D FA 21mmF2.4ED Limited DC WRは間違いなくリミテッドレンズである

PENTAX FORUMSが「HD PENTAX-D FA 21mmF2.4ED Limited DC WR」のレビューを公開。抜群の光学性能ではないものの、絶妙なボケ味やLimitedらしい高級感のある外装を高く評価しています。

PENTAX FORUMS：HD Pentax-D FA 21mm F2.4 ED Limited DC WR

外観・構造：

オリジナルのFA Limted3本がリリースされて以来となる、初のフルサイズ対応Limitedレンズだ。31mm・43mm・77mmには無いいくつかの機能を備えている。

主なハイライトは防塵防滴とフォーカス駆動である。

付属品はLimitedシリーズらしいものだ。

レンズフードは本体に固定されている。上下が付きだした形状となっており、側面に遮光性はほとんどない（その代わりにフィルター操作が可能）。

レンズ前面にはSPコーティングが施されている。撥水撥油性に優れ、耐久性を高めている。

フィルターは67mm径に対応している。49mm径の43mmや77mm、58mm径の31mmとは異なる。

エレガントな被せ式の金属製キャップが付属する。内側はフェルト生地で覆われている。Limitedレンズらしい作りだ。

外装は全て金属製だ。他のレンズと同じく、抜群のビルドクオリティである。古いLimitedレンズと比べて多少の違いはあるものの、見た目の相性もいい。

しっかりとした構造でがたつきや緩みは無い。

レンズマウントは金属製だ。KAF4マウントのため、メカニカルな絞り駆動の構造が無い。

携帯性：

適度なサイズ感のあるレンズだ。パンケーキレンズよりも大きいが、同等の広角レンズと比べるとコンパクトである。

操作性：

被写界深度指標やm/ft ピント位置の表示がある。

絞り開放では1/3段の露出不足となる場合が頻繁にあった。

フォーカス：

静かな環境ではフォーカス駆動の動作音を聞き取りやすい。2021年発売のレンズとしては期待外れだ。

インナーフォーカス駆動のため、全長は一定だ。

オートフォーカスは正確で、一般的な撮影ではレスポンスが良い。とは言え、スピード重視のフォーカス速度とは感じない。いくつかのPENTAXレンズで採用しているPLM駆動のほうが印象的である。

ライブビューAFはファインダーよりもレスポンスが僅かに鈍いように感じる。

マニュアルフォーカスは他のLimitedレンズと同等だ。我々の期待以上である。

我々のテスト環境において、良い条件でも0.6秒よりフォーカス速度が速くなることはない。低照度では1秒以上かかる。悪く無い結果だが、最高の結果ではない。

ファインダーとライブビューに大きな違いが見られないのは良いニュースだ。さらにフォーカス精度が高い。

手ぶれ補正：

記載なし。

解像性能：

実写では十分な解像度とディテールを備えている。全体的な雰囲気は落ち着いており、ソフトな描写ではない。

ラボテストのAPS-Cフレームでは中央が絞り開放から非常に良好で、絞るとさらに改善する。フレーム端と隅はシャープネスが低下するものの、F5.6~F11で違いは最小限となる。実写で差を見つけるのは難しい。

ラボテストのフルサイズフレームでは中央が絞り開放から非常に良好だ。絞るとさらに改善する。フレーム端や隅は実用的だが、中央と同等の解像度に達することは無い。

実写テストでもラボテストの結果と同じになる。F4まで絞るとカミソリのようにシャープな中央画質が得られる。フレーム端もF4で中央に近い性能となる。隅は決して良好ではないが、絞ると着実に改善する。

像面湾曲：

像面湾曲は最小限だ。

ボケ：

ボケは美しい描写だ。絞りによらず、粗い描写は見られない。

玉ボケは絞っても円形を維持している。口径食の兆候は見られない。

色収差：

色収差はほとんどない。絞り開放から見つけるのは難しく、F4で解消する。

球面収差：

記載なし。

歪曲収差：

歪曲収差の補正はほぼ完璧だ。

周辺減光：

フルサイズでは周辺減光が非常に目立つ。絞り開放で-1.4EVだ。絞ると急速に改善し、F4で目立たなくなる。

コマ収差：

記載なし。

逆光耐性：

光源がフレーム中央にある場合はフレアとゴーストが発生する。絞るとフレアは穏やかになるが、ゴーストは多くなる。F11以降はフレアのハロが出現する。最高の結果ではない。

光源がフレーム端の有る場合、フレアを良く抑えている。ゴーストは全ての絞り値で発生しているが十分な結果だ。

光条はF8から始まり、F11で心地よい描写となる。

作例集

総評

ペンタックスユーザーにとって、Limitedレンズは特別な存在だ。「D FA 21mm F2.4 Limited」はまさにスペシャルなレンズである。

コンパクトで、金属製の美しい筐体に上品な刻印が施されており、兄弟機と並べても違和感がない。絞りリングがないにもかかわらず、21mmの美しさは他のレンズと同じである。

APS-C LimitedのDA 20-40mmに続き、Limitedレンズでは2本目となる防塵防滴も備えている。

KAF4を使用しているため、これまでに製造されたすべてのペンタックスカメラと互換性があるわけでは無い。2021年の時点で、これは最小限の影響であり、ペンタックスがごく一部のユーザーのために後方互換性を確保する代わりに、前を向くことを決めたのは理解できる。

光学的にも、D FA 21mmはLimitedシリーズによくマッチしている。一般的に優れた光学性能を備えているが（いくつかの癖はあるが）、際立たせているのはその描写だ。控えめで絶妙なバランスのボケ味、質感、豊かな色彩が特徴的な描写を作り出している。

シャープネスは、どの絞りでも印象的な中央画質を得られる。端と隅もかなり良いが、F5.6-F11の間を除いて中央ほどシャープではない。絞り開放では、主役がいるときに真価を発揮するレンズだ。広い範囲を撮影する場合には、F8で撮影するのが良いだろう。このように、絞り値によってさまざまな効果を発揮し、用途に応じて使い分けることができる。

周辺光量はAPS-Cではほぼ完璧で、フルサイズではF4以降は無視できるレベルだ。絞り開放では、状況によっては目立ってしまう。

ボケ味は息を呑むほど素晴らしい。すべての絞り値で美しい玉ボケが得られ、口径食の気配もなく、素晴らしく滑らかな微ボケが、これらの素晴らしい結果に貢献している。

色収差はよく抑えられているが、フレアとゴーストはPENTAXレンズで最高とは言えない。特にゴーストは、フルサイズでの使用時に頻発する。広角レンズでは一般的なことだが、PENTAXレンズにはもう少し良い結果を期待していた。一方、APS-Cクロップで隅のフレアはほとんど発生しない。

歪曲はほぼ完璧だ。広角レンズとしては、これは期待以上である。

フォーカス速度は十分だが、最高ではない。低照度下では1秒以上かかり、速度は0.6秒よりも速くなることはない。

21mmはスピード感のあるレンズではない。しかし、非常に正確で、決して躓くことは無い。

D FA 21mm F2.4は、KマウントのラインナップとLimitedファミリーの両方にとって、本当に歓迎すべき製品です。我々のテストでは、レコードホルダーとなる光学性能ではないが、その先にある美しい写真を撮るための素晴らしいレンズであることが分かった。それがLimitedのあるべき姿なのである。

長所：
・小型で優れたビルドクオリティ
・絞り値全域で優れた中央解像
・クラスリードのボケ
・歪曲収差の補正
・絶妙な描写
・APS-Cで光量落ちが少ない
・正確なAF
・防塵防滴
・色収差の補正状態

短所：
・フルサイズでの周辺減光
・AFの駆動音
・PENTAXとしての期待を下回る逆光耐性

とのこと。
シャープネスの均質性や逆光耐性などは完璧と言えないものの、状況に応じて素晴らしい写真を撮ることが出来るレンズに仕上がっているみたいですね。ポートレートレンズのように滲みを伴う柔らかい描写ではありませんが、超広角レンズとしては滑らかで口径食が少ないボケ描写に見えます。解像性能もF4~F5.6まで絞ればフレーム周辺部まで十分シャープな結果が得られているように見えます。
「21mmF2.4」としては高めの価格設定ですが、2021年にこだわりの一眼レフ用レンズを投入しようとすると、このような値付けとなるのかもしれませんね。

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