シグマ「17mm F4 DG DN」のレビュー第一弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。
17mm F4 DG DNのレビュー一覧
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビュー完全版 2023年6月12日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編 2023年6月2日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.5 諸収差編 2023年5月29日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.4 ボケ編 2023年5月12日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.3 解像チャート編 2023年5月9日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.2 遠景解像編 2023年5月3日
- シグマ 17mm F4 DG DN レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編 2023年4月25日
Index
まえがき
2023年4月発売のソニーE・ライカLマウント用の広角単焦点レンズ。現時点でI Seriesをはじめ、シグマ DG DNシリーズの単焦点レンズとして最も焦点距離が短く、広い画角をカバーしています。さらに、ソニーE・ライカLどちらのマウントでも超広角のコンパクトなAFレンズは珍しく、競合するレンズは非常に少ない。
概要 | |||
---|---|---|---|
レンズの仕様 | |||
発売日 | 2023年4月21日 | 希望小売価格 | 97,900円 |
マウント | E / L | 最短撮影距離 | 0.12m |
フォーマット | フルサイズ | 最大撮影倍率 | 1:3.6 |
焦点距離 | 17mm | フィルター径 | 55mm |
レンズ構成 | 8群9枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F4 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | SMC |
絞り羽根 | 7枚 | ||
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ64.0×48.8mm | 防塵防滴 | 簡易 |
重量 | 225g | AF | STM |
その他 | 絞りリング・AF/MFスイッチ | ||
付属品 | |||
マグネット式メタルキャップ・フード |
競合する主なAFレンズはサムヤン「AF 18mm F2.8 FE」とパナソニック「LUMIX S 18mm F1.8」の2本。どちらもシグマより大口径を実現していますが、全長は最も短く、堅牢な外装を実現しつつ重量も抑えられています。さらに最短撮影距離が短く、撮影倍率も高いため、超広角レンズながら小さな被写体のクローズアップに適しているのが強みと言えるでしょう。
価格のチェック
売り出し価格は7.9万円。サムヤンと比べると遥かに高価ですが、2段明るいパナソニックと比べると少し安い。携帯性の良い超広角17mmとして、そして価格に見合う光学性能を備えているかがポイントとなりそうです。
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外観・操作性
箱・付属品
SGV(Sigma Globa Vision)シリーズらしい、白と黒をベースにしたシンプルなデザイン。レンズ名やフィルターサイズ、対応マウントや付属品などの情報をスタイリッシュに表示しています。右上に表示されている3桁の数字はエディションナンバーであり、リリースした西暦下三桁の数字を使用しています。(このレンズは2023年発売のため「023」)
間仕切りには段ボールを使用し、緩衝材はなし。Art・Sportsラインではないので、シグマ謹製のレンズケースは付属しません。
レンズ本体の他に、金属製のレンズフード、レンズキャップ、マグネット式金属製キャップが付属。
外観
Contemporaryラインに属するレンズですが、I Seriesらしく総金属製で質感が高い外装を採用。絞り・フォーカスリングを含めて金属パーツを使用しており、プラスチックパーツはごく一部。ソニーのZAレンズほどすっきりとしたデザインではありませんが、これはこれでアリ。光沢感のある中央のリングはデコレーションパーツで、特に意味はありません。しかし、ファインダー越しに確かな触感が得られるので、フォーカスリングや絞りリングを触りたくない時に左手を添えるポイントとしては役に立ちます。
外装の表示は一見するとプリントされたように見えますが、手で触ってみると僅かな凹凸で刻印されているように感じます。製造国(日本)やエディションナンバー、シリアルナンバーなどの情報あり。
ハンズオン
フルサイズ対応の超広角レンズとしては驚くほどコンパクトで軽量。にもかかわらず、金属製のしっかりとした鏡筒で、適度な質量感が得られ「所有する喜び」を刺激される作り。レンズのデザインは好みが分かれるかもしれませんが、個人的にはアリ。外装はマットな塗装が施され、傷や指紋や付きにくくなっています。比較的大口径のI Seriesに導入している光沢のあるデコレーションリングはありません。
前玉・後玉
レンズ前面も金属パーツを採用。専用のマグネット式金属キャップに適合するための独特な形状。他社は前面にレンズ名やフィルターサイズをプリントすることもありますが、シグマレンズの前面はシンプル。白字プリントは光りを反射することもあるので、シグマのデザインが好ましいと考えています。フィルターサイズは55mm径に対応。大口径のI Seriesはフィルター径に統一感が無いものの、コンパクトなI Seriesは55mm径を採用しているレンズが多い。(24mm F3.5・45mm F2.8・90mm F2.8)また、APS-C用レンズでも55mm径を使用するレンズもあるので、使いわましやすいフィルター径と言えるでしょう。
真鍮製レンズマウントは4本のビスで固定されています。周囲には簡易防塵防滴用のシーリングあり。カメラへの装着はシーリングの摩擦でやや固め。最後尾のレンズ周辺は反射防止のために黒塗りされ、不要な光を反射するパーツは無いように見えます。
フォーカスリング
金属製のフォーカスリングをレンズ先端に配置。緩めのソニー純正レンズと比べると抵抗感のある操作性で、ぬるっと操作できる感覚はパナソニックLUMIX Sレンズに近い。
ソニーEマウント版はノンリニアレスポンスのみ対応。ライカLマウントは対応カメラと組み合わせることでリニアとノンリニアの切替が可能。リニア時は120度から720度の範囲で30度刻みの調整が可能(LUMIX S5II)。ノンリニア時は素早く回転すると90度、ゆっくり回転しても180度未満で操作可能。
絞りリング
しっかりとした抵抗感のあるクリック付き絞りリングを搭載。フォーカスリングよりも回転動作に力が必要で、誤操作の心配はなし。静止画用としては気持ちの良い使い勝手です。ただし、Artシリーズやソニー純正レンズと異なりクリックを解除することは出来ません。クリックの抵抗感が強いので、動画撮影中に絞りリングを操作するとフレームがずれたり、操作音が発生する可能性が高い。
レンズフード
本体に負けず劣らずの質感が得られる金属製レンズフードが付属。ソニーZAレンズのようなスタイリッシュな印象ではありませんが、本体のデザインや自社製カメラ(fp)のデザインを考慮するとこれが最適解なのかもしれません。レンズフードは逆さ付けに対応しているものの、フォーカスリングへのアクセスがほぼできません。
装着例
LUMIX S5IIに装着。小型軽量なレンズのため、重心が前方へ過度に移動することもなく、バランスよく保持することができます。片手でカメラを保持することも容易。特に超広角レンズは様々なアングルで撮影したいと思う画角であり、片手持ちでローアングルやハイアングルの姿勢を維持しやすいのは強み。グリップとレンズ間の空間には余裕があり、左手によるフォーカスリングや絞りリングの操作も違和感なし。
AF・MF
フォーカススピード
このレンズはステッピングモーター駆動のインナーフォーカス仕様。滑らかで程よく高速なAF。問題ないAF速度ですが、超広角レンズとしては少しゆっくり動作しているようにも見えます。ソニーEマウントではさらに高速AFとなるのか不明。後述しますが、フォーカスブリージングがほとんど発生しないため、ピント移動がとても自然に見えます。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
画角の変化がゼロとは言えませんが、最短撮影距離が短めのレンズとしては良く抑えられています。画角の変化が小さいので、クローズアップ時にも広い画角を維持したダイナミックな撮影が可能。
精度
レンズ側のAF精度に問題はないと感じるものの、カメラ側(LUMIX S5II)の誤検出によりピントを外した状態で合焦。特に失敗が許されない状況では注意が必要と感じました。
MF
ノンリニアレスポンスの場合は微調整用のストロークが短いと感じる場合あり。ただし、最短撮影距離や無限遠は他のピント位置よりもストロークが長めに設定されています。個人的にはリニアレスポンスで180度前後の設定が程よい。
まとめ
小型軽量ながら、しっかりと作られたフルサイズ用の超広角レンズです。「17mm F4」に7.9万円を出せるかどうか悩ましいところですが、携帯性の良い超広角レンズを必要としているのであれば面白い選択肢になると思います。ソニーEマウント・ライカLマウントどちらにも競合するレンズが少なく、絞りリングや金属外装を採用した高級感のあるスペックは17mm F4 DG DNのみ。
LUMIX S5IIと組み合わせてテスト撮影を始めていますが、最初の印象としては良好な光学性能。少なくとも2400万画素センサーIでは満足のいく結果が得られています(ハイレゾモードを十分に活かせるようには見えませんが…)。
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作例
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