2023年1月19日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」と思われる実施例のほか、インナーズームタイプの「10-20mm F4」を想定したような光学系の実施例も含まれています。
概要
- 【公開番号】P2024007656
- 【公開日】2024-01-19
- 【発明の名称】ズームレンズ及びそれを有する撮像装置
- 【出願日】2022-07-06
- 【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社- 【課題】 高い光学性能を有し、小型かつ広画角なズームレンズを提供することである。
- 【背景技術】
【0002】
風景撮影や天体撮影等のため、広角レンズが広く用いられている。広角レンズには、高い光学性能を有し、小型でありながら広画角化を実現することが求められている。- 【0005】
一般的にネガティブリードの光学系は、構成するレンズ群が非対称な配置となるため、非点収差などの諸収差の補正が難しくなる。特に広画角化や小型化を図る場合、負の屈折力を有する最も物体側のレンズ群等の屈折力が強くなるため、前述の収差が多く発生してくる。- 【0006】
このため、ネガティブリード型の光学系において広画角化と小型化を図りつつ、像面湾曲などの諸収差を良好に補正し、高い光学性能を得るには各レンズ群の屈折力等を適切に設定することが重要になってくる。- 【0007】
特許文献1では、各レンズ群の屈折力を弱めて非点収差や像面湾曲などの諸収差を補正しているが、光学系が大型化してしまい好ましくない。- 【0008】
そこで本発明は、高い光学性能を有し、小型かつ広画角なズームレンズを提供することを目的とする。実施例1
- 焦点距離:10.30-17.50
- F値:4.63-6.13
- 半画角:53.0-38.0
- 像高:11.28-12.95
- 全長:74.63-73.78
- バックフォーカス:10.97
実施例2
- 焦点距離:15.00-29.10
- F値:4.63-6.42
- 半画角:55.-36.3
- 像高:17.85-21.46
- 全長:122.37-109.82
- バックフォーカス:13.33
実施例3
- 焦点距離:10.30-21.35
- F値:4.63-6.33
- 半画角:53.0-32.5
- 像高:11.38-13.66
- 全長:84.74-75.36
- バックフォーカス:10.97-14.95
実施例5
- 焦点距離:10.30-19.40
- F値:4.12
- 半画角:52.9-35.2
- 像高:11.38-13.52
- 全長:75.89-75.89
- バックフォーカス:10.97
実施例1は「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」と同じレンズ構成とパラメータとなっているので、商品化されたレンズの元となった可能性あり。実施例2のパラメータは一見すると「RF15-30mm F4.5-6.3 IS STM」のようにも見えますが別物。RF-S10-18mmと似たような構成の「10-20mm F4.5-6.3」も存在しますが実現はしなかったようです。
興味深いことに、実施例5のみインナーズームタイプの「10-20mm F4」となっています。ここ最近のAPS-C用広角ズームは動画撮影の需要を見越したであろう電動操作に対応したズームレンズが増えています。(例えば「NIKKOR Z DX 12-28mm f/3.5-5.6 PZ VR」「E PZ 10-20mm F4 G」など)
キヤノンからも似たような電動広角ズームが登場したとしても不思議ではありません。ひょっとしたら将来的にこのような光学系を採用した新しい広角レンズが登場するかもしれませんね。「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」が存在するので可能性は低そうですが……。
私はEOS R7と組み合わせて使用中。
ざっと使ってみたところ、3000万画素のEOS R7でも良好な光学性能を発揮しているように見えます。歪曲収差の補正はカメラ側に丸投げのように見えますが、そのぶん解像性能はとても良好。もちろん補正時に四隅の画質が低下する可能性は注意が必要です。それでもAPS-C用の広角ズームとしては手ごろで、面白い選択肢になるのかなと。
キヤノン RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM 最新情報まとめ
特許関連記事
- キヤノン「24-130mm F4 IS」「24-80mm F2.8 IS」のような光学系の特許出願
- キヤノン ティルト効果をタッチ操作で簡単に調整する仕組みの特許出願
- 富士フイルム レンズ固定式GFX用と思われる「35mm F3.5」「40mm F3.5」「50mm F3.5」光学系の特許出願
- RF70-150mm F2 L のような特許内の光学系は実際に登場する可能性がある?
- キヤノン 50-250mm F4.5-5.6 を想定したようなAPS-C向け光学系の特許出願
- キヤノン 70-150mm F1.8 フルサイズミラーレス向け光学系の特許出願
- ニコン 35 / 50 / 85 mmのF1.4 / F1.8 光学系の特許出願
- キヤノン「400mm F4 TC DO」「600mm F4 TC DO」を想定したような光学系の特許出願
- キヤノン RF28-70mm F2.8 IS STM 用と思われる光学系の特許出願
- シグマ フルサイズミラーレス用「50-100mm F1.8」「45-90mm F1.8」光学系の特許出願