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パナソニック LUMIX G9 PRO II レビューVol.3 ドライブ・連写編

パナソニック「LUMIX G9 PRO II」のレビュー第三弾を公開。今回はカメラの連続撮影性能やバッファ、センサーのリーリングシャッターについてチェックしています。

LUMIX G9 PRO IIのレビュー一覧

連写・ドライブ

仕様の確認

撮影速度 メカニカルシャッター

  • 高速(H): 約14コマ/秒(AFS/MF時)、約10コマ/秒(AFC時)(LV)
  • 中速(M): 約6コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)
  • 低速(L): 約2コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)

AFS時は前モデルよりも高速な14コマ秒の連続撮影に対応(前モデルは12コマ秒)。また、AFC時も前モデルの9コマ秒から10コマ秒まで少し向上しています。AFC時の性能はOM SYSTEM OM-1と並び、マイクロフォーサーズの中では最速。さらにAF-S時はOM-1よりも良好なパフォーマンスを発揮しています。

撮影速度 電子先幕シャッター

  • 高速(H): 約14コマ/秒(AFS/MF時) / 約9コマ/秒(AFC時)(LV)
  • 中速(M): 約6コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)
  • 低速(L): 約2コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)

電子先幕時もメカニカルシャッターとほぼ同じパフォーマンスを発揮。ただしAFC時の撮影速度が9コマ秒まで低下する模様。

撮影速度 電子シャッター

  • 超高速(SH75): 約75コマ/秒(AFS/MF時のみ)
  • 超高速(SH60): 約60コマ/秒(AFS/AFC/MF)
  • 超高速(SH20): 約20コマ/秒(AFS/AFC/MF)
  • 超高速(SH75 PRE): 約75コマ/秒(プリ連写)(AFS/MF時のみ)
  • 超高速(SH60 PRE): 約60コマ/秒(プリ連写)(AFS/AFC/MF)
  • 超高速(SH20 PRE): 約20コマ/秒(プリ連写)(AFS/AFC/MF)
  • 高速(H): 約14コマ/秒(AFS/MF時) / 約9コマ/秒(AFC時)(LV)
  • 中速(M): 約6コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)
  • 低速(L): 約2コマ/秒(AFS/AFC/MF時)(LV)

前モデルでは20コマ秒までしか対応していなかったAFC時の連続撮影が60コマ秒まで対応。積層型のOM-1ですら50コマ秒までの対応と考えると驚異的なパフォーマンス。さらにAF-S時は75コマ秒まで対応していますが、この場合は120コマ秒での撮影が可能なOM-1よりも遅め。

連続撮影可能コマ数

  • 【SH】
    RAW連写 / RAW+JPEG連写:200コマ
    JPEG連写:200コマ
  • 【H/M/L】
    RAW+JPEG連写:160コマ以上
    RAW連写:170コマ以上
    JPEG連写:200コマ以上

LUMIX G9 PRO IIのRAWは比較的ファイルサイズが大きいものの、SHで最大200コマの撮影が可能とのこと。ファイルサイズが小さなOM-1が「108コマ」であることを考慮すると、非常に大きなバッファメモリを搭載していることが分かります。

シャッタースピード

  • メカシャッター:B(バルブ)最大約30分、 60~1/8,000秒
  • 電子先幕:B(バルブ)最大約30分、60~1/2,000秒
  • 電子シャッター:B(バルブ)最大約60秒、60~1/32,000秒

大部分は従来通りですが、前モデルでは1秒までだった電子シャッターの長秒露光が60秒まで拡張しています。

撮影速度の調整

撮影メニューにある連写設定ではモードダイヤル「連写 I」「連写 II」で使用する撮影モードを設定することが出来ます(Fnメニューなどでも設定変更が可能)。

低速・中速・高速のほか、超高速20/60/75から選ぶことが出来ます。残念ながら、オリンパス/OM SYSTEMのように細かく調整することは出来ません。プリ連写モードは枚数を指定することは出来ないものの、遡って記録する時間の設定が可能。

バッファ・バッファクリア

Prograde Digital COBALT SD UHS-IIメモリーカードを使用し、「5/10/15秒」の連続撮影で記録できた写真の枚数をカウント。テスト結果は以下の通り。

RAW 5秒 10秒 15秒
20fps 102 200 200
60fps 200 200 200
75fps 200 200 200
75fps 連打 221 239 255

ご覧の通り、レリーズボタンを全押しの状態で撮影するとSHモードでは200コマの撮影で必ず連写が停止します。再開するにはレリーズボタンを押し直す必要あり。

大容量のバッファですが、60fpsや75fpsでは5秒の連続撮影ではバッファが詰まっていることが分かります。以降はSD UHS-IIカードへのバッファクリア速度がボトルネックとなり、秒間3-4コマ程度と撮影速度が大幅に低下。

一度に200枚以上もコマ数が必要となるシーンは少ないと思われ、過度な心配は無用。しかし、バッファクリアが遅いため、再度200枚のバッファを利用できるようになるまで時間がかかる点には注意が必要。

JPEG 5秒 10秒 15秒
75fps 200 200 200
75fps 連打 275

興味深いことに、JPEGを使った連続撮影でも連写は200コマで強制的に停止。押し直すことで撮影を再開できますが、やはりSDカードへの書き込み速度が足かせとなっているように見えます。

5秒 10秒 15秒
Sony SD UHS-II V90 221 239 255
KIOXIA SSD 1000MB/s 224 246 268

同じ撮影設定でSD UH-II V90とSSDを使った際の違いを比較した結果が上の表。SSDのほうが僅かに良好ですが、1000MB/sの書き込み速度を遺憾なく発揮しているようには見えません。バッファクリア速度向上のためにポータブルSSDを買い足すのはおススメしません(SD UHS-IIと同程度の書き込み速度で問題なければ容量あたりのコストパフォーマンスは高い)。

  20fps RAW ProGrade Digital COBALT V90
カメラ OM-1 G9II
コマ数 403 245
RAWサイズ 16.3MB 32.3MB

20fpsで30秒の連続撮影で得られたコマ数をOM-1の同環境で比較。G9 IIはバッファは圧倒的に大きいぶん200コマまでは余裕があるものの、以降はバッファが詰まって撮影速度が急速低下。最終的にはOM-1で1.5倍以上のコマ数が得られています。

原因となっているのはG9 IIのRAWファイルサイズ。OM-1のRAWと比べて倍近いファイルサイズであり、SD UHS-IIへの書き込みは当然ながら遅い。ファイルサイズを考慮するとG9 IIの撮影枚数がやや多めとなっているのは、200コマまで対応する大容量のバッファが効いているのかもしれません。

オートISO


従来通り、ISO AUTO時は下限シャッター速度の設定変更が可能。これは絞り優先モードやプログラムオート時に、設定したシャッタースピードを下回りそうになると自動的にISO感度を調整してSS数値を維持する便利な機能です。被写体ブレを抑えつつ、光量が頻繁に変化するシチュエーションで重宝します。
設定値は1/32000秒から1/8000秒まで1段刻み、1/8000秒から1秒まで1/3段刻みで設定可能。他社と比べると設定値が細かくて便利。

AUTOモードは焦点距離に合わせて手ぶれを抑えた設定値に変化します。ただし、広角レンズでも下限は1/60秒止まりで、それ以上に遅くなることはありません。個人的にAUTOモード時は1/5秒くらいまで引っ張ってもらいたいのですが、AUTOモード時の振れ幅を調整する設定値は無し(ソニーなどには存在します)。

ローリングシャッター

CMOSセンサー全体を一度に露光出来るのが理想的。しかし、フルサイズミラーレスでは発熱やノイズなど、様々な問題から実現に至っていません(ソニー「α9 III」を除く)。現在はイメージセンサーの上ラインから下ラインまで段階的に読みだしていく「ローリングシャッター」方式が一般的です。言葉で説明しても難しいので、下部の動画で分かりやすく解説しています。

動画のように、コンシューマー向けのデジタルカメラは大部分がローリングシャッター方式を採用したイメージセンサーを使用。実際にこのカメラのローリングシャッターの影響を調べた結果が以下の通り。

ご覧のように扇風機の羽根が不自然な描写となっています。ローリングシャッター方式では、このように高速移動する被写体を撮影する際に問題が発生します。ただし、結果はそう悪いものでは無く、むしろ非積層型のイメージセンサーとしては最速の部類と言っても過言では無いでしょう。他のカメラではどのような影響があるのか?は以下の通り。

LUMIX G9と比べて良好な結果が得られています。APS-Cセンサーの中では比較的高速な富士フイルムX-Trans CMOS 4よりも良好で、より低解像なニコンの2000万画素センサーの12bit RAWよりも優れています。G9IIとほぼ同じ結果が得られているのはオリンパスの2000万画素センサー。

まとめ

OM-1と比べてファイルサイズが大きいにも関わらず、200コマまで対応している大容量のバッファを搭載。これにより、超高速連写でも実用的な撮影時間を実現しており、プリ連写で対応できる時間も長め。AFSで75fps、AFCで60fpsまでの連写速度に対応しているので、瞬間的なシャッターチャンスに強いカメラと言えるでしょう。これらを全画素のRAWで出力できるのだから凄い。

ローリングシャッターは非積層型CMOSセンサーの中では高速で、一般的な撮影であれば電子シャッターで困るシチュエーションはそう多く無いはず。 注意点があるとすればRAWのファイルサイズが大きいこと。200コマのバッファを使い切ってしまう=200コマ×約32MBのRAWをメモリーカードに書き込む必要があるので、完全にバッファをクリアするのは時間がかかります。もちろん、バッファクリアが途中の状態で撮影を再開することも出来るので、大きな問題と感じることは少ないはず。

また、これはG9 PRO IIのRAWが大きすぎるというより、競合のOM SYSTEM OM-1のRAWファイルサイズが驚くほど小さいという話。(センサーサイズに関わらず)G9 IIは2400万画素カメラの14bit RAWと比べて同程度のファイルサイズ。比較して12bit RAWのOM-1はファイルサイズが非常に小さくなっています。

12bit RAWのOM-1と比べて、G9 IIはダイナミックレンジの広いRAWで撮影できると考えれば良いのかなと(公式で14bit RAWであると確認できる記載はありませんが…)。そして、このファイルサイズの大きなRAWで200コマまで撮れちゃうのだからG9 PRO IIは凄い。この価格帯で、ここまで大容量のバッファを搭載しているカメラはそうないはず。

参考情報

購入早見表

作例

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