DXOMARKがパナソニック「LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.」のレビューを掲載。口径食や周辺減光の点で非常に優れているものの、シャープネスや透過率、色収差補正などはクラストップのレンズに及ばないと指摘しています。
DXOMARK:Panasonic Lumix S Pro 70-200mm F2.8 O.I.S. Lens review: Good performer but not class-leading
DXO 解像 歪曲 減光 透過 色収差 S 70-200 S1R 34 36 0.2 -0.8 3.1 7 Z 70-200 Z 7 38 38 0.3 -1.6 3.1 5 70-200GM a7R II 39 38 0.3 -1.7 2.9 5 EF 70-200 5DsR 33 33 0.3 -1.3 3.3 3 AFS70200G D810 31 27 0.3 -0.9 3.2 6
- パナソニック「LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.」を、同社の高画素機「LUMIX DC-S1R」に装着してテストしたところ、DXOMARKスコアは34点となった。
- ほぼすべての絞りと焦点距離で良好なシャープネスだが、例外的にF22では回折の影響でシャープネスが大きく低下する。
- 中心部のシャープネスも良好で、少し絞ると望遠側でも強力な性能を発揮する。
- 歪曲収差もよく補正されており、常に0.5%以下で、より長い焦点距離でも低レベルだ。
- 絞り開放から、特にズームレンジの両端で、わずかに口径食や周辺減光が見られる。しかし、全体的には非常によくコントロールされている。
- 透過率も優れており、70mmでT2.9と測定されているが、焦点距離全域でライバルレンズほど安定していない。透過率は70mm以上でT3.1に低下するが、その領域ではかなり安定している。
- わずかな欠点があるとすれば、倍率色収差の抑制だ。焦点距離が長くなるほど、特に200mmではかなり高いレベルになっている。
- 全体的に見て、パナソニックLUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.は良好なパフォーマンスだ。
シャープネス
- すべての絞りと焦点距離において、フレーム中央部で見事なシャープネスだ。
- しかし、70mm F2.8における隅のシャープネスはかなり遅れている。1段絞ったF4にするとわずかに改善され、3段絞ってF8にすると中央部に近づく。
- このような周辺部と隅での弱い特性は、広角側に限られている。105mmから200mmまでの望遠側では、1段絞るだけで、フレーム全体の安定したシャープネスが得られる。
- NIKKOR Z 70-200mm F2.8 Sは、すべての焦点距離において、絞り開放の中央部のシャープネスがわずかに高く、特に70mmと85mmでは、F11まで隅のシャープネスが大幅に向上する。しかし、焦点距離を伸ばしていくと、LUMIX S PRO 70-200mm F2.8 O.I.S.における隅の性能が200mmまでに徐々に追いつく。
- FE 70-200mm F2.8 GM OSSに対して、パナソニックは、開放で同程度のシャープネスだが、200mmはソニーの方が中央と隅のシャープネスが優れている。絞り込んでいくと、F4以降で両者のシャープネスは非常によく似ている。しかし、各絞りではソニーの方が高いレベルにあり、全体として3つの中で最もシャープだ。
色収差
- パナソニックは、3枚の超低分散レンズを含む6枚のEDガラスを採用しているにもかかわらず、倍率色収差のレベルが予想よりも若干高い。
- これはソフトウェアで比較的簡単に取り除くことができるが、色付きはシャープネスレベルを低下させる可能性があるため、後処理で改善するのは困難だ。
- 135mmまでの短い焦点距離では、色収差のレベルが低く、影響を非常によく軽減している。しかし、200mmでは非常にレベルが高く、すべての絞り値で15ミクロンを超えている。
- この比較では、どちらのライバルも色収差を抑えているが、200mmでは他の焦点距離よりも高いレベルを示している。
歪曲収差
- 歪曲収差の補正はカメラ内やソフトウェアで行うよりも、光学的に行うのがベストだ。この点で、パナソニックは優れている。樽型歪曲収差は70mmでわずか0.4、200mmでは0.3%と非常に低い値を示している。
- ニコンは70mmでわずか0.1%の樽型で、200mmで0.6%の糸巻き型に変形するが、平均すると3つの中では最も優れている。
周辺減光
- パナソニックのハイライトの一つは、比較的ケラレが少ないことだ。
- 多くの70-200mm F2.8ズームと同様、広角側でケラレが少なく、それ以降のズームレンジ全体では光量落ちが次第に目立ってゆく。
- 測定上の最高レベルは四隅でわずか-1EVで、ズームレンジ全体でかなり安定した数値だ。
- しかし、視覚的には200mmの方が重みがあり、シェーディングのない中心部が小さくなっている。
- NIKKOR Z 70-200mm F2.8 SとFE 70-200mm F2.8 GM OSSは、70mmでは四隅が約-1.4EVでピークを迎え、200mmでは約-2EVまで上昇する。
透過
- 高い透過率が求められるズームレンズにおいて、透過率が安定していないと、ズーミング時の露出レベルの変化が気になってしまう。
- パナソニックは、85mmから200mmまで一貫しているが、70mmでは+0.2EVの差があり、撮影中に解決しなければならない問題がある。
- 安定性という点では、NIKKOR Z 70-200mm F2.8 Sよりも少し劣る。
- そして、NIKKORもPanasonicも、このグループのリーダーである、より安定して「より明るい」T2.9のFE 70-200mm F2.8 GM OSSに大きく遅れをとっている。
結論
「70-200mm F2.8」は、多くのプロが日常的に使用しており、どのメーカーのラインナップにおいても重要な指標となるものだ。フルサイズ市場に参入して間もないパナソニックにとって、キヤノン、ニコン、ソニーの「ビッグ3」からユーザーを引き離すためには、このレンズの性能は非常に重要である。
このパナソニックレンズは多くの点で非常に優れた性能を持っている。すべての焦点距離で中央部のシャープネスが良好で、歪曲収差や周辺光量の低下も少ない。しかし、すべての焦点距離で開放時に一貫したシャープネスを持つNIKKOR Zには敵わず、絞り込んだ後のソニーのような高いシャープネスも無い。非常に良好なレンズではあるものの、ライバルと同じ水準ではない。
とのこと。
周辺減光はライバルと比べて優れているものの、シャープネスの均質性やピークの性能、色収差補正などはクラストップの最新レンズと比べると少し見通りするようです。とは言え、パナソニックとしては初となるフルサイズ用の大口径ズームレンズでこれほどのパフォーマンスを発揮するのは凄い。実際、キヤノンやニコンの一眼レフ用レンズよりも高い評価を獲得しています。(ニコンE型レンズのテスト結果は無し。全てレンズでカメラは高画素機を使用)
クラスリードのレンズには及ばないものの、その差は驚くほど大きいものでは無く、実写では快適に使うことが出来そうです。特にライカLマウントでは貴重なF2.8望遠ズームですので重宝することでしょう。
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