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7Artisans AF 35mm F1.4 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

「7Artisans AF 35mm F1.4」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。手ごろな価格の35mm F1.4 AFレンズですが、外装の質感やフォーカスリングの操作性は良好。ただし、絞りやAFの動作がイマイチで、ファームウェアによる改善が必要。
(追記:どうやら何らかの初期不良っぽいものの、正確なところは不明。現在はメーカーからの追加情報待ち)

製品提供について

このレビューはイングレートジャパン株式会社(PERGEAR)より無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

携帯性の高い「35mm F1.4」としては久しぶりの新製品。それも2万円台と手ごろな価格で入手することができます。外装の質感やフォーカスリングの操作性はチープすぎず、気軽に使うことができる35mm F1.4として面白い選択肢になると思います。

残念なのは手持ちのX-M5での動作信頼性。原因不明の露出不良やAFでのミスショットなど、撮影の根幹に関連する部分の完成度がイマイチ。現時点ではあまりおススメできない状態となっています。

このあたりはファームウェアで改善するのか、ひょっとしたら初期不良なのか、状況が更新されたらレビュー記事を更新しようと思います。

(追記:どうやら何らかの初期不良っぽいものの、正確なところは不明。現在はメーカーからの追加情報待ち)

This is the first new product in a long time for the highly portable “35mm F1.4”. It is also available at a reasonable price in the 20,000 yen range. The texture of the exterior and the operability of the focus ring are not too cheap, and I think it will be an interesting option as a 35mm F1.4 that you can use casually.

Unfortunately, the reliability of the X-M5 in my hands is not good. There are unexplained exposure problems and AF misses, and the overall quality of the camera is not good enough for the core aspects of photography. At the moment, I cannot recommend this camera.

I'm not sure whether the firmware can be updated to improve this, or whether it's a case of early defects, but I'll update this review article when I have more information.

(Note: It seems to be some kind of initial defect, but the exact cause is unknown. We are currently waiting for additional information from the manufacturer.)

7Artisans AF 35mm F1.4のレビュー一覧

まえがき

7Artisans AF 27mm F2.8」に続く、同社二本目のAPS-C用AFレンズ。F1.4の大口径を採用しつつ、比較的コンパクトな光学系を採用。富士フイルム純正「XF35mmF1.4 R」とよく似たサイズとなっています。ここ最近の大口径レンズは高性能で大型化する傾向があり、このようにシンプルな光学系でサイズと価格を抑えた製品は珍しい。

主な仕様

5群8枚のレンズ構成にEDガラスを一枚使用。クラシカルなダブルガウス構造をベースに、現代的な補正要素と非対称設計を組み合わせた変形ダブルガウス構成。価格を考慮すると絞りが11枚と多く、絞っても円形のボケを期待できそうです。

発売日 2025.3.25
初値 ¥25,920
レンズマウント X
対応センサー APS-C
焦点距離 35mm
レンズ構成 5群8枚
開放絞り F1.4
最小絞り F16
絞り羽根 11枚
最短撮影距離 0.35m
最大撮影倍率 不明
フィルター径 62mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 不明
サイズ φ68×49mm
重量 184g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール -

価格のチェック

国内での販売価格は2.5万円。富士フイルム純正品よりも遥かに安く、シグマ「30mm F1.4 DC DN」の半値に近い。

価格的に競合するのは「VILTROX AF 35mm F1.7」あたり。本レンズはF1.4のアドバンテージがあるものの、光学性能に定評のあるVILTROXも魅力的な選択肢。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

ここ最近のAF 7Artisansレンズらしく、白を基調として赤いラインがアクセントのデザイン。箱にはレンズの図面や特徴がプリントされています。

レンズフードと前後のキャップ、さらにファームウェア更新用のUSBケーブルが付属しています。

外観

他の7Artisans AFレンズと異なり、外装やフォーカスリングはプラスチック製。金属製ほど頑丈な質感ではないものの、サムヤン初期Tinyシリーズほど安っぽい印象はありません。外装にはマットブラックの塗装が施され、光沢を抑えています。

コントロールはフォーカスリングのみのシンプルなデザイン。意匠はほとんど無く、「7Artisans」のロゴのみ。側面にはファームウェア更新用のUSB-Cポートがあります。

ハンズオン

大口径レンズながら全長を抑えたコンパクトな作り。重量・サイズともに「XF35mmF1.4 R」とよく似ています。ただし、繰り出し式のフォーカスユニットは鏡筒内に収まっており、全長が変化することはありません(XF35mmF1.4 Rは少し伸びる)。

前玉・後玉

外装から少し奥に隠れたところに前玉があります。フォーカシング時に前玉が前方へ伸びるものの、鏡筒内で完結。前面に62mm保護フィルターを装着することで、空間を密閉することが可能。小ゴミの混入を抑制することができます。

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金属製のレンズマウントは3本のビスで本体に固定。防塵防滴用のシーリングはありません。

フォーカスリング

15mm幅のフォーカスリングを搭載。滑らか、かつ適度な抵抗感で回転します。ざらつくXF35mmF1.4 Rよりも快適で、この価格帯のレンズとしてはよくできています。

フォーカスリングの応答性は直線的で、回転速度に依存しません。ピント全体のストロークは約540度で、そのうち最短撮影距離から1.0mまでで360度。微調整には十分過ぎるストロークですが、フルマニュアルで使うには操作量が多くなりがち。

レンズフード

花形のプラスチック製レンズフードが付属。本体に対して大きめのフードで、装着すると全長がかなり伸びてしまいます。正直に言うと、フード無しでも前玉が鏡筒に隠れているので必要性は低い。フード装着はバヨネットタイプで、しっかりと固定することができます。

装着例

X-M5に装着。小型軽量ボディと相性の良いF1.4レンズです。レンズ全長が短いため、カメラシステム全体の奥行が嵩張らず、カメラバッグへの収納が容易。また、片手でも扱えるほど軽量で、フロントヘビーとは感じません。

補足:露出不安定になる

本レンズを装着時に自動露出がうまく機能しません。具体的には、露出補正「±0」の時に期待よりもアンダーになったり、オーバーになったりします。

原因は不明。ただし、明るいシーンで「ライブビューが自動的に絞った状態」となる場合に不具合が発生しているように見えます。絞り羽根が所定の位置まで絞りこめていない初期不良なのか、何らかのファームウェア的な不具合なのか…。

この件に関してはPERGEARに問い合わせ中。

AF・MF

フォーカススピード

フォーカスはステッピングモーター駆動のレンズ繰り出し式。現代の基準で言えば「遅い」と評価するフォーカス速度で、素早いピント合わせは期待しないほうが良いでしょう。また、AFC使用時はフォーカシング中に途中で謎のブレーキがかかる(動画を確認してください)ため、動体追従も期待しないほうが良いでしょう。

後述するピント精度も含めて、ファームウェアアップデートによる改善を期待したい部分。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

繰り出し式のフォーカシングらしく、ピント位置によって画角が大きく変化しています。無限遠側で画角が広くなるため、不要な背景をフレームに入れたくない場合は無限遠側で調整しておくと良いでしょう。

精度

少し前の世代の富士フイルムXシリーズは遠景でピントが合わない(ちょっとずれる)問題にしばしば遭遇したものですが…、第四世代や第五世代では改善したと思います。

しかし、このレンズと組み合わせたX-M5は、遠景の撮影でしばしばミスショットを連発。必ずしもピントが外れるわけではないものの、看過できない確率となっています。

正確

ミスショット

この状態でもカメラは「合焦」と判断しています。ここまで酷いカットは少ないものの、ここまで酷くない場合、帰宅後にミスショットだったと気が付くことに。

MF

上記のようなAFが信用できない状態なので、特に遠景ではMFを利用する機会が多い。幸いにも、フォーカスリングが使いやすく、一度ピントを合わせてしまえばピント固定で撮影することが可能。(AFレンズのメリットが皆無ですが…。)

まとめ

携帯性の高い「35mm F1.4」としては久しぶりの新製品。それも2万円台と手ごろな価格で入手することができます。外装の質感やフォーカスリングの操作性はチープすぎず、気軽に使うことができる35mm F1.4として面白い選択肢になると思います。

残念なのは手持ちのX-M5での動作信頼性。原因不明の露出不良やAFでのミスショットなど、撮影の根幹に関連する部分の完成度がイマイチ。現時点ではあまりおススメできない状態となっています。

このあたりはファームウェアで改善するのか、ひょっとしたら初期不良なのか、状況が更新されたらレビュー記事を更新しようと思います。

(追記:どうやら何らかの初期不良っぽいものの、正確なところは不明。現在はメーカーからの追加情報待ち)

肝心の光学性能はと言うと、ダブルガウスのF1.4レンズらしい特性を備えています。ピント面は平坦で像面湾曲が良く抑えられ、絞れば広い範囲でシャープな結果。

球面収差の残存も目立ち、特に絞り開放では滲みを伴うコントラストの低下が発生。オールドレンズのような描写が楽しめるAFレンズとなっています。その結果として、AF精度が良くないのかもしれませんが…。

玉ボケも収差が強く残る癖のある描写。このような描写のAFレンズは現代にそう多くなく、これをAFレンズとして使うことができるのは面白い。近距離であればAFの動作不良はそこまで気にならず、残念なのは露出が不安定になることのみ。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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