Xitekがニコン「Z fc」のレビューを公開。基本的にZ 50と同じパフォーマンスのレトロスタイルカメラと評価。このカテゴリで成功するには調和のとれるレンズラインアップの拡充が必須と指摘しています。
カメラの紹介:
- 2013年にニコンはレトロスタイルのフルサイズ一眼レフ「Df」を発売したが、2020年に至るまで後継モデルは登場していない。
- レトロスタイルはミラーレス分野で長年人気があり、代表的なブランドは富士フイルムやオリンパスだ。一眼レフスタイルとレンジファインダースタイルに分かれている。
- レトロスタイルは様々なパラメータを調整する複数のダイヤル搭載しており、一連の操作が精密機械であることを感じることができ、とても魅力的だ。
- ニコンもレトロスタイルのカメラに関する噂が5月から出始め、ついに6月末に正式発表された。「Z fc」のfcはそれぞれ「Fusion」「Casual」の頭文字である。
ビルド・外観・携帯性
- ?Z fcはニコンAPS-Cミラーレスで2機種目となるカメラだ。グリップを省略することで最軽量のデザインを実現している。
- 外観は過去のフィルム一眼レフ「FM2」の要素を取り入れている。
- 主な仕様は基本的にZ 50と同じだ。Z 50の高感度ISO性能は継承され、ファインダーなども同等だ。
- Vlogのニーズに応えるため、自撮りに便利なバリアングルモニタをZカメラで初めて導入した。
- レトロスタイルの外観であるZ fcは大きなメカニカルダイヤルを搭載し、直線的なデザインとなっている。一眼レフであるDfと比べて、カメラは薄く小さくなっている。全体的にFM2に近い外観だ。
- グリップがないうえ、大口径Zマウントにより右手でカメラを保持する部分が狭い。大きなレンズや重いレンズとは相性が悪い。
- ペンタ部のロゴは1970?1980年代にかけて使用されたデザインだ。
- ボディの材質はマグネシウム合金で、強度と耐久性を維持しつつ、小型軽量化を実現している。防塵防滴仕様で、外装にはフェイクレザーが施されている。外装の金属部分はサテン仕上がりのコーティングが施されている。
- バッテリーはZ 50と同じEN-EL25を使用する。Z 50よりもバッテリーライフは長い。
- メモリカードはZ 50と同じくSD UHS-Iに対応。残念ながらSD UHS-IIには非対応だ。
キットレンズ 28mm F2.8
- Z DX 16-50mm シルバーとZ 28mm F2.8 SEが同時に登場した。
- Z 28mm F2.8は開発発表されているレンズの外観を変更した特別モデルだ。全長は43mm、重さ160gと携帯性が良い。
- Z 28mm F2.8のフォントはAi Nikkorと同じだ。コントロールポイントはフォーカスリングのみである。レンズマウントはプラスチック製で軽量化が施されている。
操作性:
- メカダイヤルの上部デザインは一眼レフと同じく上面が黒色、シリンダー部が銀色となっている。左肩はISOダイヤルとP/A/S/Mモードダイヤルの2層構造だ。右肩にはシャッタースピードダイヤルと露出補正ダイヤルを搭載している。
- ダイヤルはそれぞれ誤操作を防ぐためのロックボタンを搭載。
- オートISOが設定されている場合、ISOダイヤルは下限ISO設定として機能する。(訳注:この機能を実際に確認できません)将来的に富士フイルムのように「A」ポジションを用意して欲しいものだ。
- シャッタースピードダイヤルは「1/4000-4秒」「1/3STEP」「B」「X」「T」の間でロック可能だ。1/4000-4秒の間にロックは無く、自由に回転することが出来る。
- シャッタースピードダイヤルをXに設定すると「1/200秒」で固定される。
- シャッタースピードダイヤルの下部には静止画と動画を切り替えるレバーがある。それぞれのモードで設定が独立している。
- 露出補正ダイヤルを「C」に設定すると、モニターのタッチ操作でも露出補正を操作可能だ。
- シャッターボタンはDfと異なり、有線レリーズには対応していない。
- フルサイズZカメラと比べて、AFジョイスティックやAF-ONボタン、ドライブモードボタンが存在しない。一部の設定はショートカットメニューに登録する必要がある。
- Z 50のタッチボタンと比べて物理ボタンは快適に使うことが出来る。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- ファインダーの仕様はZ 50と同じだ。
- 0.39型 236万ドット OLEDパネルを使用している。
- 同じく1.02倍のファインダー倍率を備えているが、アイカップの形状が丸形だ。
モニター:
- 3.2型 104万ドットのバリアングルモニタを搭載している。
(訳注:3.0型だったような)- Zシリーズでバリアングルモニタを採用するのは初めてだ。
- 自撮りの際に三脚と干渉しないが、側面のマイク端子などを干渉するようになる。
インターフェース:
- USB 3.2・HDMI D・マイクジャックを搭載している。
- Vlogに焦点を当てているものの、ヘッドホンに対応していないのは残念だ。
- Z 50と異なりUSB-Cに対応しており、USB給電やウェブカム化に対応している。
メニューシステム:
- インターフェースの多くはZ 7IIやZ 6IIを継承している。
オートフォーカス:
- 動画撮影での瞳AFに対応したほか、ワイドエリアAFでの瞳検出にも対応した。
連写性能:
- 記載なし。
高感度ISOノイズ:
- イメージセンサーはZ 50と同じだ。
- ISO 100からISO 51200まで対応している。
- JPEG出力はISO 400未満で綺麗だ。
- ISO800に達すると僅かなノイズが発生し始める。
- ISO 1600でノイズが出始め、ISO 3200でカラーノイズが明らかとなる。
- ISO 6400~12800でさらに目立つようになるがシャドウに変色は見られない。
- ISO25600を超えるとカラーノイズが深刻となる。
- JPEGのノイズリダクションはディテールをつぶしやすいのでおすすめできない。
ダイナミックレンジ:
- +1?2の露出オーバーの大部分を復元可能だ。+3では白飛びが発生する。
- ‐1?2の露出アンダーは基本的に完全の状態を復元できる。‐2EVの復元でディテールが荒くなり始め、‐3EVのアンダーを復元するとカラーノイズが発生する。
- この結果はZ 50と同等だ。
仕上がり機能:
- 20種類のクリエイティブコントロールを搭載している。
動画:
- Z 50と同じく全画素読み出しとフル画角の4K 30pに対応している。
- FullHDの120p動画にも対応している。音声も記録可能だ。
- 動画撮影では人間・動物の瞳AFにも対応しており、セルフィー時に便利である。
- Z fcは電子手振れ補正とレンズ側の光学手振れ補正に対応している。
- 4Kでのタイプラプスでは最大8時間の撮影、20分の録画時間に対応している。
総評
レトロスタイルのZ 50だ。Z 50と比較して大幅な性能向上は見られない。2021年に登場した多くのレトロスタイルのミラーレスは主に外観がハイライトとなり、性能はそうではない。そしてZ fcも同様だ。
FM2をインスパイアしたデザインはモダンなデザインとは異なり、Dfよりもレトロな形状となっている。ただし、シャッターボタンが有線レリーズに対応していないのは少し面白くない。
レトロな外観のカメラには、調和のとれるレンズが必須だ。ニコンはこの点で2つのレンズを導入しているが、大部分Zレンズは相性が悪い。今のところ開発発表中のZ 40mm F2がSEモデルとして登場するかどうかは定かではない。今のところは中国産のMFレンズに期待するしかないだろう。また、FTZアダプター経由でレンズを使用することはレトロなニーズを満たしにくいと思う。Z fcのニーズが高まれば、このカメラに似合うレンズが登場するだろう。
ニコンにとってAPS-Cシェア拡大は重要な戦場である。Z fcは明らかに差別化された製品であり、オリンパスや富士フイルムのようにビジネスチャンスを掴めるかどうかわからないが、レトロスタイルのラインアップを充実させるのは重要だ。
- 長所:
・Z 50と同じ優れたCMOSセンサー
・AFカバーエリアが広く、‐4EVに対応
・フル画角の4K 30p・FHD 120p
・バリアングルモニタ
・インターバル撮影とタイムラプスに対応
・ファインダー倍率が高い
・11コマ秒の連写速度
・ワイドエリアAFの瞳検出
・USB給電とウェブカム化
・レトロスタイルな外観- 短所:
・バリアングルモニタと側面インターフェースが干渉する
・SD IHS-II非対応
・トラッキングAFは改善の余地あり
・バッテリーライフには改善の余地あり
・Zマウントのレトロスタイルなレンズが少ない
とのこと
Z 50と同じようなスペックですが、外観や操作体系が大きくレトロスタイルに寄ったミラーレスですね。Z fcが成功するかどうかまだわかりませんが、ネット上の反応はかなり良さそうに見えます。Xitekが指摘しているように、このカメラに似合うレンズをどこまで拡充できるかどうかがポイントとなりそう。今のところ主流の「フルサイズZ」でも使える単焦点レンズがメインとなっていますが、将来的にAPS-C用の単焦点レンズ登場に期待。
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