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AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G + Z 8 レンズレビューVol.4 ボケ編

ニコン「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」のレビュー第四弾を公開。予想していたよりも非球面レンズの影響が小さく、柔らかく滑らかな後ボケや少し目立つ口径食などについてレビューしています。

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gのレビュー一覧

    前後ボケ

    綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

    ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

    実写で確認

    少なくとも接写時は後ボケが僅かに滲みを伴う柔らかい描写。前ボケはやや硬調で状況によっては色収差や2線ボケ目に付くかもしれません

    玉ボケ

    口径食・球面収差の影響

    口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

    口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

    球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

    実写で確認

    口径食は目立つものの、非球面レンズの影響はまったく目立ちません。玉ボケの内側は滑らかで綺麗な描写。ボケに縁取りはなく、色収差による色づきはありません。

    口径食はF2.8まで絞ればほぼ解消します。F4まで絞ると均質性がさらに高くなるものの、絞り羽根の影響で少し角ばった形状となります。

    撮影距離が長くなると球面収差が変動。後ボケの縁取りが強くなり、色収差が少し目立つようになります。このような場合はボケ量を犠牲にしてでも、少し絞って撮影すると影響が緩和します。(個人的にはF2.4-2.8あたりが妥協点)

    Z 40mm F2 と比べて

    Z 40mm F2も良好な描写であり、口径食は良く抑えられています。縁取りや色収差の描写は50mm F1.8Gのほうが良好となっているので、このあたりは好みが分かれそう。

    Z 50mm F1.8 Sと比べて

    解像や収差補正に関して高性能な50mm F1.8 Sですが、ボケは必ずしも綺麗とは言えません。非球面レンズを多用しているので(比較的綺麗ですが)影響は皆無と言えず、撮影距離によって口径食の影響が大きく変動します。ボケだけで言えば、個人的には40mm F2や50mm F1.8Gのほうが好みです。

    ボケ実写

    至近距離

    接近時は全体的に滑らかで綺麗な描写。ピント後方は滲みを伴う柔らかいボケ質で、背景への大きなボケへ自然なグラデーションを醸し出しています。玉ボケには口径食が目立つものの、欠点とは感じません。F2.8まで絞ると口径食はほぼ解消しますが、滲みを伴う柔らかいボケも無くなってしまう点に注意。

    近距離

    接写時と比べると若干硬めですが、それでも綺麗な描写。非球面レンズを1枚使用していますが、玉ねぎボケの兆候はまったくありません。ボケが硬くなることで軸上色収差の影響が僅かに発生(無視できる程度ですが)。

    中距離

    さらに撮影距離が長くなると球面収差が変動。縁取りが目立ち始めます。周辺部まで許容範囲内の描写ですが、さらに撮影距離が長くなると悪目立ちする機会が多くなりそう。少し気になる場合はF2.5からF2.8まで絞るとことで改善する可能性あり。

    ポートレート

    全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

    フレームに全身を入れても背景から分離できる程度のボケを得ることが出来ます。とは言え、この際の後ボケは縁取りが硬く、色収差の影響も目立ちます。状況によっては2線ボケも目に付くので、絞りで調整したいところ。膝上くらいまでの撮影ではボケが荒れる可能性があるものの、上半身やバストアップまで近寄るとF1.8でも良好な結果を得る可能性が高い。

    まとめ

    予想していたよりも、ずっと使いやすい描写でした。撮影距離が長い場合は周辺が乱れる可能性があるものの、比較的近距離であれば躊躇なくF1.8を使えるレベル。撮影距離が長い場合もF2.5-2.8まで絞れば許容範囲内。少なくともボケ質だけで言えば、Z 50mm F1.8 Sへアップグレードする理由はあまりないかもしれません。悩むとしたらZ 40mm F2。
    比較して接写時の口径食が小さく、球面収差の変動で柔らかいボケを得ることができます。ただし、撮影距離による変動が大きく、50mm F1.8Gと比べて荒れやすい領域が広い点には注意が必要。とは言え、50mm F1.8Gと比べて劇的に描写が変化するわけでもないので、ボケ質でZ 40mm F2に乗り換える必要性は高くありません。(接写が多いのならZ 40mm F2がおススメ)

    購入早見表

    作例

    オリジナルデータはFlickrにて公開

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