PetaPixelがニコン「Z6III」のファーストインプレッションを公開。少なくとも北米では手頃な価格を維持しつつ、大幅なアップグレードを遂げたカメラとして高く評価。D750の精神的な後継モデルとして人気を博すだろうと述べています。
PetaPixel:Nikon Z6 III Initial Review: A Middleweight Fighter With Heavyweight Dreams
非常に馴染みやすいハンドリング体験
- Z 6やZ 7を扱ったことのある人ならすぐ手になじむ。
- 堅実で快適な操作感。
- いくつかの苦労して得た教訓と改良の恩恵を受け、カスタマイズ可能で汎用性の高いカメラに仕上がっている。
- AF-ONボタン、AFジョイスティック、写真用または動画用のセレクタースイッチはすべて操作しやすく、ハイアマチュアが好むコントロール性を備えている。
- Z 8と同程度の防塵防滴仕様ながら、725gと少し軽い。
- カスタマイズ可能なボタンは豊富で、グリップは深く快適。
- ボディデザインは考え抜かれたレイアウトのように思える。非難するのは難しい。
- Z 8やZ 9よりも低価格であるにもかかわらず、何も抑えられたり、取り除かれたりしていないことは重要。
- ボディ内手振れ補正は、最大8段分の効果を約束。フォーカスポイントVRにも対応。
- ニコンラインナップの中ではやや小さめのボディだが、主要なポートが欠落しているわけではない。ヘッドフォン・マイク・フルサイズHDMIがある。
- Z 8のようなデュアルUSB-Cポートはないが、単一のUSB-Cポートで充電・通信接続できる。
- 手頃な価格のニコンMC-DC2ユニットと連動する専用のケーブルレリーズポートもある。
- UHS-II SDカードスロットとCFExpress Type Bカードの両方に対応。高速連続撮影やバックアップが可能。
- バッテリーは、最新ニコンボディの多くで共有されている「EN-EL15c」だ。古いEN-EL15バッテリーを使用することもできるが、バッテリーライフが若干短くなる。
予想外の大きなアップグレード
- 以前と同じ369万ドットのEVFを搭載することで、コストを削減すると誰もが予想していた。
- しかし、576万ドットのEVFは、遅延が少なく、リフレッシュレートも120fpsと高速。
- サッカーの試合でこの新しいEVFを使うのは本当に楽しかった。
- ピーク輝度4,000cd/m2という驚異的な明るさを備えているが、率直に言って、ほとんどの状況では明るすぎると思う。
- 高輝度のおかげで完全なHDR色空間をサポートしている。簡単な調整の後、我々はEVFの明るさをキャリブレーションし、すぐにそれがこのラインのカメラの最大のアップグレードの1つであることがわかった。背面パネルは、風景写真家もビデオグラファーも満足できる、フル可動式の210万ドットディスプレイだ。
今までにない新しいセンサー
- これまでに使ったことのない部分積層型センサーを搭載している。アイデアはシンプルだ。完全に積層されたセンサーの一部の要素を使用することで、コストを伴わずに性能を向上させる妥協点を得ることができる。
- 旧型のZ 6IIよりも読み出し速度が速く、2400万画素の解像度を維持している。
- 高速で高コストのZ 8積層型チップにすることなく、より高速な撮影速度と旧型センサーよりもいくらか低いローリングシャッター値を実現している。
- Z6IIIにもメカニカルシャッターがあり、C-AFで最高14コマ/秒までシャッターを切ることができる。
- 読み取りセンサーが高速化されたことで、電子シャッターはフラッシュと1/60秒で同調可能。最高20コマ/秒の連続撮影速度を実現。
- JPEGのみのモードでは最高60コマ/秒、1.5倍のクロップで120コマ/秒まで追い込むことができる。
- Z6IIIのRAWは、12bitに落とすことなく14bitの画質を維持し、より高速な連続撮影速度を実現している。
- 最新のオートフォーカスアルゴリズムを採用している。しかし、部分積層CMOSでは、Z 8やZ 9で見られたような性能は得られないだろう。被写体を追尾する際の粘り強さはやや劣り、鳥専用の検出モードが無い。
- とはいえ、性能は旧型のZ 6やZ 7よりも確実に向上しており、サッカー選手を追った際の3Dトラッキングが非常に効果的に機能することが分かった。
- 顔検出と視線検出は遠距離でも機能しており、オートフォーカスの動作は状況に応じてカスタマイズできる。
- 多くの野生動物、ジャーナリズム、スポーツフォトグラファーが、重要なアクションショットを撮る必要があるときに、Z6IIIが効果的なツールになると思う。
- 極端な低照度下でもオートフォーカスが可能である。F1.2のレンズで-10EVでフォーカスが合うと評価されており、路上で夜間に行ったテストから、これが正確であることを証明できる。
- α7 IVの解像度には及ばないものの、オールラウンドなフルサイズカメラとしては並の画素数と考えられている。画質はまだ完全にテストできるものではないが、Z 6IIのような非常に予測しやすい結果になると期待している。
- より高い解像度が必要な場合、Z6IIIはピクセルシフトマルチショットに対応。残念ながら、撮影は三脚を使って行わなければならず、カメラ内で画像を作成する方法はない。これは便利ではない。
写真を撮るだけではない
- 写真と動画のハイブリッドプラットフォームとしてZ 6シリーズの伝統を受け継いでいる。さらにZ 8からも多くのハイエンド機能を拝借している。
- 動画のオートフォーカス性能は向上し、高度なProResモードだけでなく、内部RAW動画も撮影できるようになった。
- 内部RAW記録は革新であり、現在、同様の価格でこれに匹敵するのはパナソニックGH7だけだ。
- 独自のN-RAWフォーマットを使用したり、編集ソフトによってProRes RAWを選ぶこともできる。
- 波形モニタなどの高度なアシストツールも備えている。
- バリアングルモニタは写真家にとって喜ばしくないかもしれないが、ハイブリッドミラーレスでは理にかなっている。
- 新しいEVFは動画撮影に最適で、ディスプレイを拡大しなくてもマニュアルフォーカスを正確に合わせるのに十分なディテールが得られる。
- 部分的に積層されたセンサーにより、オーバーサンプリングされた4K映像を最大60フレーム/秒で記録できるようになった。
- 120フレーム/秒の4Kは、1.5倍のクロップファクターが適用されるものの、かなりシャープだ。
- さらにスローモーションが必要な場合は、1080p240までプッシュできる。
- 2400万画素センサーで8K撮影はできないが、アスペクト比16:9の5.4K撮影は可能だ。
- 実際に欠けている唯一の機能は、オープンゲートとシャッター角である。
- ボディ内手振れ補正は、被写体と一緒に歩いたり、カメラを動かしたりする際に、手ブレをうまく制御してくれた。
- 動画でのオートフォーカス性能は、速い動きにも追従し、それに合わせて驚くほど効果的だった。
- 奇妙なことに、正しいフォーカスを維持するのに問題がないはずの静止体でAFが迷うことがあった。
- センサー読み出し速度と解像度の間で良い妥協点を採用し、上級ビデオグラファーを満足させる重要なツールと記録モードのほとんどを備えている。今日のハイブリッドカメラ市場では本当に輝いている存在だ。
Z6IIIは現代のミラーレスD750である
大きな欠点を見つけるのに苦労した。潜在的な購入者の心をつかみ、健全な市場シェアも獲得できるカメラを作り上げたからだ。新しい高速センサー、より優れたEVF、先進的な手振れ補正、ハイグレードな動画機能を追加したことで、Z6IIIは上位機種にもない技術を搭載した魅力的なカメラになっている。
ほとんどのカメラメーカーの戦略における典型的なお下がりとは対照的であり、市場のセグメンテーションを維持するために機能が省略されたり無効にされたりすることはない。
2,500ドルのZ6IIIは、リーズナブルな価格で大幅なアップグレードを実現した。D750の精神的後継機であることは間違いない。D750はほとんどの状況で十分な性能を発揮し、ニコンユーザーであるか否かにかかわらず、写真家の尊敬を集めるカメラだった。Z6IIIはニコンにとってもユーザーにとっても成功するカメラになると思う。
世界初の部分積層型CMOSセンサーとEXPEED 7を組み合わせた「Z 6」シリーズの最新モデル。外装のデザインやコントロールレイアウトを含めてフルモデルチェンジしており、従来機と比べて大幅な性能向上が期待できるカメラとなっています。
読み出し速度がZ 6IIの約3.5倍となり、ローリングシャッターを抑えた静止画(電子シャッター時)や動画撮影を実現。高速連写は20コマ秒まで対応し、4K 120pや5.4K 60pの動画撮影が可能となっているのも魅力的。CFexpress Type Bに対応しており、20コマ秒の高速連写の無限連写や高ビットレート動画の内部収録は競合製品と比べて抜きんでるポイント。
高速連写は主なライバルのEOS R6 Mark IIと同程度ですが、PetaPixelが言うように14bit RAWで実現しているのであれば、RAWの柔軟性がより良好かもしれませんね。(キヤノン機は電子シャッター時にRAWの柔軟性が低下する傾向あり)
使用している「部分積層型CMOS」は一般的な「裏面照射型CMOS」よりも高速ですが、「積層型CMOS」ほど高速ではないと言われています。とはいえ、センサーの高速化を実現しつつ、高価格帯へのシフトを抑える妥協点としては良い選択と言えそうです。
問題は円安傾向でアメリカよりもZ 6IIからの値上げ幅が大きく感じてしまうことでしょうか。500ドルの値上げでZ6IIIが買えるのであればバーゲンプライスですが、国内では初値に16万円ほどの差があるのが悩ましいところ。
- B&H:「Z 6II 2000ドル」→「Z6III 2500ドル」
- 国内:「Z 6II 約24万円」→「Z6III 約40万円」
- 発売日:2024年7月12日
- 予約開始日:2024年6月19日10時
- 希望小売価格:オープンプライス
- ニコンダイレクト:435,600円(税込)
- 市場推定価格:435,600円(税込)
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新製品
主な仕様
- イメージセンサー
・タイプ:部分積層型CMOSセンサー
・有効画素数:2450万画素
・読み出し速度がZ6IIの約3.5倍
・すべての撮影モードでローリングシャッター歪みを抑えた撮影が可能
・Z6IIより約10倍の高速データ処理が可能
・除塵ユニット:8.0段(フォーカスポイントVR)
・手振れ補正:8.0段(フォーカスポイントVR・ピクセルシフト撮影) - ISO 100~64000
- HEIF
- 高効率RAW・高効率★RAW・ロスレス圧縮RAW
- CFexpressカード Type B・SD UHS-II
- プロセッサ:EXPEED 7
- AFシステム:ハイブリッドAF
・測距点:299点
・測距輝度範囲:-10~19EV f/1.2レンズ使用時
・被写体認識:人物(顔、瞳、頭部、胴体)、犬、猫、鳥、飛行機、車、バイク、自転車、列車
・その他: - ドライブ性能:
・メカニカルシャッター:1/8000~30秒
・電子シャッター:~1/16000秒
・フラッシュ同調速度:1/200秒以下
・フラッシュ同調速度(電子):1/60秒以下
・撮影速度:約14コマ/秒 メカ・約20コマ/秒 電子
・撮影枚数:1000コマ以上 - ファインダー:約576万ドット 0.5型UXGA OLE 約0.8倍 120 fps
Real-Live Viewfinderに近い見えが得られるように設計
DCI-P3相当の広い色域
4000cd/m2対応 - モニター:バリアングル式 3.2型 約210万ドット
- 動画:
・5.4K:60p
・4K:120p
・1080:240p
・出力:NEV、MOV、MP4
・N-RAW(12bit)
・Apple ProRes RAW HQ / 422HQ
・電子IS:対応
・連続撮影時間:125分 - インターフェース:
・USB:Type-C端子(SuperSpeed USB)
・ヘッドホン:φ3.5m
・マイク:φ3.5m 音声のライン入力に対応
・HDMI:Type A
・Wi-Fi:IEEE802.11b/g/n/a/ac
・Bluetooth標準規格 Ver.5.0
・その他:アクセサリーターミナル - バッテリー
・タイプ:EN-EL15c
・撮影可能枚数:EVF 約360コマ / LCD 約390コマ
・MB-N14対応 - サイズ:約138.5×101.5×74mm
- 重量:約760g
- 防塵防滴:対応
- ボディ材質:
・前面:マグネシウム合金
・上面/背面:Sereebo® Pシリーズ - Nikon Imaging Cloud
- フレキシブルカラーピクチャーコントロール
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