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Mr.Ding Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II レビューVol.5 諸収差編

Mr.Ding Studio「Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II」のレビュー第五弾を公開。F1.1の大口径レンズとしては良好な色収差補正や近距離時に目立つ球面収差の影響などについてレビューしています。

Noxlux DG 50mm F1.1 E58 IIのレビュー一覧

おことわり

今回は2ndFocusより無償貸与の「Mr.Ding Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ダブルガウス発展型らしく、像面湾曲は良く抑えられているように見えます。とは言え、他の収差や周辺減光の影響が強いため、実用的ではありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値全域で良好な補正状態です。ゼロではありませんが、問題視するほどの影響でもありません。補正が簡単な収差ですが、絞り開放付近は色ずれが滲むので修正できない可能性あり。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

色収差の影響は間違いなく残っていますが、大口径レンズとしては良好な補正状態です。コントラストが高いシーンでは目立つかもしれませんが、それ以外の状況では問題とならないかもしれません。もしも気になる場合は、F2まで絞るとほぼ解消します。

(球面収差の話ですが)注意点として、絞るとピントの山が遠側へ移動するフォーカスシフトが発生しています。特に顕著となるのがF2とF2.8の間で、このあたりを使う場合は絞ってからピント合わせをしたほうが良いでしょう。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

わずかな糸巻き型の歪曲収差。直線的な被写体をフレーム端に配置しない限りは目立たないと思いますが、そのような場合はLightroomで「-1」の手動修正すると良いでしょう。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

コマ収差の影響は間違いなく発生しており、ほぼ完全に抑え込むためにはF4まで絞る必要があります。それでもフレーム隅の領域では強い影響が残ります。コマ収差が気になる場合、少しトリミングできるように、余白を作るフレーミングがおススメです。

球面収差

F1.1

近距離でのテストでは、F1.1の絞り開放で前後のボケ質に大きな差異が見られます。滲むような柔らかい後ボケ、2線ボケの前ボケ、ピント面のコントラスト低下、フォーカスシフトなどは大きな球面収差が影響しています。

F2.0

絞り開放では癖の強い残存収差が残っていますが、F2まで絞ると収差が綺麗に抑えられています。

まとめ

F1.1の大口径ながら軸上色収差は良く抑えられています。ダブルガウスタイプの光学設計や低分散ガラスの使用が功を奏しているのでしょうか。アポクロマートほどの補正状態とは決して言えませんが、幅広いシーンでF1.1を気兼ねなく使える程度には良く抑えられています。歪曲収差も同様。球面収差は特に近距離時に顕著ですが、これが柔らかい後ボケの描写に一役買っています。フォーカスシフトには気を付ける必要があるものの、ピント面が滲むことで「F1.1」のピント合わせが容易となっています。大口径レンズらしく夜景など低照度で使いたいところですが、多くのダブルガウスタイプと同じくコマ収差には注意が必要。極端な影響ではなく、このクラスとしては良く抑えられています。ただし、細部をよく見ると点光源の変形が目立ちます。状況に応じて絞りで調整するのがおススメ。

購入早見表

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