DPReviewが富士フイルム「X-H2」のファーストインプレッションを公開。センサー性能以外はX-H2Sと同じで、ローリングシャッターの影響が目立つ代わりに高解像な静止画や動画を利用できる機種となっている模様。
DPReview:Fujifilm X-H2 initial review
4000万画素CMOSセンサー
- 新しい4000万画素 裏面照射型 CMOSセンサーは我々がコンシューマー向けカメラで見た同サイズのチップの中で最も高解像度だ。
- X-H2Sに搭載された積層型CMOSのようなメリットは無いが、若干の読み取りノイズの低減と、カメラの低価格化を可能にする。
- 新センサーは高解像度化に伴い、ノイズが増えることが予想される。
8K
- 4000万画素センサーにより、全幅で8K動画を撮影するのに十分な画素数だ。
- 最大30pのフレームレートで8Kビデオを撮影することができる。
- 8Kから2:1オーバーサンプリングした「HQ」4Kモードや、最大60pで撮影できるサブサンプリング4Kを利用可能だ。
- 8Kからオーバーサンプリングされた6.2Kモードも用意されている。
- 6.2K映像は一般的に動画で使用される16:9のアスペクト比だ(X-H2Sの6.2Kとは異なる)。
- コーデックとして、H.264またはH.265、4:2:0または4:2:2サブサンプリング、Long GOPまたはALL-intraを選択することできる。
- さらに、ProRes 422 HQ、422、LTでの撮影も可能だ。
- UHD 8K RAW出力が可能だ。Atomos Ninja V+を持っていればProRes RAWとして、Blackmagic Video Assistを持っていればBRawとしてエンコードすることが可能だ。
- X-H2はX-H2Sの素晴らしい読み出し速度に及ばないこ。
- 我々がこれまでに撮影した映像では、顕著なローリングシャッターが確認された。
- X-H2にはF-Log2があるが、14bit読み出しのX-H2Sと比べると、使用可能なダイナミックレンジが若干狭くなると思われる。
ピクセルシフトマルチショット
- X-Transカラーフィルターのカメラでは初めての実装だ。
- ピクセルシフトによる20枚の画像を撮影して「Pixel Shift Combiner」ソフトウェアを使用して1.6億画素に結合できる。
AF
- X-H2は、X-H2Sと同じ範囲の被写体認識AFモードを備えている。
- X-H2Sと同様、被写体認識モードと顔・瞳検出モードは完全に分離しているので、両方に素早くアクセスしたい場合は、2つのカスタムボタンを割り当てる必要がある。
- 顔・瞳や被写体検出をオン/オフしても、直前に使用したモードには戻らない。
- 被写体追尾をオンにするボタンを割り当てても、被写体モードの切り替えはできない。Q・メインメニューで切り替える必要がある。
- X-H2Sの被写体認識モードは概ね良好だった。X-H2も同じプロセッサーとアルゴリズムを使っているので、同様のパフォーマンスが期待できる。
- Sと比較して読み出し速度がカメラが、総合的なAF性能を維持できるかどうかは、これから検証していく。
連写・ドライブ
- 兄弟機と同様にCFexpress Type BとUHS-II SDのデュアルスロットだ。
- 特にデータ量の多いProResフォーマットでの動画撮影時に威力を発揮する。
- 4000万画素での連写時にバッファを素早くクリアすることも可能だが、多くのスチル撮影者は、高速なSDカードで十分だろう。
- 1/8000秒、最大15fpsの連続撮影が可能なメカニカルシャッター機構は、50万回の寿命があることを強調している。これはハイエンドのプロ向けカメラでしか見られない性能だ。
ボディ
- X-H2のボディは、「S」バッジを除いて、X-H2Sと同じものである。
- 風景撮影に適したボディにふさわしく、これまで製造した中で最も密閉性の高いボディの1つだ。
- X-H2SやGFX 100S、50S IIと同じコマンドダイヤル式のユーザーインターフェースを備えている。
- コマンドダイヤルの代わりにレンズの絞りリングを使用している場合でも、ダイヤルに他の機能を割り当てることは出来ない。
- ファインダーとモニターはX-H2Sと同じだ。
- ファインダーのアイポイントは24mmと比較的余裕があるが、メガネをかけると画面全体を見るのが難しいほど、巨大なファインダーだ。
- 充実したグリップと、カスタマイズ可能な10個のボタンを備えている。
- ISOなどの設定値をダイヤルに割り当てることは出来ない。
メニューなど
- メニューは、最近の富士フイルム製品に採用されているものを継承している。整理され、操作しやすい。
- メニューには多くの機能があり、カメラを初めて手にしたとき、どの機能をカスタムボタンに割り当てるか、検討する価値がある(割り当て可能なオプションは全部で73個ある)。
- Qメニューに表示される機能をカスタマイズすることが可能だ。4つから16の表示オプションに変更でき、静止画モードと動画モード用に別々のメニューがあり、「ボタン」の背景をグレーにするか透明にするか選択可能だ。
- 最大7つのカスタム設定モードを有し、モードダイヤルからアクセスすることができる。
- カスタムモードは設定するとほぼすべての設定が反映されるが、変更したくないパラメーターを除外することはできない。よく考えて設定する必要がある。
- カメラ上面のディスプレイの表示内容もカスタマイズでき、静止画と動画でそれぞれ設定可能だ。
バッテリー
- X-H2は、X-H2S、X-T4、GFXの一部機種と同じNP-W235バッテリーを採用。
- 16Whの大容量で、CIPA規格の背面液晶を使用した場合、1回の充電で680枚の撮影が可能だ。
(訳注:省エネ時の数値であり、通常時はX-H2Sよりも撮影枚数が少ないです)- とても見事な性能であり、X-H2Sよりも消費電力が少ないことを示唆している。
- オプションの縦位置グリップVG-XHを装着すれば、バッテリーを2個追加でき、撮影可能枚数は2.4倍の1,600枚となる。
- USB-Cから直接給電することも可能だ。
ファーストインプレッション
- X-H2Sが動画、X-H2が静止画ということではなく、X-H2Sが高速、X-H2が高画質という感じで、静止画・動画ともに得意としている。「H」がハイブリッドの頭文字として活きている。
- 裏面照射型センサーのため、H2Sのような低ローリングシャッターはできないが、それを考慮しても、現時点で8Kを撮影できるミラーレスとしては圧倒的に安価なモデルだ。
- 大部分の人が利用できない8K解像度で出力する予定がなければ、6.2Kや4Kの映像で高解像度の利点の多くを享受することができる。
- いくつかの不便な点(被写体認識モードの選択、ISOをダイヤルに割り当てられないなど)があるものの、これらはファームウェアで修正されることを期待したい。
- 人間工学に基づいた快適なボディに、同じように素早く使えて、カスタマイズ可能なインターフェースを備えている。
- X-H2は、X-H2Sと同じGFX由来のコマンドインターフェースを採用。より静止画寄りのチルトモニタを期待していた人にとっては残念な結果になるかもしれない。
- Xシリーズの他の機種に見られるような投げやりな操作スタイルではなく、より現代的で慣習的な操作スタイルを採用している。しかし、富士フイルムが10年かけて育ててきた専用ダイヤルのファンクラブを、完全に放棄するつもりだとは考えにくい。(他のモデルは従来通りの操作性を継承するだろう)
これまでのところ、X-H2での撮影を楽しんでいる。APS-Cカメラとしては比較的大きなボディだが、多くのコントロールを備え、堅牢で手によく馴染み、堅実なバッテリーライフのカメラを小さくすることは難しい。それにAPS-C用のレンズはコンパクトだ。
興味深いのは、最新世代のプロセッサーとセンサーにアップグレードされた後、同世代のカメラがこれを継承するかどうかだ。X-T4はX-Hラインが不在の間に「ハイブリッド」を補う存在となったが、X-T5は純粋にTシリーズのカメラとなるのかもしれない。
とのこと。
APS-Cとしては最も高解像な4000万画素に対応する面白いミラーレスカメラが登場しましたね。センサー性能は今のところ未知数であり、これに対応できるXFレンズがいくつ存在するのか気になりますねえ(少なくとも最新のF1.4 WRレンズは40MP対応である模様)。
追記
基本的にセンサー以外はX-H2Sと同じなので、同様のAFシステムやコントロール、アクセサリーを利用可能となっています。連写性能や動画仕様には差があるものの、驚異的な高速連写やスキャンレートが必要無ければX-H2のほうが低価格でコストパフォーマンスの高い機種と感じるかもしれません。どちらかと言えば静止画寄りのカメラですが、従来通りバリアングルモニタを継承しているのは悩ましいポイントですねえ。
やはり気になるのは将来的に登場するであろう第五世代のカメラ(X-T5やX-T40、X-S20など)が4000万画素のX-Trans CMOS 5 HRを継承するかどうか。X-H2Sの高価な積層型CMOSセンサーを使用するとは思えないので、X-H2の4000万画素 X-Transに統一するのでしょうか?ミドル以下のモデルに4000万画素はファイルサイズがやや重め(SD UHS-IIに対応しない場合は特に)と感じるので、RAWのサイズを変更できる機能が追加されると有難いですねえ。
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