DPReviewが正式発表されたばかりの富士フイルム製ミラーレス「X-T4」の紹介と第一印象を公開しています。
Fujifilm X-T4 initial review
新機能
- X-T3と比べて最も大きな変化は「ボディ内手ぶれ補正」の追加だ。X-H1の補正ユニットよりも小型軽量、そして静かだ。新開発のメカニズムにより、最大で6.5段の補正効果を得ることが出来る。
- 被写体追従システムが距離情報に加えて色や形状も考慮するようになった。これによるパフォーマンス向上は明らかであり、ファームウェアアップデートでX-T3もパワーアップして欲しいものだ。
- X-Pro3の顔・瞳検出機能を継承している。ジョイスティックを操作することで検出を無効にできるとても効果的な機能だ。
- 新しいシャッターユニットによって毎秒15コマの連写撮影に対応した。シャッター耐久回数は30万回だ。シャッターは「メカ・電子先幕・電子」のいずれかを使用できる。?1/32000秒を利用する場合はいちいち電子シャッターへの切替が必要だ。
- 新フィルムシミュレーション「ETERNA Bleach Bypass」は名前の通り、ブリーチバイパス処理を施したETERNAライクな仕上がり設定だ。
- X-Pro3に追加された「トーンカーブ」をさらに改善した機能が実装されている。より微調整が可能となっており、RAW現像時にトーンカーブを変更する機能もある。
- X-Pro3に導入した「カラークロームブルー」を利用可能だ。
- X-T4は「非圧縮RAW」「ロスレス圧縮RAW」「圧縮RAW」の3種類を利用可能だ。「圧縮RAW」は非圧縮RAWとほぼ同じクオリティで圧縮率の高いRAW形式となっている。ただし、まれにシャドウ領域で違いを感じるかもしれない。
- ボディ内RAW現像で8/16bit TIFF出力に対応している。特に16bit TIFFはJPEGより順応性が高くなるものの、RAWよりファイルサイズが大きくなってしまう。
- 多重露光には露出平滑化機能が備わっている。
- 動画のコアな仕様はX-T3とよく似ている。4K 30/60p・8/10bit・4K UHD/DCI 4Kに対応している。X-T4はさらにFHD 240fps動画に対応しており、任意に1/10~1/4のスローダウンが可能だ。
操作性
- ボディ内手ぶれ補正は動画撮影時に重要となってくるが、X-T4はさらにバリアングルモニタも導入している。動画ユーザーにとって間違いなく訴求力があるポイントだ。
- X-T3よりも少しグリップが深くなっている。
- 背面レイアウトは少し手が加わっている。Qボタンが右上へ移動し、AELボタンがジョイスティックの上へ移動した。
- ファインダー横はAF-ONボタンとなっている。丸みを帯びているので知覚しやすく、操作しやすい。
- リアコマンドダイヤルは少し飛び出ており、操作しやすくなっている。
- 測光ダイヤルは「静止画/動画」の切替スイッチに変更された。これにより、X-T3と比べて遥かに動画へアクセスしやすくなっている。
- ヘッドホン端子は無いが、USB-C端子経由で利用可能だ。X-T2やX-H1と同様、バッテリーグリップ側にヘッドホン端子が備わっている。
- SDカードスロットのカバーは取り外すことが可能だ。リグを組む時に便利である。
- ISOオートは従来通り3パターン設定可能だ。焦点距離に連動して低速限界を前後に微調整する機能は無い。
- 新しいNP-W235バッテリーを使用している。バッテリーライフが改善し、さらにUSB-PD製品による給電にも対応している。
- X-T4には5つのパフォーマンスモードが存在する。
・通常
・低消費電力
・ブースト低照度優先
・ブースト解像度優先
・ブーストフレームレート優先
・ブーストモード時は僅かな消費電力増加でAFスピードが大きく改善する。
Economy | Normal | Boost 低照度 |
Boost 解像度 |
Boost EVF レート |
|
---|---|---|---|---|---|
AF Speed | 0.08 sec | 0.08 sec | 0.02 sec | 0.02 sec | 0.02 sec |
LCD rate | 30 fps | 60 fps | 30 fps | 60 fps | 60 fps |
EVF rate | 60 fps | 60 fps | 30 fps | 60 fps | 100 fps |
Auto Power Save | 12 sec | No | No | No | No |
Battery life LCD | 600 | 500 | 480 | 480 | 480 |
Battery life EVF | 570 | 500 | 450 | 450 | 450 |
動画
- 大部分の動画機能はX-T3と同様だ。とても高品質な動画に加え、リニアPCM以外にAACでも録音が可能である。
- 最大の違いはボディ内手ぶれ補正を搭載していることだ。第一印象としては補正し過ぎず、とても効果的な補正状態だ。電子ISを併用することでさらに強めの安定感を得ることができる。
- 新しくFHD 240fpsで撮影が可能となっている。1/4 60pから1/10 24pでの出力が可能だ。
- 静止画と動画モードでメニューシステム分けられている。動画にフラッシュ設定項目は必要無いで省略された。一方、オーディオとタイムコードの項目が新設されている。これは素晴らしい改善点だ。
- Qメニューも静止画から独立している。
- フォーカスチェックロック機能が追加されている。録画を開始してもフォーカスチェックが維持され、すぐに全体像に戻らない設定が可能だ。
- F-logビューアシスト機能を備えている。
- ラインレベルのオーディオ入力に対応している。
クロップ | 電子IS 併用クロップ | |
---|---|---|
4K ?30p | フル画角 | 1.1x |
4K ?60p | 1.18x | 1.29x |
1080 ?60p | フル画角 | 1.1x |
1080 high-speed mode | 1.29x | ? |
第一印象
- X-T4はX-T3の正常進化モデルと呼ぶには少し異質な存在だ。X-H1後継モデルやX-T3の手ぶれ補正搭載モデルを望んでいた人のためのバリアントだ。X-T3とX-H1の中間に位置する値付けもそれを示している。ソニーα6400とα6600の関係性と似ている。
- 多くのX-T3ユーザーはX-T4へのアップグレードの必要性を感じていないはずだ(ボディ内手ぶれ補正を必要としていない限り)。
- 手ぶれ補正はX-H1と比べてとても良くなっている。
- AF追従性は明らかに改善している。
- バッテリーライフの改善とボディ内手ぶれ補正の追加は動画ユーザーに喜ばれる仕様だ。しかし、なぜヘッドホン端子を省略したのか分からない。USB経由でヘッドホンを利用可能だが、細かいアクセサリを持ち歩きたくない。
- X-T4の改善内容がファームウェアアップデートでどれだけX-T3に実装されるのかは不明だ。
とのこと。
ボディ内手ぶれ補正やAFの強化は静止画ユーザーにも歓迎できる強みと感じますが、細かい部分で動画ユーザーに喜ばれる改善が盛り込まれているみたいですね。コアな動画仕様に大きな変化は無いものの、もともと競合するAPS-Cミラーレスより高機能なので心配する必要は無いはず。
ボディ内手ぶれ補正と電子ISの組み合わせは強力そうですねえ。ローリングシャッターの影響が気になる所ですが、X-Trans CMOS 4の幕速は比較的速く、歪みは最小限に抑えられると思います(それでも影響は残ると思いますが)。
今後のXシリーズでボディ内手ぶれ補正が普及するのか、それとも一部限られたシリーズのみ搭載するのか?個人的にはX-E3後継モデルに載せて欲しいのですけども…。
追従AFや瞳検出がどれほど改善しているのか気になるところ。DPReviewが公開している動画を確認する限りでは期待できそうな予感。
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