ニコン「1000mm F8 PF」「600mm F5.6 PF」を想定したような光学系の特許出願

2023年2月16日付けでニコンの気になる特許出願が公開。回折光学素子を用いた「1000mm F8」「800mm F6.3」「600mm F5.6」「400mm F4.5」を想定したような実施例を含んでいます。

概要

【公開番号】P2023023323

【公開日】2023-02-16

【発明の名称】光学系及び光学機器

【出願日】2021-08-05

【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン

【課題】良好な結像性能を持った光学系及び光学機器を提供する。

【背景技術】
【0002】
従来、回折光学素子を用いて小型化された光学系が提案されている（例えば、特許文献１参照）。しかしながら、特許文献１は、さらなる光学性能の向上が要望されているという課題があった。

【発明の概要】
【0004】
本発明の第一の態様に係る光学系は、物体側から順に、回折光学素子を有する第１レンズ群と、合焦時に移動する第２レンズ群と、少なくとも１つのレンズ群を有する後群と、を有し、第１レンズ群は、最も物体側に正レンズを有し、次式の条件を満足する。

実施例1

焦点距離：585.0002

F値：5.7100

半画角：2.10557

像高：21.6

全長：309.4549

バックフォーカス：95.6894

実施例3

焦点距離：999.99972

F値：8.1600

半画角：1.22886

像高：21.6

全長：419.0888

バックフォーカス：84.30629

実施例5

焦点距離：779.93334

F値：6.4201

半画角：1.56305

像高：21.6

全長：393.4548

バックフォーカス：63.44872

実施例6（レンズ構成図のみ掲載）

実施例8

焦点距離：390.019

F値：4.600

半画角：3.14

像高：21.6

全長：247.546

バックフォーカス：45.26893

回折光学素子を使った超望遠レンズと言えば「NIKKOR Z 800mm f/6.3 VR S」を連想しますが、実施例5のレンズ構成を見る限りでは別物のようですね。
（追記：よくみたら実施例6の構成が非常に良く似ていたので追加掲載）

実施例8の「400mm F4.5」は「NIKKOR Z 400mm f/4.5 VR S」と同じようなパラメータですが、回折光学素子は使っていないのでもちろん別物。これら実施例は、製品化されたレンズの開発中に出てきた一案なのか、それとも別の何かを検討中なのか、今のところは分かりません。

興味深いのは実施例3の「1000mm F8」でしょうか。キヤノンは既存レンズ（600mm F4）にテレコンバージョンレンズ（×2.0）を内蔵することで小型軽量化しつつ「RF1200mm F8 L IS USM」を実現しています。対してニコンは回折光学系を用いて1000mm F8を実現しようとしていたのでしょうか？焦点距離を考慮するとずいぶんコンパクトなレンズとなりそうですね。

とは言え、既に公開された特許出願から製品化される例は非常に少ないです（特にニコンは）。Z 800mm F6.3用の特許である可能性が高く、他の実施例は期待しないほうが良いかもしれません。

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