岩石星「AstrHori 50mm F1.4」のレビュー第六弾を公開。今回は恒例の撮影地点からレンズの遠景解像性能をα7R Vに装着してェックしています。
おことわり
今回は2ndFocusより無償貸与の「AstrHori 50mm F1.4」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。
AstrHori 50mm F1.4のレビュー一覧
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビュー 完全版
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.6 遠景解像編
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.5 諸収差編
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.4 周辺減光・逆光編
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.3 ボケ編
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.2 近距離解像編
- 岩石星 AstrHori 50mm F1.4 レンズレビューVol.1 外観・操作編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2023.12.22 快晴 無風
- カメラ:α7R V
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:絞り優先 ISO 100
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・ノイズリダクションオフ
・その他初期設定
ティルト機構に関する注意点
このレンズはティルト部分の影響をゼロにすることが非常に難しい構造となっています。ティルトの影響が残っている場合、特に被写界深度の浅い絞りでパンフォーカスを得るのが非常に難しいです(イメージセンサーに対してピント面が斜めになってしまうため)。
遠景撮影の特性上、テストショットは中央1点のピント合わせで実施しており、像面湾曲やティルトによる像面の傾きは考慮していません。今回のレンズではティルト機構の影響をできるだけゼロに近づけていますが、実際の撮影では影響が皆無とは言えない状態に見えます。このレンズで遠景のパンフォーカスを得たい場合は(ティルトの影響をカバーできるくらい深い被写界深度になる)かなり絞って撮影するのがおススメです。(ティルトの影響をゼロにするには、ボール部の破線を正確に合わせる必要があります)
テスト結果
絞り開放付近は中央でも球面収差によりややソフトな結果。ピント面はシャープですが、コントラストが低め。ダブルガウスタイプのためか像面湾曲の影響は少なく、比較的フラットなピント面に見えます。ただし、隅に向かってコマ収差の影響が強く、フレーム隅ではかなりソフトな結果となります。隅まできちんとした画質を得たいのであれば最低F8まで、ティルトの影響も考慮するとF11-F16まで絞って撮影したいところ。
中央
F1.4の絞り開放からシャープですが、収差によるコントラストの低下が顕著。F2まで絞ると大幅に改善し、F2.8でほぼピークに達します。以降は絞っても劇的に改善しないものの、F8まで改善し続けているように見えます。
周辺
中央と比べるてコントラストがさらに低下。これは球面収差のみならず、コマ収差の強い影響を受けている可能性が高い。中央と同じくD2.8-4.0まで絞ると劇的に改善します。F8までしっかり絞ると非常にシャープ。
四隅
極端な像面湾曲はなく、被写界深度内に収まっているように見えます。とは言え、軸外収差と思われる影響が強く、絞り開放付近は非常にソフトな画質。F4まで絞るとかなり安定しますが、それでも実用的な画質には及びません。前述したように、(隅まで画質を期待するならば)F8~F16くらいまで絞って撮影するのがおススメです。
まとめ
ティルトの影響をわけて考えると、ダブルガウスタイプっぽさのある傾向を示しています。絞り開放は球面収差やコマ収差の影響で中央・隅ともにソフトな結果。しかし、像面湾曲の影響は小さく、しっかりと絞ると隅まで良好な結果を期待できます。このレンズである必要性は少ないものの(他の安価なダブルガウスタイプでも同様の結果を期待できる)、「50mm F1.4」「ティルト」「遠景のパンフォーカス」など様々な撮影に適した面白い選択肢と言うことが出来ます。
ティルトを組み合わせるならば、F1.4の絞り開放を無理に使わずにF2.8~F4あたりまで絞るのがおススメ。被写体が周辺部でも安定感のあるピント面が得られ、口径食も抑えることができます。ボケは(ティルトの性質上)嫌でも大きくなるので心配無用。