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EOS R レビュー 荒ぶる評価測光 編

EOS Rを発売日より使い始めてもう1か月半が経とうとしています。あっと言う間に秋が過ぎ去ってしまいましたね。

今回はEOS Rを様々なシーンで使っているうち「露出が暴れる(意図した露出よりもやや暗くなったり明るくなったり)」ような感触があったので実際に自宅のミニスタジオでチェックしてみました。

EOS R 評価測光レビュー

何はともあれまずはテスト結果をご覧あれ。

今回は自宅の卓上ミニスタジオ内で輝度差を付けた状態にて撮影。

露出・カメラ設定は以下の通り

  • ISO 100 固定
  • 絞り値 F8 固定
  • オートライティングオプティマイザ オフ(オンの時は明記)
  • 高輝度・諧調優先モード オフ
  • ピクチャースタイル スタンダード 初期設定のJPEG出力
  • 被写体のハイライトとシャドーはLEDライトで明るさを固定
SS 露出差 ALO AF ピント
1/60 OFF ワイド
2 1.3 約7段 ワイド タップ指定
3 1/100
4 1/30 約2段 1点
5 1/125
6 1/50 約1段 ゾーン
7 1/125
8 1/60 大ゾーン 中央
9 0.4 顔検出
10 1/30 顔検出→顔外れ
11 0.8 約7段 ON ワイド タップ指定
12 1/125

今回のテストシーンでは屋外ほど暗部と明部に輝度差をハッキリ付けることが出来なかったので、ピーカンで明るい屋外の実写ではさらに差が広がると思われます。

以上の結果から判るように、評価測光はAFポイントを優先して露出を合わせている。そして、どのAFモードでも影響はゼロとならない。これはEOS Rのマニュアル(PDF)157ページにも明記されています。

評価測光

  • AFフレーム自動選択:ピントを合わせたAFフレームを中心にした露出値でAEロック
  • AFフレーム任意選択:選択されているAFフレームを中心にした露出値でAEロック

EOS R オンラインマニュアル

ピント優先で露出を調整してくれるため場合によっては便利と感じる一方、全体の露出を気にするようなシーンではかなり使い辛い(例えば風景や日差しの差し込む屋内など)。部分的な日陰や黒い被写体により全体の露出を損なう場合がある。

特に露出シュミレーションでライブビューが暗くなったり明るくなったり輝度の変化が多発するので目に悪そう…。

AFフレームの種類で影響量が変化するのも理解を難しくしているポイント。例えば「ワイド時のタップ指定時」と「ゾーン」でAFフレームが同程度のサイズだったとしても影響量には大きな差が発生している。

背景が綺麗サッパリ吹き飛ぶほどハイキーとなった設定は以下の通り。以下の設定だと白飛びや黒潰れが発生してでもAFフレーム中心の露出を最優先するようです。

  1. 顔検出・追従優先AFで顔検出している場合
  2. 顔検出・追従優先AFでタップ操作をしている場合
  3. 顔検出・追従優先AFの追従開始測距点をAUTO以外に設定している場合

顔検出やタップ操作など「撮り手が明らかに被写体を重視している」と思われるような操作をする時に測光の優先度が上がるようです。ハイライト側は比較的似たような傾向ですが、シャドー側での影響度はとても高い。(今回のシーンでは、と言う可能性もあり実写ではハイライトでも影響度が高いかもしれません。)

客観的に見ると合理的と感じる機能ですが、撮り手のイメージをEOS Rがどれだけ汲み取ることが出来るかが重要であり、実際には「それほどうまく露出できていない」ような気がします。

と言う訳で、家族写真やポートレートで評価測光を使うとEOS Rの味付けが非常に濃く、撮り手が意図した露出とはかけ離れたものとなる可能性がある。

example

例えば、「サーボAF+顔検出」で娘を追いかけている間、一時的にでも顔検出が外れると露出の変動がある。

黒い髪の毛にフォーカスすると無駄に露出を上げたり、明るい背景にピントが抜けるとやたら露出が落ちるなどなど。特に露出シュミレーションをオンにしているとライブビューの露出値がコロコロ変わって煩わしいはず。

基本的に露出を持ち上げる傾向が強いので、オートライティングオプティマイザを利用することでRAWの露出を少し抑える(白飛びを抑える)ことが可能。万が一被写体の輝度が高い場合(周辺が暗い場合)でも被写体の諧調が良くなるので特に問題は無いはず。

EOSは以前から評価測光で連動する

評価測光がAFフレームと連動しているのは今に始まったことでは無く、例えばEOS Kiss MやEOS 6D Mark IIのライビューでも同じように顔検出時に優先度が強い露出設定となります。また、キヤノンに限った話でもなく、AFフレームに連動する測光と言うのは他社で珍しい話ではありません。

ただ、EOS Rではその傾向がさらに強まった、強くなり過ぎたような印象があります。EOS RでAFポイントが増えた影響なのか、評価測光のさじ加減が元から変わったのか…。

フレーム全体の露出を判断する設定、スポット・部分測光でAFフレームと連動する設定、評価測光の連動をオフにする設定があると使いやすくなりそうなのですが…。ニコンには測光モード毎に適正露出を調整できる便利な機能もあるのであると良いなぁと。

今のところ「EOS Rの評価測光はこういうものなのだ」と割り切ってマニュアルやFvモードを駆使して撮影することになりそうです。

それでもEOS Rを使う

今回は1つのシチュエーションで検証してみただけなので、他のシーンでは結果が変化する可能性があります。まあ参考までに。とは言え、屋外で実写しても「ん?」と感じる時があるのは確かなぁと思います。

理解し辛いEOS Rの評価測光を辛口レビューしたものの、他のポイントを見ると評価できる点が多い。

家族写真ではタッチパネルや使いやすいタッチ操作はソニーやニコンには無い便利なポイント。新機軸のFvモードは慣れてくるとAv・Tv・Mモード要らずとなる便利な機能。専用カスタマイズが必須となってくるものの、まずまず使いやすい。

カジュアルにEOS Rを使うぶんにはメリットのほうが大きいかなと。ポートレートや記録写真などでガッツリ人物撮影をするような人であれば実機を触って傾向を確認した方が良いかもしれません。

手元にキヤノン用フラッシュが無いので、逆光時に顔検出でどのような露出となるのかは未知数。

今回使用した機材

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