Digital Camera Worldが富士フイルム「X-H2S」のレビューを公開。優れた操作性とビルドクオリティ、そしてフルサイズに近いダイナミックレンジを備えていると評価しています。
Digital Camera World:Hands on: Fujifilm X-H2S review
Xシリーズ史上最高レベルの静止画・動画性能を誇るカメラだ。前モデルの2倍の処理能力を持ち、クラス最高の40fps連写で追従AFを実現している。動画は6.2K 30p 全幅に対応し、3種類のApple ProResコーデックを選択できるなど、目を見張るスペックを備えている。スポーツ写真家、野鳥愛好家、そして野外での撮影が多く、フルサイズセンサーのサイズや価格を望まないユーザーにとって、X-H2Sは非常に強力な相棒になるだろう。
長所:最大7段分の手ぶれ補正・40fps連写・6.2K30p / 4K 120p動画
短所:視線入力AFなし・ファン無しの場合は動画撮影時間に制限あり
紹介
- 野生動物、スポーツ、アクションなどの撮影に高速性能を必要とするプロカメラマン向けに、必要な機能をすべて盛り込んだ設計だ。また、現代のコンテンツクリエイターやハイブリッド撮影者の多様なニーズに対応するパワフルなマシンでもある。
- 新開発のX-TransTM CMOS 5 HSセンサーを搭載。X-T4に比べて約4倍の信号読み出し速度を持ちながら、解像度は同じ2610万画素だ。
- このセンサーは積層構造になっており、これが40コマ/秒という驚異的なブラックアウトフリー連写を可能にしている。
- 他社のフラッグシップ機であるニコンZ 9やソニーα1は、電子シャッター使用時で最大30コマ/秒の連写が可能だ。
- このスピードに対応するため、CFexpress Type BとSD UHS-IIカードに対応したデュアルメモリカードスロットを搭載。CFexpress Type Bは高速データ処理が可能なので、H2Sの高速連写と動画性能をフルに発揮することができる。
- また、10bitのHEIFで撮影することができ、JPGよりも保存容量が少なく、より深い色彩を表現することができる。
- オートフォーカスの面では、「予測アルゴリズムの改善」により、X-H2Sの被写体追従能力が大きく向上したと述べている。
- インテリジェントハイブリッドAFシステムを使用している。さらに、このプロセッサーにはディープラーニング技術で開発された被写体検出AFが搭載され、C-AFでの追従性を向上させた。
- 顔、動物、鳥、バイク、飛行機、車、列車など、無数の被写体を検出して補足することが可能だ。撮影者が創造性と構図に集中できる一方、AFシステムでシャープさを保つことができる。
- 動画機能はプロにとって大きなアップグレードとなる可能性がある。6.2K 30pの10bitや、鳥、飛行機、ランナーなど動きの速い被写体をスローモーションで撮影できる4K 120pのハイスピード動画の記録が可能になった。
- さらに、ProRes 422 HQ、ProRes 422、ProRes 422 LTという3つのApple ProResコーデックをサポートしている。Apple ProResは、より効率的なコーデックであるため、撮影から編集までのワークフロー全体を基本的に合理化するものだ。
- F-Log2機能もこのカメラの新しい機能である。カメラセンサーから最大14ストップ以上のダイナミックレンジを保持することができる。
- 近年、ミラーレスカメラがオーバーヒートして動画撮影が制限される現象は、悪名高く、面白い論争の種にもなっている。X-H2Sは、放熱構造を内蔵し、4K 60Pで最大記録時間を240分に延長した。しかし、これは適度な気温の環境下での話であり、高温環境下でより長い動画撮影を行うには、オプションの冷却ファン(FAN-001)を購入し取り付ける必要がある。
外観
- X-H2Sを手にしたとき、多くの点でX-H1と似たような印象を受ける。
- しかし、X-H2Sは1日使える大きなバッテリーを使用しているにもかかわらず、わずかに小さくなっている。
- グリップはがっしりとした感触で、小さな手でもしっかりホールドできるよう工夫されている。
- 前モデル同様、天面にモノクロ液晶ディスプレイを搭載し、主要な露出設定やカメラモードがひと目でわかるようになっている。
- モードやダイヤルの洗練など、小さな変更点もある。
- X-H1に搭載されていたスイッチやダイヤル類はすべて削除され、カスタムボタンでの操作になったが、必要なものすべてにアクセスしやすく、感覚的に配置できるような、すっきりとしたデザインに仕上がっている。
- フォーカスセレクトスイッチは廃止され、ファンクションボタンに変更された。ダイヤル類はより堅牢になり、押し心地もよく、シャッターボタンの半押しもスムーズだ。天板のアイレットも変更され、より大きなストラップを装着できる。
- カメラプレート上部のシャッターボタン横には、専用の録画開始ボタンが追加されているのも大きな変更点だ。162万ドットのバリアングル液晶タッチパネルと並んで、ハイブリッドカメラらしい特徴と言えるだろう。
ハンズオン
- 最初に気づいたのは、その手触りの良さと、ハンドリングの楽しさだ。少し大きめのグリップは、新しいXF150-600mmF5.6-8のような非常に長いレンズを使用するときでも、快適につかむことができる。
- 高速の被写体を撮影することはできなかったが、ロンドンのコベントガーデンを散策して、オートフォーカスの追従性がいかに優れているかを実感した。
- 最も驚かされるのは、驚異的な連写速度だ。本格的なCFexpressでテストしたいところだが、標準的なSDカードでも素晴らしいスピードでコマ送りされ、しかもシャープでクリアな写真が撮れる。
- スピードが売りだが、ポートレートもよく撮れる。富士フイルムはカラーサイエンスとカラープロファイルでよく知られているが、このカメラは肌色を正確かつ滑らかに表現している。
- 5軸ボディ内手ブレ補正のおかげで、室内でも天候が悪化したときでもシャープな手持ち撮影が可能であった。
- 撮影のジャンルに合わせて、撮影体験をより豊かにしてくれるオプションのアドオンアクセサリーがいくつか用意されている。大容量バッテリーを2個装着できる縦型バッテリーグリップ(VG-XH)や、有線LAN接続と高速無線通信機能を備えた2022年9月発売予定のファイルトランスミッター(FT-XH)がある。
- また、先ほど紹介した冷却ファン(FAN-001)は、「FUJIFILM X-H2S」専用設計で、高温下でもシャットダウンせずに長時間連続撮影できるようにするためのものだ。この小型で持ち運びに便利なファンは、ケーブルなしでカメラ本体の背面にクリップで取り付けられ、カメラのバッテリーで作動する。
ラボテスト
- 2600万画素らしく良好な解像性能だ。
- 低感度の場合はEOS R6やZ 6IIとほぼ同じダイナミックレンジを備えている。高感度ではZ 6IIと1EVの差が発生するが。EOS R6とは同程度だ。α6600の古いセンサーがX-H2Sに追いつくことはない。
- ノイズ耐性はフルサイズほどではないが、α6600よりも良好だ。
富士フイルムの新しいフラッグシップは、APS-Cフォーマットにこだわりたいが、スピードの壁を破るカメラを望んでいるプロにとって素晴らしい選択肢となることは明らだ。そして予算オーバーになることはない。APS-C機としては決して安くはないが、同等のフルサイズ機と比較すれば、その価値はある。
もう一つのポイントは、富士フイルムはプロスポーツ写真を含むあらゆるジャンルの写真撮影に対応できる納得のいくレンズを揃えており、APS-C市場でそれに匹敵するのはソニーだけである。そして、ソニーの最高のAPS-Cカメラであるα6600は、X-H2Sに敵わない。
初期価格は約2499ドルで、LUMIX GH6やZ 6II、X-T4よりも少し高いが、X-H2Sの性能と能力はその値付けを容易に正当化するだろう。
X-H1やX-T4で撮影しているなら、高速の被写体を撮影する仕事でない限り、まだX-H2Sにアップグレードする理由は見つからないかもしれない。
しかし、最新かつ最高の富士フイルムXシリーズのフラッグシップ機を体験し、今後何年も使える静止画・動画カメラで将来を見据えたいのであれば、特に次のステップアップを求めているXシステムユーザーにとっては、富士フイルムX-HS2は非常に良い買い物になると思われる。
とのこと。
以前のハンズオンレビューに加えてISO感度ノイズやダイナミックレンジのラボテストに関する測定データを掲載しています。imatestを使ったDCW独自の結果で、ISO感度ノイズはEOS R6と似た結果が得られ、ダイナミックレンジはISO1600までZ 6IIに匹敵との結果が得られた模様。他のレビュー・テストサイトの結果を見ると「ダイナミックレンジがフルサイズに匹敵」は言い過ぎだと思うのですが、それでも高速性を高めつつ、フルサイズに近い画質を実現したことは大いに評価できそうです。
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