IMAGING RESOURCEがキヤノンのフルサイズミラーレス「EOS R」についてキヤノンの事業部長へのインタビュー記事を掲載しています。いつも通り、非常に情報量が多いインタビューとなっていますね。
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ロードマップには8K対応モデルが存在する
*インタビュー内容が多岐にわたるため、ざっくり抄訳。
以前にDPReviewなどがインタビューした内容とも被る部分がありますが、8K対応モデルや「プログレードよりも前にアマチュア向けのEOS Rが登場する」といった発言は初めてかもしれませんね。
レンズは色々と計画している模様。特許出願を見るとえげつない大口径ズームがあったりしますが、一体どのようなレンズが出てくるのか気になるところですね。
EOS Rの「革命」について
- 1987年にEFマウントを発表した時、我々のエンジニアはマウントの可能性を全て考慮に入れて開発した。
- しかし、当時はフィルムからデジタル移行前であり、5000万画素や一眼カメラを使ったハイクオリティな動画撮影などは未知の領域だった。将来を正確に予測することは出来なかった。
- 31年が経過した現行のEFシステムで新しい技術を導入しようとすると問題が発生することがあった。そのため、RFマウントを備えたEOS Rシステムの開発が必要だった。
- 今後30年の間に何が起こるかは分からないが、RFマウント設計時は可能な限り最良な将来性を保証するために、多くの状況を検討してきた。だからこそ、この新しいシステムに自信があり、「革命的」だと信じている。
- RFマウントは大口径・短いバックフォーカス・強化されたデータ通信を特徴としている。この強化されたデータ通信をフル活用するには少し時間がかかるかもしれない。
EFレンズとの互換性について
- アダプターを用意しEFレンズとの互換性を保ったのには2つの理由がある。一つは顧客のニーズを満たすためのRFレンズを開発するには時間がかかること。我々が開発している間、EF・EF-Sレンズを使うことが出来る。
- 二つ目はRFマウントで顧客が楽しめるのかどうかを確認したかったからだ。そのためには単なるアダプターでは不十分だったので追加機能を組み込むことにした。
一眼レフの開発について
- 一眼レフの研究開発費をEOS Rシステムに移すのは時期尚早だ。我々は数多くのEOS Rシステムに対する良好なフィードバックを受け取っているが、ホリデーシーズン中における5D Mark IV・6D Mark II・80D・Kissシリーズを含む一眼レフの大きな需要があった。それにEOS Kiss Mは発売以来とても人気がある。
- 様々なニーズを満たすために、幅広いカメラとレンズを提供する。一眼レフ・EOS R・EOS Mを同時に開発中だ。最も重要なことは我々が顧客が望んでいることを注意深く聞き取り、実行に移すことだ。
- 現時点で一眼レフ・EOS R・EOS Mの開発計画は定まっていない。顧客の反応を待っている。
EOS RとRFレンズのフィードバックや販売実績は?
- 販売実績は当初の予想とほぼ一致している。我々はRFレンズに関する膨大な肯定的フィードバックを得ている。
- RF50mm F1.2Lを使った人は誰もがそれを気に入っている。
- RF24-105mm F4Lは焦点距離とF値がEFレンズと同等だが、ナノUSMのおかげでオートフォーカスは高速かつ静かで画質の向上にも驚かれている。
- RF35mm F1.8やRF28-70mm F2の反応も楽しみだ。
- 3種類のマウントアダプターに対する反応はとても肯定的だ。EFレンズユーザーにとって互換性の保証以上であるべきだと感じ、マウントアダプタのアイディアを考え出した。面白く、非現実的なものもあったが、全ての選択肢を検討していた。
- マウントアダプターによるオートフォーカス速度の低下を懸念する顧客が多いのは認識していた。そして、キヤノンのマウントアダプターとカメラ・レンズではそれが当てはまらない。性能低下しないだけでなく、コントロールリングやドロップインフィルターによって強化されている。これにより顧客はとても満足していた。
- EOS Rはとても前向きなフィードバックを得られた。AF・EVF・バリアングル・互換性・エルゴノミクスについて好意的だ。特に低照度AFの評価が高い。
- 高性能なRシリーズや高速連写・ボディ内手振れ補正・優れた動画性能・デュアルカードスロットなどのニーズは認識している。
一眼レフからミラーレスへの移行について
- アメリカではカメラ市場全体のうち、ミラーレスの比率は30~35%だ。そして比率は毎年数%上昇している。キヤノンを含めて複数のフルサイズミラーレスシステムが発表されたので、その傾向はさらに強まるだろう。
- 我々はミラーレスを真剣に開発しているが、同時に一眼レフにも一生懸命取り組んでいる。EOS Rシリーズのプログレードモデルを含めて複数検討しているが、現時点ではまだコメントできない。
- フィルムから一眼レフへの移行は基本的なデザインを踏襲して内部を変えるだけだったが、ミラーレスの移行は完全に異なるものだ。ミラーボックスを排除することで多くのことに影響する。
- ミラーレスはこれからもどんどんと良くなり、果ては一眼レフよりも良くなるだろう。しかし、ミラーレスの電子ファインダーが光学ファインダーのクオリティに達する日が来るのかはまだ分からない。
- 将来何が起こるかはまだ分からない。だからこそ、一眼レフとミラーレスを開発し続けている。
ミラーレスの利点とは?
- F2.8Lシリーズはプロやハイアマチュアに最も売れているシリーズだ。EFマウントでは出来なかった改善点を盛り込み、RFレンズで提供したいと思っている。これらは既に開発中だ。
- そして、我々は市場で見たことも無いような新しいコンセプトのRFレンズの開発もしている。これらはRFマウントを活用した柔軟性な光学設計だ。
動画について
- EOS Rシステムで大きなウェイトを占めている。例えば8K動画対応カメラは既にEOS Rシリーズのロードマップに織り込み済みだ。
- 動画撮影のためにRFレンズをより良くする方法についても検討中だ。例えばRF24-105mm F4Lは静かで滑らかなAFを実現している。ナノUSMを搭載したレンズラインアップをさらに拡大する予定だ。
- Cinema EOSの売上を守るために、EOSの動画機能に制限を設けることはしない。そのような話はまったく真実ではない。クロップ無しの4K、より高速なフレームレート、ボディ内手振れ補正、C-logの普及などは強く認識している。現時点でタイムラインを示すことは出来ないが開発中だ。
- Cinema EOSとはシステム・プロセッサー・センサーなどが本当に異なる。Cinema EOSの技術をEOSへ持ち込むのは簡単なことではない。
ミラーレスをやりたかったのか?
- 全ては顧客のニーズにより動いている。一眼レフでもミラーレスでも問題ない。ミラーレスのニーズを満たすのが最善と判断したら、我々はそれを満たすために実行するだろう。とてもシンプルな行動原理だ。
- 市場のシェア(現行1位)は気にしていないが、我々が顧客のニーズを満たしてきた結果だと考えている。
- フルサイズミラーレスを顧客が求め、我々がそれに応じた。そしてラインナップの拡張が求められている今、そのニーズを満たすために動いている。
- しかし、前述したように市場のシェアは65?70%がデジタル一眼レフだ。ミラーレスだけに焦点を当てるのは現時点で正しい答えではない。両方重要である。
EOS Rが一眼レフと似ていることについて
- EOSは「高速・快適・高画質」という独自のブランドコンセプトで31年に渡り進化し続けている。可能な限り最高のカメラを提供することに追及しており、それが一眼レフかミラーレスかというのは関係ない。
- ベースとなる哲学は本当に重要であり、その哲学を変えることは無い。EOS一眼レフとEOS Rが似ていると感じるのは我々の哲学によるものだ。
イメージセンサーのブレイクスルーについて
*センサー技術がEOS Rの足を引っ張っているのでは?というインタビューワーの質問を受けて。
- スケジュールについてはコメントできない。
現状の開発リソースについて
- 現在、EOS Rシリーズにはカメラが1台しかない。これは拡充し強化する必要がある。そのため、当面はEOS Rシステムに焦点を合わせる必要があるだろう。もちろんEOS Mや一眼レフも同時進行しているのは忘れないでほしい。
キヤノンのミラーレスに対する哲学
*他社で言うところの小型化・高速連写・高速AFというポイントに対して
- 一眼レフでもミラーアップしてライブビューを使うことでミラーレスと同じパフォーマンスを実現することが出来る。その時、技術的にミラーレスの利点を考えると、それはショートバックフォーカスであると我々は信じている。それがRF28-70mm F2だ。
- ユーザーエクスペリエンスでも最高のパフォーマンスを確保するためデータ通信を劇的に強化している。
- ミラーボックスが無くなることによりカメラ設計のアドバンテージが生まれるため、カメラ設計や全体的な光学系やデータ通信の改善に全力を尽くしている。実際、最初に発表した4本はRFマウントシステムの可能性を示すためのレンズ群だ。かつてない28-70mm F2、優れた画質の50mm F1.2のようなレンズを選んだ。
EOS-1D Xのようなカメラは登場するか?
- 具体的な計画をお話することは出来ない。正確なスケジュールは不明だ。しかし、ハイグレードモデルは既に検討注だ。そして、そのプロジェクトでは1D Xと同水準のオートフォーカスを目指している。
- プロを含めて幅広い顧客をターゲットに複数のモデルを検討している。最初にEOS Rを導入した決定は正しかったと信じているが、多くの顧客がハイエンドモデルの登場を楽しみにしていることは認識している。
- 開発中と約束できるが、まだしばらく時間はかかるかもしれない。
- プロモデルは間違いないが、次はアマチュアモデルで大勢の顧客をステップアップさせるモデルとなるかもしれない。
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