Mobile01がツアイス「ZX1」のレビューを公開。撮影から編集、シェアまで一貫して可能な興味深いカメラとしつつ、タッチパネルの操作性が悪く、撮影が面白いカメラではないと指摘しています。
Mobile01:ZEISS ZX-1 評測報告|「拍攝、編修、分享」一氣呵成!
カメラの紹介:
- フォトキナ2018で発表し、2020年末に発売。2021年に台湾にも少量の入荷があった。
- ライバルはLeica QやSony RX1R IIあたりだが、レンズの焦点距離を考慮すると直接のライバルはソニーだ。
- カメラにはオリジナルデザインのPeak Design製クイックリリースストラップが付属する。バックルは市販のものよりも柔らかい。
- 他のアクセサリはUSB-C充電ケーブルとアダプタ、バッテリーが付属する。
- カメラにはAdobe Lightroom CCが組み込まれている。撮影から編集、シェアまでこれ1台で実現することが可能だ。
- センサーの有効画素数は3740万画素だ。ツアイスにより設計・開発されている。ISO感度は80-51200に対応し、ローパスフィルターレスである。
- Zeiss Distagon T* 35mm F2レンズを搭載している。5群8枚構成で、そのうち2枚は両面非球面レンズである。
ビルド・外観:
- 外装は金属製だ。
- レンズフードは内側に反射防止用の植毛が施されている。外装は金属製で、カメラ本体との相性が非常に良い。
- カメラ上部は金属製で、シンプルで美しい仕上がりだ。上部にやシャッタースピードダイヤルとISO感度ダイヤルを搭載している。
- このカメラはAndroidを使用しているので、完全な電源オフには15秒かかる。そのため、スリープモードへ移行する機能を搭載している。
- カメラ底面も金属製だ。設計はGermany、製造はChinaとなっている。
- 三脚ネジ穴は光軸上にある。
バッテリー:
- カメラ左側面にはUSB-Cポートを搭載。PD充電とHDMI出力に対応している。
- DDPS1Aバッテリーを使用する。バッテリーライフは公表されていないが、スマートフォンのように発熱する。
インターフェース:
- ZX1は512GBのSSDを内蔵しているがメモリカードは非対応だ。これで1万枚以上のRAW+JPEGを撮影可能である。
携帯性:
- 重量は837gと重い。片手で持つのは難しい。
- フィルター径は52mmだ。
グリップ:
- グリップは滑り止め用のゴムで覆われている。
- グリップは良好だが、ゴミが付着しやすい。
操作性:
- 鏡筒側面にはフォーカスモードを切り替えるスイッチを搭載している。
- MF時はピーキングや拡大表示が可能だ。
- F2からF22まで1/3段ごとに動作する絞りリングを搭載している。Aポジションに切り替えることも可能だ。
- Fnボタンを搭載しているが、割り当て可能な機能は限られている。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- 0.7型 622万ドットのOLEDファインダーを搭載している。この仕様は発表当時で最上級だったが、現在は944万ドットのファインダーが登場している。
モニター:
- 4.3型の背面モニタを搭載。タッチパネルに対応している。
- モニタサイズはスマートフォンのサイズにとても似ている。
- 大部分の操作はモニタ上のタッチパネルを操作する。
- タッチパネルのレスポンスや効率は物理ダイヤルやボタンほど良くないし、直感的でもない。
メニューシステム:
- 記載なし。
フォーカス:
- 最短撮影距離はAF時に0.3m、MF時に0.23mだ。
ドライブ性能:
- シャッタースピードは1/2000秒までだ。このため、ISO 80とF2の組み合わせでは必然的に露出オーバーとなる場面がある。この場合は外部NDフィルターを使う必要がある。
解像度・高感度ISOノイズ:
- ISO 800以降に僅かなノイズが発生する。
- ISO 3200~6400で実用可能な画質に見えるが個人差はあると思う。
- F2からF11まで、中央から隅まで安心できる解像性能だ。
- ローパスフィルターレス設計のため、モアレが発生しやすい。
ダイナミックレンジ:
- -2~+1の露出であれば完璧に復元可能だ。
- +2の露出オーバーを復元するのはおススメしない。
仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- 記載なし。
レンズ性能:
- F2は決して明るい絞り値ではないが、交換レンズシステムではない点を考慮する必要がある。
- 絞ると18本の光条が発生する。
総評
あまり時間をかけていないにもかかわらず、印象的なカメラだった。カメラの外観にはOtusを彷彿とさせる独特のデザインで、世界の他のカメラとは異なる、よく目にする日本製のカメラとは一線を画している。
ZX1のためにチューニングした「ZEISS Distagon T* 35mm F2」は、F2という実用的な絞りで、解像感も抜群だ。 ローパスフィルターレスでモアレが発生しやすいので、ソニーRX1R IIのような可変式光学ローパスフィルターが搭載されていると良かった。主なライバルにLeica Q2を挙げることができるが、2つの立ち位置と機能は大きく異なる。
ZEISS ZX1の魅力は「撮る→編集する→シェアする」だが、本当に使い勝手が悪くて撮影するのが楽しくない。しかし、このカメラはLightroom CCの編集に重点を置いている。 プロユーザーは、4.3型の大画面で、フィルター、トリミング、色温度、露出、コントラスト、シャープネスを編集することができ、そして最後にシェアまで可能だ。Lecia Q2は、JPEGカラーを重視し、豊富なボタンと高速フォーカス機能を備えた硬派なカメラで、すぐに撮影のリズムがつかめて、とても楽しく撮影できる。
一方でZEISS ZX1は慣れるのに時間がかかるが、後処理が夢中になれるフォトグラファーに適している。OSはAndroidだが、ZX1はクローズド・アーキテクチャを採用しており、Google Playに対応していない。このため、他のアプリをインストールすることができない。さらにLightroom CC以外には限定された3つのアプリしかインストールできないのは本当に残念だ。 ZX1で携帯ゲームや通信ソフトを使ったチャットはできない。
- 長所:
・優れた質感
・Lightroom CC内蔵
・機能が豊富なボディ
・512GB SSD内蔵
・カメラでFlickr/Facebook/IGにシェア可能- 短所:
・1/2000秒までのシャッタースピード
・Google playストア非対応
・タッチ操作のレスポンス
・4Kがトリミングされる、手ぶれ補正なし
・ローリングシャッターの影響が強い
とのこと。
肝心のLightroom CCの操作性や機能性について言及が無いのは残念ですが(ついでにAFも全く触れていません)、掲載している動画にてタッチパネルのレスポンスなどを確認可能。タッチ操作の応答性は酷評するほど悪くはないものの、キヤノンやパナソニックのようなインターフェースと比べると遅延が少し目立つかも。特にタッチ操作がメインとなるZX1では僅かな遅延が不満となりそうです。普通のカメラで撮影して、RAWを高性能なスマートフォンに転送したほうが柔軟性が高い可能性あり。
また、使用しているレンズは良好としても、イメージセンサーは少し古さを感じ、最新の裏面照射型CMOSセンサーと比べるとノイズが発生しやすい模様。ダイナミックレンジもそう広くなさそうなので、後処理の柔軟性が限定されるのは残念に見えます。
とは言え、レンズのポテンシャルが高く、絞れば隅までシャープで、開ければ滑らかで綺麗なボケを実現しています。3600万画素の程よい解像性能で、旅先の風景やスナップ写真を撮るには面白そうなカメラ。5,995ドルの価値があるかどうか悩ましいところですが…。
購入早見表
今のところアメリカとドイツの一部店舗でのみ販売
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