DPReviewが富士フイルム「X-H2S」のイニシャルレビューを公開。性能と使い勝手が大幅に改善しており、業界のトップクラスに追いつくものであると言及しています。
DPReview:Fujifilm X-H2S initial review
積層型CMOSセンサー・X-Processor 5
- 富士フイルムによると、CMOSセンサーはX-T3/X-T4の単層BSI設計よりも3.6倍高速だ。
- X-Processor 5は前世代のプロセッサーよりも65%高速化されている。
- この組み合わせにより、より高速な撮影、より高速で洗練されたAF、より高いフレームレートでの動画撮影、より少ないローリングシャッターを実現している。
- 新しいメカニカルシャッターは最大15fps、最高速度は1/8000で、50万回の撮影に耐えられる。
- これまでのXカメラと同様、適切なタイミングで完全メカニカル、電子先幕、完全電子を切り替えるよう設定したり、シャッターの種類を手動で選択したりすることが可能だ。
- このスピードに対応するため、バッファも相応に大きくなっている。40fpsでJPEG184枚、RAW175枚の撮影が可能だ。
HEIF
- 8bitのJPEGだけでなく、10bitのHEIFファイルを撮影することができる。
- しかし、動画モードのHLGプロファイルのような、HDRガンマモードと組み合わせるオプションがない。つまり、標準的なDR画像しか撮影できず、より広ダイナミックレンジの10bitディスプレイで再生するためのHDR画像は撮影できない。
- カメラ内現像でRAWからHEIFファイルを生成できるが、ここでも追加のbit深度を本当に利用する方法はない。
- HEIFからJPEGへの変換機能がある。
改善したAF
- 富士フイルムのAFシステムがさらに改善され、キヤノン、ソニー、ニコンの最新のカメラと同様の操作性を実現している。
- 被写体追尾はより改善され、より粘り強く被写体に追従するようになった。
- 顔/瞳検出をオンにしている場合、どの顔を追跡するかを選択するようになった。
- 被写体が顔と認識されれば、顔検出・視線検出を行う。
- フォーカスエリアに近い顔・瞳を検出する。AFポイントにどのくらい顔が近ければ優先的にピントを合わせられるかは調整できない。
- 現在のファームウェアでは、まだ少し誤検出しやすい。
被写体検出AF
- 他の多くのブランドと同様に、一連の被写体認識モードを獲得した。
- 顔・瞳の認識モードは、他の被写体認識モードと分離されている。
- 顔認識・瞳認識と被写体認識を組み合わせることはできない。
- 顔/瞳検出の切り替えと被写体認識モードの切り替えを同時に行いたい場合、2つのボタンを割り当てる必要がある
(被写体検出モードを選択した状態で瞳検出をオンにすると、再び瞳検出をオフにしたときに被写体検出が行われなくなるため)- カメラが探している被写体の種類を変更するには、メニューから変更する必要がある。
動画
- X-H2Sは、内部収録のProResを追加し、10bit 4:2:2または4:2:0をALL-IまたはLongGOPで、すべての解像度およびフレームレートで撮影できる。
- 4チャンネルオーディオ収録機能が追加された。
- オプションでカメラ背面に取り付けることができる冷却ファンモジュールが用意されており、撮影時間を延長することができる。
- 60pまでの4Kは、センサーの全幅から撮影可能だ(6.2Kからのオーバーサンプリング)。
- 4K 120pモードは1.29倍のクロップを適用するが、それでも4.8Kピクセル幅を使用し、わずかにオーバーサンプリングされている。
- 1080 240pと200pのモードは、1.38倍のクロップが適用される。
- 25℃で4K 60pを約4時間(カード容量がある場合)撮影できる。
- 40℃まで気温が上昇すると20分まで低下するという。冷却ファンを追加すると、記録時間は50分まで延長される。
- 人工照明の明滅とぶつからないように、シャッタースピードを小刻みに調整することができるようになった。
- 新たにF-Log2ガンマカーブが追加された。
- X-H2SはF-Log2モードで約10.6msのローリングシャッター速度を実現し、X-T4の16.6msより高速であるとしている。より高いフレームレートやオリジナルのF-Logプロファイルを使用する場合、カメラは12bit読み出しモードを使用し、5.6ミリ秒のローリングシャッターを実現する。
- 内部収録でH.264、H.265、ProRes(422 HQ、422または422 LT)に加え、HDMIから6.2Kまたは4.8K RAW出力が可能だ。
- フルサイズのHDMI端子はv2.1規格に準拠しており、4K 120p映像も最大10bit 4:2:2で出力することができる。
競合と比べて
- 市場で唯一の真のハイエンドAPS-Cカメラだ。
- X-H2のスピードは、OM-1には少し及ばないが、α7 IVには大きく勝っている。
- 同様に、動画はローリングシャッターが少なく、センサー幅をフルに使って60pを実現できる。
- 内部収録でGH6と同様にProRes映像を撮影することもできる。
- GH6のような波形モニタや熱対策はなく、アナモフィックのようなニッチな機能もないが、X-H2Sの映像スペックは非常に競争力がある。
操作性
- 初代X-H1に搭載されていた四角い天板のステータスパネルと、コマンドダイヤルによる操作方法が復活している。
- シャッタースピードやISOのダイヤルはなく、ほとんどの設定は前面と背面のコマンドダイヤルによって行う。
- 下位機種とは異なり、クリック感のあるダイヤルではないが、その分、重厚感がある。
- 背面液晶を指でスワイプする4つの方向にも機能を割り当てることができます。
- AFジョイスティックは、AFエリアを移動させるだけでなく、AFポイントのサイズを変更することも可能だ。
- Xシリーズで初めてSD以外のカードフォーマットを採用し、最高画質の動画撮影にはCFexpress Type Bを使用する(ProRes撮影に必要なbitレートは、UHS-II SDカードの限界をはるかに超えている)。
- フルサイズのHDMI端子を採用した。
- USB端子もアップグレードされており、X-T3やX-T4のGen1(5Gbps)インターフェースからUSB 3.2 Gen2(10Gbps)に変更され、引き続きタイプCソケットだ。
- 底面には、15個の金属接点とUSB-Cソケットと思われる、かなり充実したコネクターがある。これは縦位置グリップと接続するためのものだ。
ファインダー・モニター
- ファインダーは、サイズ、解像度ともに向上している。
- 光学系は0.8倍(換算値)、OLEDパネルは576万ドットだ。
- ライブビューはこの解像度を活かしているように見えるが、ピント合わせの際に少し低下する印象を受ける。
- ブーストモードでリフレッシュレートを120fpsに上げると、解像度が少し下がり、フォーカス時の解像度はさらに下がる。
- ファインダーを暗くする「240p相当」モードもあり、これは120fpsの映像の間に黒いフレームを挿入してフレーム間の分離を良くし、動きの解釈をしやすくしている。
オートISO
- このカメラでは、3つのオートISOを設定でき、それぞれに最大ISO値と最低シャッタースピードのしきい値が設定されている。
- これらのしきい値は、特定のシャッター速度に設定することも、1/焦点距離のシャッター速度を使用する「オート」に設定することもできる。
- ただし、このオート値には、より速いまたはより遅いシャッター速度を使用するように調整することは出来ない。
- オートISOは、静止画でも動画でもマニュアル露出モードで使用でき、シャッタースピードと絞りを選択し、オートISOで画像の明るさを維持することができる。
バッテリー
- X-T4と同じNP-W235を採用。
- 1回の充電で液晶使用時580枚、ファインダー使用時550枚の電池寿命を実現。
- 強力なUSB電源から直接電源を供給できるため、内蔵バッテリーへの負担を軽減できる。
- オプションの縦位置グリップVG-XHは、内蔵バッテリーに加え、2個の予備バッテリーを搭載でき、バッテリー駆動時間を2.6倍(なぜ3倍でないのかは不明)に延ばす。
第一印象
- 積層型CMOSセンサーを採用したミラーレスは、今回で7台目だ。
- 他の積層型CMOSと同様、一見すると物足りなさを感じるかもしれない。画質に大きな差があるとは思えないし、機能の大半は従来機と基本的に同じだ。新フィルムシミュレーションの追加もない(既存のノスタルジックネガが追加されたのみ)。
- プロスポーツカメラマンはつい最近まで15fpsで撮影していたので、40fpsは多くの場面で過剰になってしまう可能性がある。同様に、4Kを120fpsで撮影することは非常に良いことだが、ほとんどの用途では、1/4または1/5速のスローモーションで終わる。
- しかし、オートフォーカスのレスポンスや精度が向上し、動画のローリングシャッター速度が向上し、24p映像がより美しく、ファインダー体験がよりスムーズで精細になるなど、読み出しと処理の高速化がミラーレスカメラのあらゆる側面を向上させる。
- 40fpsや4K 120pはまだ試していないが、静止画の撮影でも、一段と強力になったカメラだと感じる。
- 被写体認識モードを使わなくても、オートフォーカスが格段に良くなっている。性能も使い勝手も飛躍的に向上しています。
- X-H2Sの性能が最近のライバルに匹敵するかどうかはまだ判断できないが、顔・瞳検出をメインAFシステムに統合(選択したAFポイントに追従)したことは、大きな進歩だ。
我々の最初の印象では、パワーと使いやすさの点で、最高ライバルに追いついたのではないかと思う。X-H1の後継機を待っている人たちは、このカメラに大喜びするだろう。正直なところ、Xマウントにこだわる人なら誰でも、このカメラが示すシステムの性能に満足するはずだ。唯一の疑問は、積層型CMOSのコストをかけずに、この性能をどれだけ他の製品に還元できるかということだ。
とのこと。
富士フイルムXシリーズのミラーレスとしてはパフォーマンスが非常に高く、より洗練されたカメラとなったみたいですね。新型センサーとプロセッサによる高速化の恩恵もさることながら、AFシステムに改良が加えられているのがありがたいですね。特に従来機は「顔検出・瞳検出」がフレーム全域で固定されていたので、AFエリアと連動して使用できるようになるのは便利と感じることでしょう。誤検出はまだあるみたいですが、プロダクションモデルのファームウェアで改善していること期待。
また、DPReviewが最後に言及している通り、他のXシリーズカメラにどのような形で機能・性能を継承するのか気になるところ。第三世代・第四世代はセンサー・プロセッサが統一されていましたが、第五世代のXシリーズで積層型CMOSセンサーを共有するわけにはいかないはず。使用するセンサーをどのように変えるのか注目ですね。既に高解像バージョン「X-Trans CMOS 5 HR」を搭載した「X-H2」のリリースを予告していますが、高解像でも高速性能でもない「X-Trans CMOS 5 無印」も登場するのでしょうか?
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