のDNAを受け継いでいる。
- フェイクのペンタプリズムには「Nikon」の文字が刻まれ、調整ダイヤルも豊富。
- ボディは美しく、心地よいもの。切り欠きのあるホイールやシャープな角度のデザインのファンにはたまらないはず。
- Z 28mm F2.8 SEやZ 40mm F2を装着して街を歩けば、このカメラはまるでフィルムカメラのように見える。Z fcと同様、ミッションは達成された。
- サイズに関しては、Z 6IIとよく似ているが、ファインダーがより小さくなり、グリップがほとんど存在しないため、よりコンパクトになっている。
- ボディサイズは144×103×49mm(幅×高さ×奥行き)で、重量は630g。
- カメラの仕上げは良好で、多数の耐候性シールのおかげで水滴やホコリに強い。
- ボディはマグネシウム合金の筐体だが、Z fcと同様、底面やボディ前面など多くの部分が滑らかで少し光沢のあるプラスチックでできており、ニコンの他のミラーレスボディよりも壊れやすいと感じる。
- 長期にわたってどのように経年変化するか見てみなければならないが、Z fのカバーに美しい艶を期待してはいけない。我々は、さらにマットな仕上げであれば良かった。
豊富なマニュアルコントロール
- 左肩には、PSAM(またはオート)モードを選択するためのレバーと、ISO100からISO51,200までのISO感度を選択するためのホイールがある。ISOダイヤルはより一般的な方法で感度を設定するための新しいCポジションもある。
- セミオートポジション(C)は、100%マニュアルモードに切り替えたくない場合に重要となる。
- ダイヤルには中央ボタンがあり、回転するたびに押し続けなければならない。
- 右肩にはSSダイヤルがあり、シャッタースピードを1/8000秒から長時間露光まで選択できる。
- ただし、SSダイヤルの調整は1段刻みだ。1/3段分のスピードを調整するには、ホイールを1/3STEPに設定する必要がある。ここは、X-T5などのカメラで1/100や1/160を選んでスピードを微調整できる富士フイルムのアプローチの方が実用的だ。
- SSダイヤルの下には、写真モードから動画モードへの切り替えスイッチ、そしてモノクロモードに切り替わる新しいポジションがある。
- オートモードでも露出補正用ホイールが利用できる。
- 動画専用のRECボタンと、フィルムカメラのフレームカウンターを彷彿とさせる絞りを表示する小さなスクリーンを搭載。
- シャッターレリーズにはネジがあり、ソフトシャッターレリーズボタンを取り付けることができる。
- 前面グリップ近くにはカスタマイズ可能なボタンがあり、デフォルトでホワイトバランスの選択に割り当てられている。これは、AE-L/AF-Lボタン、RECボタンと共に、このカメラで完全にカスタマイズ可能な数少ないボタンの1つだ。
- 背面は、ジョイスティックがないことを除けば、Z 6IIとほぼ同じ。それを補うために、このカメラでは画面にタッチするか、カメラ背面のマルチセレクターを使って操作することができる。
ハンドリング
- デザインは好ましいが、グリップについては同じことは言えない。カメラをしっかり握るには不十分だ。背面にはサムレストもない。
- フィルムカメラのレトロなデザインを踏襲したこの選択は理解できる。とは言え、APS-Cボディに軽量でコンパクトなレンズを装着するZ fcでは問題にならないが、Z fではこの選択に大いに疑問を感じる。
- 富士フイルムのX-Tシリーズでさえ、デフォルトでより大きなグリップを備えている。
- これを補うために、ニコンはSmallRigがデザインした追加グリップをオプションとして提供しており、わずか49ユーロで販売されている。このグリップはより深いグリップで、小指を収納することが可能だ。
- 70-200mm F2.8や24-70mm F2.8、あるいはF2やF2.8より重い単焦点レンズを装着するなら、追加グリップは必須だ。
- Z fはニコンのフルサイズカメラで初めてバリアングルモニタを搭載したカメラである。ビデオグラファーにとっては画期的な機能だ。
- 実際に使ってみると、使い心地がよく、醍醐味を味わえる。電子ビューファインダーはZ 6IIと同レベルで、メニューが縦に表示できるというちょっとした目新しさがある。
オートフォーカス性能
- 外見からはシングルショットの撮影用カメラに見えるかもしれないが、これは間違っている。
- EXPEED 7プロセッサーと、プロ用 Z 8 および Z 9 から採用された高度なオートフォーカスシステムが搭載されている。高速で正確な被写体検出と、よりきめ細かい3Dトラッキングが可能になった。
- Z 8およびZ 9のAFと比較して異なる点は、測距点の数が493点から273点に減少したことだ。
- 実際に使ってみると、AFは非常に効果的で、人間(体、顔、目)、動物(犬、猫、鳥)、乗り物(バイク、車、自転車、電車、飛行機)などの被写体を簡単に検出できる。
- ごくまれに追従性が損なわれることがあった。これはプリプロダクション版によるものなのか、製品版でも同じなのかわからない。
- オールドレンズのユーザーを喜ばせるであろう、斬新なマニュアルフォーカスアシスト機能を搭載。カメラがMFモードになると、被写体を即座に認識し、アシストするエリアを調整してくれる。あとは、コリメーターが緑色になるまでマニュアルフォーカスを合わせるだけだ。
- 新しいMFアシストはポートレート撮影で紛れもない武器であり、競合他社とは大きな違いがあると信じている。
連続撮影
- 連写速度に関して、ハイエンドモデルに見劣りしない性能だ。JPEGで最高30コマ/秒(追尾あり、ワイドまたはノーマル)を実現している。
- より柔軟性を求めるのであれば、RAWで追従可能な14fpsの高速連写に対応している。
(訳注:サイトによっては11fpsまでと記載しています)- 決して遅いカメラではない。特に連続撮影では、ロスレス圧縮RAWで186枚、圧縮RAWで200枚強の写真を撮ることができる。これは、150枚のRAWでバッファが飽和したZ 6IIよりもわずかに多い。
モノクロームモードとディープなモノクローム
- 2つの新しいモノクロームスタイルを採用し、モノクローム写真に素早くアクセスできる。
- 標準のモノクロームモードに加え、フラットモノクロームとディープモノクロームがある。前者はビデオで使われるフラットモードをイメージしたもので、コントラストは低いがディテールが細かく、レタッチに適している。
- ボタン1つでカラーからモノクロに素早く切り替えられるだけでなく、描写も非常に優れていることがわかった。
バッテリー寿命の第一印象
- 量産前のカメラを扱う場合、バッテリー寿命を判断するのは難しい。しかし、Z fは、メーカー発表のデータと比較しても、期待を裏切らないようだ。
- わずか2回のバッテリー充電で1,000以上のRAWファイル(および30fpsのバーストモードで780のJPEG)を撮影することができ、2回目のバッテリーの残量は約10%だった。
- このカメラは、ニコンユーザーによく知られているEN-EL15cバッテリーを使用している。
- Z 8やZ 9のように、ニコンはサードパーティ製バッテリーとの互換性を制限しているようだ。
- Z fには2つの3.5mmジャックソケット(ヘッドフォンとマイク)、マイクロHDMIポート(タイプD)、充電・給電・データ転送用のUSB-C 3.1 gen2ポートがある。なお、ケースにはUSB-Cケーブルのみが付属している。
- ファイルを保存するために、Z fはカード用に2つのスロットを用意しているが、そのうちの1つはmicroSDカードだ。
- この小さなmicroSDカードスロットは、バックアップ用と考えるべきだ。内蔵ストレージを低コストで提供する方法でもある。
- メモリーカードは、バッテリーと同じハッチからアクセスできる。
まとめ
- Z fcに続き、ニコンは期待を裏切ることなくフルサイズミラーレス版をリリースした。
- D610のビンテージ版(そしてはるかに高価)だったDfとは異なり、Z fは独自のアイデンティティを持つカメラだ。そして、2023年に発売されたカメラにふさわしい技術を備えている。
- Z fはZ 6IIの「スタイリッシュ」な同等品ではなく、世代の飛躍したカメラだ。実際、現在2,500ユーロ以下のフルサイズカメラとしてはニコンで最もお買い得なカメラであり、2020年に発売されたZ 6IIの価格に非常に近い。
- 我々はモノクロームスタイルと、モノクロに「押し出す」クイックコントロールがとても気に入った。
- Z 9から継承された新世代のオートフォーカス、EXPEED 7プロセッサー、30fpsのより包括的な連写モードなど、全体的にはるかに反応が良くなっている。実際、この紹介の後にZ 6IIに戻ると、少し遅く感じた。
- 唯一の欠点は、グリップが十分に深くないことである。エルゴノミクスのためにデザインを犠牲にしないための戦略であることは理解できるが、カメラを購入したときに失望しないためには注意しなければならない点である。
- 現代的な機能であるジョイスティックがないことも残念かもしれない。
- 最後に、もう一つの小さな不満はレンズ側にある。今のところ、ZマウントのAFレンズには絞りリングがない。シグマがZマウントのIシリーズレンズをすぐにリリースしてくれることを願っている。
このレビューの結論を一言で言うなら「驚き」だ。そのレトロなスタイリングも驚きだが、カメラのスイッチを入れた瞬間の全体的な反応の良さにはさらに驚かされる。
とのこと。
外観こそZ fcとよく似ていますが、最新プロセッサの搭載やニコン初の最新機能の実装など、目新しいポイントが多いレトロデザインのミラーレスカメラ。Z fcは中身がほぼZ 50でしたが、Z fは既存カメラにはない構成(25MPセンサー + EXPEED 7)で、ニコン初となるピクセルシフト撮影機能や世界初となるフォーカスポイントVRなど、まさかZ fで初実装することになるとは思ってもみなかった機能がいくつか存在します。
Phototrendのハンズオンでは、他のレビューサイトと同じく、レトロな外観ながら、中身は最新のミラーレスカメラであると感じたようです。浅いグリップや一部の操作性について指摘する部分はあるものの、性能や新機能などを考慮すると「同社で最もお買い得なカメラ」と結論に至ったようです。Z 6IIと異なりCFexpressには非対応ですが、連続撮影時のバッファがZ 6IIより良好となっているのは凄い。JPEGながら30fpsの高速連写やプリ連写機能も搭載しているので、レトロな外観ですが様々な撮影シーンで使うことができそうです。
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主な仕様
- イメージセンサー
・タイプ:裏面照射型
・有効画素数:2450万画素
・除塵ユニット:フッ素コーティング / イメージセンサークリーニング
・手振れ補正:イメージセンサーシフト方式5軸補正 8段分 - フォーカスポイントVR
- プロセッサ:EXPEED 7
- RAW 高効率★ / 高効率 / ロスレス圧縮
- HEIF
- ピクセルシフト撮影 9600万画素
- Monochrome / Flat / Deeptone
- SD UHS- II / Micro SD UHS-I カードスロット
- ISO 100~64000
- AFシステム:ハイブリッドAF
・測距点:273点
・測距輝度範囲:-10~19EV F1.2 レンズ
・被写体認識:人物(目、顔、頭部、上半身)、犬、猫、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機
・その他:3Dトラッキング
・カスタムワイドエリア - 被写体検出によるMFアシスト(電子接点ありのレンズ)
- ドライブ性能:
・メカニカルシャッター:1/8000~900秒
・電子シャッター:あり
・フラッシュ同調速度:X=1/200秒
・撮影速度:約14コマ/秒 / 約30コマ/秒
・撮影枚数: - ファインダー:0.5型 Quad-VGA OLED 約369万ドット 約0.8倍
- モニター:バリアングル式8cm/3.2型TFT液晶モニター 約210万ドット
・タッチFn対応 - 動画:
・4K:60p/50p/30p/25p/24p
・FHD:120p/100p/60p/50p/30p/25p/24p
・出力:MOV、MP4
・N-Log
・撮影中赤枠表示
・電子IS:対応
・連続撮影時間:125分 - インターフェース:
・USB:Type-C端子(SuperSpeed USB)
・ヘッドホン:φ3.5mm
・マイク:φ3.5mm
・HDMI:Type D
・シンクロ:
・Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n/a/ac
・Bluetooth:Ver.5.0 - バッテリー
・タイプ:EN-EL15c
・撮影可能枚数:約410コマ
・充電方法: - サイズ:約144×103×49mm
- 重量:約710g
- 防塵防滴:Z 8と同等
- ボディ材質:マグネシウム合金(前・上)
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