DPReviewがライカ「Leica M11」のイニシャルレビューを公開。高画素化でピント精度やオールドレンズに限界を感じつつも、アナログとデジタルの融合に一歩踏み出していると評価。シャッター音はM10ライクらしい。
DPReview:Leica M11 initial review
主な特徴
- デュアルゲインの裏面照射型6000万画素(60MP)CMOSセンサー
- マルチフィールド露出計
- ISO 64-50000
- 3種類のRAW解像度(60/36/18MP)
- ベースプレート無し
- 64GB内蔵メモリ・SD UHS-II
- 最大1時間のシャッタースピード
- 1/16000秒までの電子シャッター
- ライブビューの電子手ぶれ補正
- ビゾフレックス2
- シルバーモデル:真鍮製トッププレート
- ブラックモデル:アルミニウム製トッププレート
- どちらも8995ドル
60MP BSIセンサー
- M10の24MP、M10-Rの40MPから大幅に向上。
- 重要なのは裏面照射型画素構造への移行。
- 受光部がチップの最前面にあることでより大きな集光効果が得られる。
- Mマウントのようにフランジバックが非常に短く、レンズがセンサーに非常に近い位置に装着されるシステムでは特に重要となる。
2層式フィルター
- 従来のIRフィルターと保護ガラスではなく、非常に薄い2層フィルターがセンサーの前に配置されている。
- これは非常に浅い角度からの光を受け入れる必要があるためだ。
- 厚いカバーガラスでは、このような浅い角度の光がガラスを通過せずに反射してしまう可能性が高い。
- 浅い角度の光に対してはIRフィルターの精度が下がり、可視光が失われてしまう。
- 非常に薄く、非常に特殊なIRフィルター層を、非常に薄いUVフィルター層に固定した。
- この薄さにより、より多くの光が画素に届くようになり、隅のシャープネスが向上した。
- 非常に正確なIR・UVのカットオフがあるため、可視光のフルスペクトルを捉えるR、G、Bフィルターの色素を使用することができ、より正確な色を再現することができる。
マルチフィールド測光(訳注:撮像面の測光)
- シャッター羽根の反射光を測る二次光量計ではなく、メインの撮像素子ですべての露出測光を実施。
- これにより、Mシリーズで初めて「マルチフィールドシーン」測光を実現。
調整可能な解像度
- RAWファイルとJPEGファイルを3つの解像度から選択して撮影可能。
- 60MP(L)、36MP(M)、18MP(S)
- ファイルサイズの縮小は、センサーの全画素を最初にサンプリングして作成されるため、ラインスキップやサブサンプリングを行う場合に比べて、ノイズの影響を受けにくく、モアレのリスクも軽減される。
- ダウンスケールによるノイズ低減効果あり。
- ライカはMおよびSファイルのダイナミックレンジを、60MPモードの14段よりも1段高く見積もっている(ライカによれば、これまでのMの中で最も高い数値)。
- JPEGとRAWの解像度をそれぞれ独立して選択することが可能。
- なお、センサーはクアッドべイヤーではなく、ピクセルビニングに特化したレイアウトとのことだ。
クロップモード
- 60MPの解像度を活かして、39MPで1.3倍、18MPで1.8倍のクロップモードを搭載。
- これらのクロップは、解像度の調整と異なり、RAWとJPEGの両方に適用される。
- クロップはRAWファイルのメタデータタグに過ぎないので、編集時に上書きすることが可能だ。
ライブビューの手ぶれ補正
- 手ぶれ補正付きのライブビュー拡大モードが新たに搭載。
- 近接した被写体への微調整が容易。
- 手ぶれ補正はすべてデジタルで行われ、センサーの視野をウィンドウで表示し、カメラの動きを補正するように動す。
- 切り出した領域を使用する必要があるため、プレビューにのみ使用され、最終的な画像には補正が適用されない。
ボディとハンドリング
- ライカのレンジファインダーであることに間違いない。
- 外観に大きな変化はないが、いくつか大きな変更点がある。
- 最大の変更点は、ライカQやSLに採用されている、バッテリーに直接アクセスできるデザインを採用したことだ。
- バッテリードアはなく、バッテリーのベースプレートが底面の一部を構成している。
- バッテリーを取り出すには、カメラの底面にある小さなレバーを押すと、カメラ本体からバッテリーがスライドして出てくる。その後、少し押し上げると、床に直接落ちないようにするための2つ目のロックが外れる。
- バッテリーを取り外すと、同じコンパートメント内にあるSDカードスロットにアクセスできる。
- この変更により、バッテリーやカードスロットにアクセスするためにネジを外す必要のあるベースプレートがなくなった。しかし皮肉なことに、カメラの底面にUSB-Cコネクターを装備したことで、その必要性が大幅に減少した。
- USB-C端子は、カメラの充電に加え、メモリーカードやカメラに内蔵された64GBのストレージからデータを素早く取り出すことができる。
- iPhoneやiPadに接続するためのApple認定のUSB-C to Lightningリードが付属。
- トッププレートのシャッターボタンの隣にファンクションボタンが復活。カメラ背面のFnボタン、背面のコマンドダイヤル押し込みと合わせて、3つのコントロールポイントをカスタマイズできるようになった。
- いずれも、ボタンを長押しするとメニューが表示され、どの機能を割り当てるかを再設定できる。
- 背面モニタはM10の104万ドットから233万ドット(1080×720ピクセル)にアップグレードされた。
- 新しいバッテリー「BP-SCL7」を搭載。バッテリーは13.3Whで、M10で採用されたSCL5と比較して64%の容量増加となる。
- これにより、CIPA規格のテストにおいて、1回の充電で700枚の撮影が可能だ。
イニシャルインプレッション
- Mシリーズの真の近代化に向けたライカの最も確実な一歩
- 新しいセンサーは素晴らしく、M10よりもはるかに多くの解像度と画質
- M11のセンサーは「常時作動」でマルチモード測光が可能
自動露出の予測不能性も少し軽減されている。- 高画素化でレンジファインダーのピント精度は限界と感じる
- 高画素化でオールドレンズの性能に限界を感じる
- いつでもダウンサイズできるが60MPを捨てることになる
- 像面位相差搭載によりレンジファインダーでもピントの確認ができると良かった
- 起動時間がかなり長い(2秒)
フィルム時代の(ライカじゃないと憤慨した)M7と同程度- シャッター音はM10と同じで、M10派生の静音シャッターではない
- 完全無音の電子シャッターは好みが分かれる
- 三脚使用時にバッテリーやメモリーカードは交換不可だがUSB-Cは使用可能
新しいデジタルMは、私にとって常にエキサイティングなものであり、楽しみでもある。最終的に、M11は撮影するのがとても楽しく、素晴らしい結果が得られる、その癖(昔からあるもの、デザインに固有のもの、新しいもの)をうまく使いこなせるようになれば、その効果は絶大だ。ライカMシリーズの中で最も多機能で高性能な機種であり、ライカがアナログとデジタルの境界線を前世代よりも少し自信を持って曖昧にすることを選択したことを嬉しく思う。
とのこと。
解像度の調整が可能な6000万画素の高解像センサーに、極薄IR/UVフィルター、新しい配列のカラーフィルター、ベースプレートの省略など見どころが多いライカMシリーズとなっていますね。とは言え高画素化によってピント精度やオールドレンズの解像度は確かに気になる問題と言えそうです。特にレンジファインダーを使用した際のピント精度は限界かもしれませんね。ピント精度を重視するのであれば、外付けEVF「ビゾフレックス2」は手に入れておいたほうが良いでしょう。ライブビュー時の手ぶれ補正機能が役に立つはず。
とは言え、ライカにこれを付けて写真を撮りたいか?というとまた好みが分かれそうですが…。3600万画素・1800万画素まで解像度を落として使うのもひとつの選択肢(ノイズ低減・ダイナミックレンジで恩恵もあるようですし)。
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