IMAGING RESOURCEがX Summit NYC 2022にて富士フイルムにインタビューした内容を公開。1/18万秒SSの秘訣や新型56mmF1.2、GF20-35mmの開発秘話など。
X-H2とX-H2Sの信号/ノイズ比とダイナミックレンジの比較
- 画素ピッチが狭くても、画素レイアウト(アンプ回路など)を変更し、フォトダイオードをワイド構造にすることで、画素に多くの電子を持たせることができるようになった。
- これにより、より多くの光を蓄積して飽和させることができるようになり、ISO125を実現することができた。
- また、これらのハードウェアの変更により、画素が物理的に小さくなっても、静止画のダイナミックレンジはほぼ同じレベルに保たれている。
1/18万秒のシャッタースピードの秘密は?
- 電子シャッターの露光時間設定の精度を格段に向上させた。
- これまで超高速域での露光時間制御の精度は低く、1/3ステップ単位での制御は困難だった。
- 今回、新型センサーの機能として、露光時間のリセットと読み出しのタイミングを精密に制御する能力を向上させ、最速で1/18万秒の電子シャッタースピードを実現した。
ピクセルシフトモードの画像は、コンピューター上で組み立てる必要がある?
- カメラ単体で20セットの画像を撮影することはできるが、それらをマージするのはPC上のソフトウェアだ。
- カメラ内部でマージすることはできない。
X-H2はX-H2Sと同じプロセッサーを使用しているのか、それとも違うのか?
- 同じである。
積層型センサーを使わずに、どうやってブラックアウトフリーのEVFを実現したのか?
- X-H2はライブビュー画像を飛ばし読みしているため120fpsで表示できる。
(訳注:本文では「X-H2S」と記載されていますが、どう見ても誤記なので修正)- X-H2Sはフル画素数で120fpsでライブビュー画像を表示できる。
なぜ8K/60pのオプションがないのか?
- センサーの性能限界(読み出し速度)により、フレームレートは8K/30Pに制限される。
20fpsで静止画を撮影する場合、フレームはクロップされるのか?
- 20fpsで1.29倍のクロップファクター(2400万画素)で撮影する。
クロップ動画撮影時のデジタル手ブレ補正は改善されるのか?
- デジタル手ブレ補正を行う際に10%クロップしている。
- クロップモードでより多くの補正を実現することは可能かもしれないが、現状では実施していない。
初代56/1.2の最短撮影距離70cmは、シャープネスに限界があったのか?
- オリジナルの56/1.2レンズは、物理的にはもっと近くにピントを合わせることが可能だったが、そうすると富士フイルムレンズが持つべきシャープネスを発揮することが出来なかった。
新型56/1.2のボケ味の向上は、どのような経緯で実現したのか?
- 新しい設計手法の最大の狙いは収差を抑え、最大限のシャープネスを高めるこだ。これが結果的にボケ味にも影響している。
- 特にボケを狙った設計の部分は、11枚羽根の絞りを採用したことだ。
新型56/1.2の絞りは、フォーカスレンズ群と共に動くのか?
- 絞りをはじめ、フォーカスレンズ群は一体となって動作する。最短撮影距離の向上や近距離での画質向上に大きく貢献する。
120gのフォーカス群でDCモーター駆動。AFスピードは?
- AF速度については現行レンズと同等だ。
- レンズ群の重量はかなり重くなっているが、DCモーターのトルクアップとレンズ駆動アルゴリズムの改良により、同等の性能を実現した。
今後、WRレンズは増えていくのか?
- 最近のレンズはすべて耐候性がある。
- 最初の世代はそうではなかったが、ある時点で標準機能にすることを決定した。
- 最近のレンズはすべてそのように作られ、将来のレンズもそうなるだろう。
20-35mmがこれほど軽量コンパクトである秘訣は?
- 最も重要な点は、GF35-70mmレンズと同じ小型の光学系コンセプトを適用したことだ。そのために、さまざまな工夫をした。
- 持ち運びを容易にするために、インナーズーム方式を採用。その分、制約も多いので、光学設計と機構設計の両面で苦労した。
- このレンズがコンパクトになった最大の要因は、ズームリングを回すとすべてのレンズが動くように、1つの機械式カムを採用していることだ。
- カムの鏡筒は2種類の径があり、通常であれば2つのカムアセンブリが必要だが、技術者はそれらを組み合わせて、より複雑な1つのカムですべてのズーム動作に対応することに成功。レンズの直径と重量の両方を減らすことができた。
- さらに軽量化のために、レンズ本体に4種類の素材(マグネシウム、アルミニウム、真鍮、プラスチック部品)を使用し、エンジニアがそれぞれの部品の重量、剛性、コスト、製造性などを考慮して最適な選択をできるようにした。
110mmのティルトシフトには驚いたが、あれはどういった経緯で実現したのか?
- ティルト・シフトレンズの市場やジャンル、使用例を見ていると、より長い焦点距離のニーズもあることが判明した。
- 30mmは建築写真などには適していたが、商業マーケットではファッション撮影やその他のスタジオワークのようなものにはもっと長いものが必要だ。
とのこと。
X-H2の驚異的な1/180000秒シャッタースピードは制御能力の向上で実現したようです。これが他のイメージセンサーを搭載する機種(例えばX-H2S)でもファームウェアアップデートなどで可能となるのか気になるところですね。競合他社の多くは1/32000秒が限界であることを考えるとユニークな機能となっています。
シャッタースピードは向上しているものの、高解像センサーで読み出し速度には限界がある模様。8K 60pやラインスキップの無いファインダー像は難しいみたいですね。それでも4000万画素センサーを搭載するAPS-Cとしては十分に高性能だと思いますが…。
個人的に気になっていたのが「56mmF1.2の絞りがフォーカスユニットに内包されているのか」という点でしたが、新型は絞りごとフォーカス群が動く仕組みで間違いないとのこと。重量のあるフォーカスレンズ群をトルクのあるDCモーターで動かす必要があるようです。最近の富士フイルムレンズとしては珍しい…と言おうとしたものの、そう言えば「XF50mmF1.0 R WR」もDCモーターを使用するレンズでしたね。
(レンズがどのようなモーターを使用しているのかは富士フイルムのQ&Aページが参考になります。)
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参考情報
X Summit NYC 2022
X Summit OMIYA 2022
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