ソニーα7 IIIを使い始めて約1年(間3か月のブランクあり)、ニコンZ 7・キヤノンEOS Rを使い始めて約半年。ある程度使い込んだので腰を据えてじっくり比較レビュー。全てを1ページに詰め込むと凄まじい量となるため、細分化して徐々に掲載していこうと思います。
第4回はカメラグリップの握りやすさや形状、周辺ボタンの操作性について。どのカメラも良いところと悪いところがあるのでじっくりと見ていきましょう。
Index
徹底比較 カメラグリップ編
グリップサイズ
EOS R | Z 7 | α7 III | |
グリップの横幅 (最大) |
3.3cm | 3.2mm | 3.7cm |
グリップの高さ (指を掛ける部位) |
6.5cm | 6.2mm | 6.0cm |
グリップの長さ (外側) |
6.5cm | 6.7mm | 6.2cm |
グリップの長さ (内側) |
3.0cm | 2.7cm | 2.3cm |
全体的にサイズが大きいグリップを持つのはEOS R。次いでZ 7、α7 IIIと続きます。
数値として見比べるとそこまで大きな違いは無いものの、0.5cmを超える差がある部位は実際にグリップしてみると印象が大きく異なります。
個人的に最も差を感じるポイントはグリップ内側の長さ。α7 IIIはココが短いが故にとても握りづらいと思うのです。
数値だけでは分からないと思うので、実際にグリップの形状を確認してみましょう。
グリップ形状
キヤノンらしいグリップのEOS R
EOS Rのグリップを握った時の間隔は一眼レフのEOS Kissシリーズに近いものを感じました。悪い意味では無く、良い意味でキヤノンの”言語”を感じることが出来るポイント。
内側はフラットだけど十分な広さが確保されているので小指まで余裕を持ってグリップを握ることが可能です。
良い形状だがいささか小さいZ7
後述するα7 IIIと比べるとまだまだ良好な形状と感じますが、内側の面積がEOS Rよりも少なく小指が余ってしまいがち。また、グリップの長さが僅かに足りず窮屈感は否めません。
ただしグリップ上部の広がりが大きく、(カメラを支える基礎となる)中指の掛かり具合はEOS Rよりも良好。小型グリップながら片手持ちでも安定感があります。
グリップ内側が非常に窮屈なα7 III
α7 IIIは他2モデルと比べて明らかに内側の面積が小さく、さらにマウント側へ向かって緩やかな斜めの形状となっています。このため指の掛かりが悪く、特に片手でカメラを保持するような場合に握りにくさを感じます。人差し指や親指でボタン操作する時の安定感にも違いアリ。
私は指がやや短く、嫁さんと手の大きさは同程度。このため男性の平均的な手のサイズよりも小さいはずですが、それでもα7 IIIのグリップが窮屈と感じます。
グリップ素材
Z 7は良好なグリップだが劣化が早い
(形状はさて置き)表面素材としての「グリップ=滑りにくさ」はZ 7が最も良好でEOS Rとα7 IIIが互角。Z 7と比べると他2モデルは少し滑りやすい質感となっています。
その一方でZは表面の劣化がEOS Rよりも早く、部分的に痛み始めています。比較してEOS Rとα7 IIIは長持ちしそうな印象があります。
クリアランス
圧倒的な開放感のEOS R
他2モデルと比べてデザインが大きく異なります。
無駄に広い。と言うと語弊がありそうですが、グリップとマウント間は余裕を持ったクリアランスが確保されています。窮屈なα7 IIIと比べると雲泥の差、月とスッポンと言っても良いでしょう。
Z 7より広いにも関わらず、Fnボタンや(EOS一眼レフにはある)プレビューボタンさえ無いのはいささか残念ではありますが…。
背面レイアウトも他2モデルと大きく異なり、親指左側の空間に余裕があり、比較的右寄りで親指を固定するZ 7やα7 IIIと比べてグリップを鷲摑みするように握ることが可能となっています。
それもこれもマルチコントローラー(AFレバー)が無いためだったりするのですが…、グリップの観点で言えば良好なデザインと言えそうです。
開けた分は詰め込む Z7
EOS Rほどでは無いにしろ、特に前面はα7 IIIよりも良好なクリアランスとなっています。空いたスペースにはしっかりFnボタンを2カ所配置してニコン一眼レフと似たような操作性を維持しているのは評価すべきポイント。
背面はEOS Rと異なりカメラの隅を親指の腹で押さえる状態となります。ただし、サムレスト(親指を置く場所)が大きく突き出ているので見た目以上に安定感はあります。
ボタンやレバーが密集しているため、普通にグリップした状態でもレバーに触れやすいのはマイナス。特に厚手のグローブをした場合は(レバーの形状もあって)誤操作が増えると予想できます。
小さい分余裕の無いα7 III
最も小さいボディとなるα7 IIIは特にグリップーマウント間のクリアランスに余裕がありません。
細身のレンズならまだしもレンズマウント以上に直径が太くなる大口径レンズを装着すると窮屈感が強いです。
カメラ背面はZ 7とほぼ同じ。
安定感・疲労感
持ってて楽だなーと感じるのはEOS R。リストストラップでひたすらカメラを握っていても問題無し。ただ、EOS RPにエクステンショングリップを装着した時より小指のスペースにギリギリ感があります。
Z 7は安定感こそあるものの、やや窮屈なので長時間グリップを握っていると疲れを感じます。インターフェース編で指摘したように、追加グリップで拡張出来ないのは痛いポイント。
α7 IIIは意識してカメラを握っておかないと厳しい。前述したように指が掛かりづらいので、うっかり落っことしそうで怖い。これは追加グリップの有無というよりは指のかかり辛さから来るものなので、エクステンショングリップやバッテリーグリップで根本の問題は改善しなさそう。このため、ショルダーストラップで必要な時だけグリップを握るようなスタイルにしたいところ。
ボタン・ダイヤル操作
それぞれの操作性は別途ページを用意するのでグリップを絡めた話のみ。
ボタン操作
EOS Rは自然とグリップした状態で快適に押せるボタンは3つ
押しやすいボタンは「M-Fn」「REC」「AF-ON」の3つ。
EOS Rはグリップを深く握ることが出来るので人差し指のボタン操作時は安定感が高い。ただし、カメラ背面はボディ周辺部にボタンが密集し、特に「AELボタン」や「測距エリア選択ボタン」はとても押しにくいです。
このため、快適に利用できるボタンには他2モデルと比べて少なく自由度はやや低い。
Nikon Z 7は自然とグリップした状態で快適に押せるボタンは5つ
押しやすいボタンは「Fn1」「Fn2」「REC」「ISO」「AF-ON」の5つ。
Z 7も中指が掛かりやすいグリップと言うこともあり、ボタンは押しやすいほう。
さらにフロントFn2カ所をグリップしたまま操作できるので快適に操作できるボタン数は3機種中でトップ。シャッターボタン周辺のボタン3つも押しやすい配置となっているのでGood。
α7 IIIは自然とグリップした状態で快適に押せるボタンは4つ
押しやすいボタンは「C1」「C2」「AF-ON」「AEL」の4つ。
グリップそのものは悪いものの、ボタン配置は堅実で悪く無い操作性と感じます。ただし、AELは若干サムレストから外れる可能性があるので気を付けたいところ。
ダイヤル操作(フロント)
EOS Rのフロントコマンドダイヤルはグリップ上部に配置され、窮屈感のあるZ 7やα7 IIIのコマンドダイヤルよりも自然と人差し指がかかります。一眼レフと比べても違和感なく扱うことが出来るはず。
その一方でZ7は一眼レフより小さなかカメラグリップにも関わらず、フロントダイヤルの位置はシャッターボタンの真下。人差し指の先で操作するには近すぎ、第2関節付近で操作するか指を折り曲げて操作することになるでしょう。α7 IIIもほぼ似た状況となります。
ダイヤル操作(リア)
Z 7はリアコマンドダイヤルがカメラの隅に配置されているため、親指で操作しようとするとサムレストから親指が外れてしまうので安定感が無い。EOS Rの場合はサムレストの隆起が小さいのでやはり親指がズレやすい。
一方でα7 IIIはやや内側にコマンドダイヤルが配置され、自然とグリップした状態で操作可能となっています。
グリップに差はあれど気にする必要無し!
正直なところボディジャケットや追加グリップで何とでも改善が出来る分野なので特に心配する必要はないと思います。前述したように、ショルダーストラップで使用するとα7 IIIの小さなグリップもそこまで気になりません。
さらに人によって手のサイズや形状が異なるので自分の手にフィットするカメラは実際に手に取って確認するのがおススメ。
個人的にはEOS Rのグリップがベスト。快適にグリップできるので自ずと使用頻度が上がっている気がします。(家族写真や行楽などで)バリアングルモニタを活用して片手持ちで扱う時に持ちやすいグリップは重宝しています。
Z 7はEOS Rほどのグリップでは無いものの、24-70mm F4 Sや14-30mm F4 Sなどコンパクトなズームレンズが多いのでバランスが良く、Z7のグリップで十分扱いやすいと感じます。FTZアダプターで一眼レフ用レンズを使う場合には力不足と感じるかもしれません。その際に追加グリップの選択肢が無いのは感心しません。
小型レンズを付けるなら正直なところα7 IIIでも十分かと思いますが、白レンズや大口径単焦点を装着するには力不足を否めません。特にFE200-600mmを予約しているので何か改善策を考えたいところ…。
今回使用した機材
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