Dustin Abbottがキヤノン「EOS R7」のレビューを公開。最高水準のAFシステムをEOS R3から継承し、3250万画素のセンサー画質も優れていると高く評価しています。
Dustin Abbott:Canon EOS R7 Review
ビルド・外観:
- この種のカメラに期待する項目をほぼ全て満たしている。
- ?マグネシウム合金製ボディの耐候性は、90Dに匹敵すると言われている。つまり良好だが、R3/R5/R6に見られるような高いレベルではない。
- 電源を切ると、センサーにゴミが付かないようにシャッターで保護する機能がある。
バッテリー:
- R5やR6にも搭載されているLP-E6Nバッテリーバックを採用。
- 容量が2130mAhで、モニター使用時の定格撮影枚数は770枚だ。競合機種と比較しても、非常に競争力がある。
(訳注:これは省電力時の撮影枚数です)- USB-C経由の充電にはUSB-PD製品が必要となるが、幸いにも普及し始めている。
インターフェース:
- 左側のポート構成は、多くのキヤノンカメラと非常によく似ており、残念ながら開きやすい(そして望むときにも開いたままにできる)ドアの代わりにフラップ。邪魔にならないように扱うのが難しい仕組みのカバーだ。
- マイク出力とともにヘッドホン出力に対応。通信と充電に利用するUSB-Cポートを備えている。
- さらにリモートケーブルとマイクロHDMIポートを備えている。
- マイクロHDMIは標準HDMI端子よりも脆く、誰からも好まれない。
- メモリーカードスロットは右側面にあり、二つのSD UHS-II対応スロットを搭載している。これはX-T4と同じで、α6600やEOS R10のシングルスロットよりも優れている。
- 無線LANやBluetooth 4.2など、ちゃんとした通信手段を備えている。
- MFI認証のケーブル(USB-C端子)を使えば、スマホに直接挿すことができるのは面白い。
- ホットシューは、デジタルオーディオ録音にも対応するため、「マルチファンクションシュー」と呼ばれるようになった。
携帯性:
- EOS RPとボディサイズと似ている。
- R5より少し小さく感じるが、エルゴノミクスはAPS-C機よりもR5に近く、とても良いことだ。
- ボディのみで530g、バッテリーとメモリーカードを入れても612gと、富士やソニーのボディとさほど変わらない重さだ。
- 富士フイルムのX-S10とほぼ同じ重量だが、グリップの握りやすさや操作性を考慮するとR7に軍配が上がる。
グリップ:
- 主要な競合他社のどれよりも手に馴染むボディだ。
- 最も顕著なのはグリップの深さで、手に非常によく馴染み、ボディに装着した重いレンズを簡単に支えることができる。
- X-T4やα6600とは大きな違いである。
- グリップの深さは富士フイルムやソニーのボディ厚みくらいある。
操作性:
- RPとR6をミックスしたような操作系だ。
- R5/R6と同じような位置にあるジョイスティックの周りにコントロールホイールがある。
- ファインダー左側は一般的にON/OFFスイッチがある場所だがR7は何もない。
- 電源スイッチは「ON」を通り越して動画モードにならないように学習する必要がある。しかし、動画モードに直接切り替えられるようになったことはプラスと言えるだろう。
- 専用の拡大ボタンがないものの、他の多くのキヤノンのモデルと同様だ。
- 代表的なボタンのほとんどは、若干の入れ替えを行いながら、ほぼ同じ位置にある。
- 目新しいAF/MFスイッチは、メニューに入ることなく素早く操作可能だ。RF-SレンズはAF/MFスイッチを搭載しないことを示唆しているのかもしれない。
- ハイエンドボディにあるようなサブ液晶モニタは無いが、ファインダーの横に機能的なモードダイヤルがある。正直なところ、R5の複雑なシステムよりも、やりたいことを素早く、直感的に選ぶことができる。
手ぶれ補正:
- 優れたボディ内手ぶれ補正を搭載している。
- ISを搭載したレンズと組み合わせることで、さらに効果を発揮する。
- キヤノンのシステムは非常によくできていると思う。
- 自動水平補正機能により素早く水平を維持した撮影が可能となった。 ただし、極端な傾きや、電子先幕シャッターや高速連写ができないなどの制限がある。
ファインダー:
- OLED電子ビューファインダーの解像度は236万ドットだ。
- X-T4の解像度より低く、他の競合他社の解像度と同等だ。
- 倍率は1.15倍と高く、レスポンスも良い。
- アイカップの位置はα6600よりもずっと良く、目を押し当てたときの快適さはトップレベルだ。
モニター:
- 162万ドットの解像度を持つ3.0型液晶パネルを搭載。
- X-T4に搭載されているものと同じで、α6600やEOS R10の解像度より優れている。
- タッチ操作の点で最高峰であり、反応時間が非常に速く、感度も良好だ。
- メニューデザインは、おそらくタッチ操作に最も適したものである。
メニューシステム:
- 記載なし。
フォーカスシステム:
- EOS R3からフォーカスシステムの多くを受け継いでいる。
- センサーのカバー率がほぼ100%で、特定のフレームに被写体を維持する必要が無く、楽に追尾できる。
- 犬の追従撮影する一連のテストでは、307枚の連続撮影のうち、188枚が5つ星、83枚が3?4つ星、34枚が1?2つ星の評価であった。
- 被写体がカメラに近づいたときが失敗の大半で、これはごく一般的なことだ。
- ピントがずれて(典型的な後ピン)、高速で移動する被写体に戻らずにそこに留まっている状況もいくつか見受けられた。
- パフォーマンスはR3やR5、R6で見たものほど強力ではないが、レンズが原因だった可能性がある。(RF24-105mm F4 L IS USM)
- 瞳AFは動物・人・鳥どのような被写体でも良好に動作した。
- 動画撮影中もトラッキングAFが良好に機能していた。
連写性能:
- 連続撮影枚数は競合他社と同じく欠点となっている。RAWの30fps連写では1.5秒未満しかバッファが持たず、15fpsのメカニカルシャッターではもう少し余裕ができる。
- 犬を撮影する時は3秒以上の連続撮影となることが多く、一連の撮影が終了するよりも前にバッファが尽きる状況に遭遇した。
- シャッターの音/動作は、R5やR6のシャッターよりも「明瞭な」音ではないので、私は好きではない。
- 電子シャッターは読み出しが遅いため、ローリングシャッター効果(パンニング時に直線がわずかに曲がる)が発生することがある。
- また、電子シャッターが作動していると、フリッカー防止機能やフラッシュ撮影などの機能が使用できなくなる。
- メカニカルシャッターを使用し、静粛性や連続撮影速度が必要な場合に電子シャッターを使用することをおススメする。
解像性能:
- 3250万画素は非常に高い解像度だ。
- C-RAWは、ほぼ同等の品質を提供しながら、RAWの約54%のサイズに圧縮されている。
- 高解像度の欠点として、レンズの粗が目立ったり、手ぶれの影響を受けやすく、回折の影響を受ける絞り値も小さくなる。しかし、これらのマイナス要素が高解像のプラス要素に勝るとは思っていない。
- 当初、3250万画素センサーは90DやM6 IIと同じものだと考えていたが、キヤノンは新たに開発したセンサーであると述べている。
高感度ISOノイズ:
- ISO3200までは微細なノイズが入る程度で、非常にきれいな結果が得られる。
- ISO6400でもベースISOとの間に明確な差は無く、全体的に良好な結果が得られている。しかし、等倍ではISO3200で見るよりも粗い明らかなノイズがある。とは言え、色ずれやバンディングはなく、非常に使いやすい。
- ISO12,800でもほぼ同様だが、ノイズレベルが上昇しシャドーのコントラストが悪化する。しかし、まだ使える範囲だ。
- ISO25,600、ISO32,000では画質の悪化が進み、比較するとISO12,800がとてもきれいに見えてしまう。
- ISO12,800は、ほとんどの状況で実用的な限界だ。
ダイナミックレンジ:
- 4段分のアンダーを復元しても、シャドーをきれいに回復することができる。
- 適正露出に対する「ダメージ」は、基本的にノイズが少し増えるだけだが、それは微細なノイズであり致命的な画質低下とはならない。
- しかし、4段と5段の間で限界に達し、お馴染みの崩壊の兆しが見え始める。ノイズパターンがかなり重くなり、グリーンの色ずれが目立ち、カラーバンディングが散見されるようになる。
- ハイライトは3段分の露出オーバーを回復している。完璧とは言えないが、ほとんどの色はきれいなままで、ハイライトの大部分は回復している。
- ハイライトでは予想以上に良い結果が得られ、クラストップとまではいかないまでも、このダイナミックレンジには満足している。
画質・仕上がり機能:
- EOS R7に搭載されたセンサーの性能には、概ね満足している。様々な理由からどちらかというとフルサイズ派だが、EOS R7で撮った画像は編集や閲覧において、慣れ親しんだものと大差ないように感じられた。
- キヤノンの強みである発色の良さ、ディテールの良さ、そして編集のしやすさを兼ね備えた画質だ。
- 私がこれまでテストしたキヤノンのAPS-Cセンサーの中で、おそらく最高のものであり、私が見てきたAPS-Cセンサーの中でも最高のもののひとつである。
動画:
- センサーの高解像度化により、7Kオーバーサンプリングで4K 60p動画を記録できる。
- 優れたオートフォーカスと手ぶれ補正システムの恩恵をさらに受け、非常にディテールのある映像を作り出す。
- 29分59秒で人為的に録画が制限される時代は過ぎ去り、メモリーカードが一杯になるまで(理論上は)録画が続けられるようになった。
- ビットレートが高く、発熱量が多い場合、熱によるシャットダウンが早くなることがある。
- EOS R5で問題になったオーバーヒートの問題をファームウェアで解決する方法を見つけたようで、EOS R7も熱制御のサブメニューがあり、カメラに熱関連の問題をどのように処理させるかのオプションが用意されている。
- 4Kは60pまでだが、FullHDでは120pが可能で、本格的なスローモーション撮影ができる。動画スペックは市場の競合機種と比較しても十分遜色ないものだ。
- Canon Log 3と、より高いダイナミックレンジの映像のためのHDR PQも搭載している。
- 動画モードスイッチを搭載したことで、静止画撮影用とは全く異なるメニュー設定やカスタマイズボタンが利用できるのも、動画撮影には嬉しいポイントだ。
総評
EOS R7はリーズナブルな価格で多くの機能を備えたカメラだ。驚異的な連続撮影速度を実現し、優れた高解像度3250万画素など、多くの魅力を備えている。フォーカスシステムはEOS R3からほぼ継承しており、キヤノンの中でも最高水準だ。素晴らしいフォーカスと驚異的なフレームレートの欠点はバッファが詰まりやすいことくらいだろう。
1499ドルという価格帯で、非常に人気の高い7Dシリーズの精神的後継機だ。 ミラーレスの形で生まれ変わり、より良いものになっている。 7Dが夢見たことを実現し、7Dの最終モデルから10年間の空白にもかかわらず、価格は同じままだ。キヤノンはAPS-Cの領域に非常にうまく飛び込んできたが、システムを競争力のあるものにするために、幅広いRF-Sレンズで完全にコミットすることが必要である。
- 長所:
・最も機能豊富なキヤノンAPS-C
・優れたエルゴノミクス
・優れた手ぶれ補正
・AFシステム
・被写体検出
・高解像のバリアングルモニタ
・解像度の高いセンサー
・高速連写
・動画機能
・ISO性能とダイナミックレンジ- 短所:
・RF-Sレンズラインアップ
・バッファ
とのこと。
キヤノンEOS Rシリーズ初となるAPS-Cボディですね。3250万画素と高解像ながら高速連続撮影に対応し、APS-C EOSとしては初のボディ内手ぶれ補正を搭載。さらに4K 60pやAFジョイスティックや充実したメニューシステムなど、これまでのEOS APS-Cの常識を覆すような1台となっています。Dustin Abbott氏のレビューでは、高画素ながら良好なセンサー性能を実現しており、ローリングシャッターにさえ気を付ければ良好なAPS-Cセンサーの画質のようです。AF性能はR5やR6よりも見劣ると指摘しているものの、適切なRF-S望遠ズームでどのような結果となるのか気になるところ。
私も発売日に入手し、これまでに様々なレンズと組み合わせて使い続けています。全体的な印象はDustin Abbott氏と概ね同じですが、ダイナミックレンジやISO感度ノイズの耐性は競合他社の2600万画素BSIセンサーや2000万画素FSIセンサーと比べると少し見劣りする部分があるように感じています。とは言え、EOS 90D比で軽減しているローリングシャッター歪みや高速連写などは魅力的なポイント。従来機と比べてRAWとC-RAWの画質差が無くなっているので、気軽にC-RAWを使えるのもポイントと言えそうです。欲を言えばCFexpress Bに対応していたり、普通のリアダイヤルを使いたかったところですが…。
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