2021年10月21日付けでキヤノンの気になる特許出願が公開。「TS-E90mm F2.8L Macro」用と思われる実施例を含め、TS-E Macroレンズに関するレンズ構成をいくつか公開しています。
概要
- 【公開番号】特開2021-167982(P2021-167982A)
- 【公開日】2021年10月21日
- 【発明の名称】撮像光学系及びそれを用いた撮像装置
- 【出願日】2021年7月29日
- 【分割の表示】特願2017-109742(P2017-109742)の分割
【原出願日】2017年6月2日- 【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社- 【課題】 無限遠から近距離へのフォーカシングに際して収差変動が少なく、フォーカス全域で高い光学性能を有し、かつ周辺光量を充分確保することが容易な撮像光学系を得ること。
- 【0002】
近年、レンズ交換式のスチルカメラ等の撮像装置に用いる撮像光学系には、大口径比で、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して収差変動が少なく、フォーカス全域にわたり高い光学性能を有することが要求されている。- 【0005】
ダブルガウスタイプの撮像光学系は、大口径比化が容易で、物体距離の変動に対する収差変動が比較的少ないという特徴がある。しかしながら、ダブルガウスタイプの撮像光学系において、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して全系を移動させると、瞳の移動量が増加してくる。この結果、フォーカス全域で周辺光量を確保しようとすると、レンズ有効径が増大し全系が大型化してくる。- 【0006】
大口径比で、無限遠から近距離へのフォーカシングに際して高い光学性能を有し、かつ周辺光量を充分得るためには、レンズ構成や各レンズに用いる材料等を適切に設定することが重要となってくる。- 【0007】
本発明は、無限遠から近距離へのフォーカシングに伴う収差変動が少なく、フォーカス全域で高い光学性能を有し、周辺光量を充分確保することが容易な撮像光学系及びそれを有する撮像装置を提供することを目的とする。実施例3
- 焦点距離:90.00
- F値:2.91
- 像高:34.00
- 全長:132.06
- 撮影倍率:0.5
パラメータやレンズ構成を見る限り、「TS-E90mm F2.8L Macro」用だと思われます。公式で公開しているレンズ仕様のイメージサークルは「φ67.2mm」であり、実施例の像高とよく似ている(イメージサークル=像高×2)。このレンズが登場したのが2017年12月なので、原出願日が2017年6月というのも納得のタイミング。
TS-E90mm F2.8L Macro | |||
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実施例1
- 焦点距離:55.99
- F値:2.91
- 像高:21.60
- 全長:83.72
- 撮影倍率:0.5
こちらは「TS-E50mm F2.8L Macro」の実施例か?というと違う。ただし、コンセプトはTS-Eレンズだと思うので、おそらく現行モデルを実用化するにあたってボツにした案なのかなと。現在RFマウントのティルト・シフトレンズ「TS-R」が噂されているものの、このまま実用化することは無いはず。
とは言え、毎週いくつもキヤノンの特許出願が公開されているものの、ティルト・シフトレンズに関する実施例が含まれているのは珍しい。ミラーレスシステムで先行しているソニーが全く未着手の領域であり、キヤノンが今後どのようなTS-Eレンズを展開するのか気になるところ。
TS-E50mm F2.8L Macro | |||
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