シグマ「16mm F1.4 DC DN」富士フイルムXマウント用のレビュー第二弾を公開。今回は恒例の解像力チャートを使ってレンズの近距離解像性能をチェックしています。
16mm F1.4 DC DN X-mountのレビュー一覧
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー 完全版
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.5 ボケ編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.4 諸収差編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.2 解像チャート編
- シグマ 16mm F1.4 DC DN X-mount 徹底レビュー Vol.1 外観・AF編
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:FUJIFILM X-S10
- 交換レンズ:SIGMA 16mm F1.4 DC DN X-mount
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 160 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
同じテスト環境で撮影した同社の56mm F1.4 DC DNほど絞り開放の性能が良好ではなく、均質性もあまり良くない。ただし、絞ると徐々に性能が向上する。F4まで絞ると中央と広い範囲の周辺部で優れたパフォーマンスを発揮し、隅もF5.6以降で良好な結果を期待できる。
広角レンズは定型チャートに接近して撮影する必要があり、必然的に隅のパフォーマンスが低下しやすい点に留意する必要がある。この辺りは遠景解像テストの結果も併せて確認して欲しい。
絞った際に周辺部や隅のパフォーマンスが良好となるものの、この際の解像性能は「18-50mm F2.8 DC DN」と比べて大きな違いはない(注意:Eマウント版の2600万画素テスト)。もしも、単純に近距離の解像性能が必要なだけであれば便利なズームレンズ(18mmはじまりだが)を選ぶのも一つの手である。
中央
絞り開放からまずまずシャープだが、細部を確認してみると僅かにコントラストが低い。これはF4のピークに向かって絞ると徐々に改善する。F4をピークとして、その後は回折の影響で徐々に性能が低下する。最終的にF16の解像性能はF1.4と同程度となる。
周辺
絞り開放は中央とよく似たパフォーマンスを発揮するが、絞って画質が改善し始めるのが遅い。F2.8までは同程度の結果が続き、F4まで絞ることで解像性能が向上する。画質のピークはF5.6で、この際は中央と非常に良く似た結果を得ることが可能だ。その後は回折の影響で徐々に低下するが、F16でも絞り開放付近の性能より良好な結果を得ることが出来る。
四隅
中央や周辺と比べて、驚くほどの画質低下は無い。数値を抜きにしてみると、16mm F1.4の隅としては安定した結果を得ることができる。ただし周辺部と同じく、少し絞っても画質は改善しない。F2.8以降はF8のピークに向かって徐々に改善する。F8まで絞ると中央や周辺部に近い非常に良好な結果を得ることが可能である。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.4 | 2965 | 2731 | 2386 |
F2.0 | 3410 | 2675 | 2117 |
F2.8 | 3420 | 2727 | 2195 |
F4 | 3719 | 3229 | 2578 |
F5.6 | 3678 | 3494 | 2934 |
F8 | 3481 | 3428 | 3207 |
F11 | 3267 | 3351 | 3235 |
F16 | 2903 | 2889 | 2633 |
実写確認
まとめ
絞り開放からフレーム全域で必要十分以上の解像性能を備えている。完璧ではないが、4万円台で手に入る大口径の広角レンズとしては非常に良好な光学性能だ。絞り開放の切れ味を求めると少し不満を感じるかもしれないが、ポートレートやボケがメインであれば、程よいコントラスト低下と感じるかもしれない。
絞ると解像性能は徐々に向上し、F5.6~F8までしっかりと絞ることで中央や周辺部との差が小さくなる。風景撮影にも使えるが、F1.4を活かした夕景や夜景撮影には少し甘いと感じるかもしれない。とは言え、今回のテストは近距離の解像力チャートを使用しているので、遠景でのテスト結果は改めてテストする予定だ。