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FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II レンズレビューVol.5 諸収差編

ソニー「FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

FE 70-200mm F4 MACRO G OSS IIのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ズーム全域、絞り全域で極端に目立つ領域はありません。全体的に良好な補正状態で、フレームの端をよく見ると僅かに発生している程度。最も目立つのは70mmですが、それでも微々たる収差の量。カメラやソフトウェアで簡単に、そして悪影響もなく修正可能。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

70mm

 

かなり厳しめの状況でもボケに色づきはほとんどありません。大部分の撮影シーンで心配することなくF4を使うことができそうです。

135mm

70mmと同じ。

200mm

他の焦点距離と比べると色収差が僅かに増加しているようにも見えますが、誤差の範囲内。実写で知覚するような収差量ではないはず。

球面収差

全体的に良好な補正状態ですが、よく見るとボケの縁取りに少し差があるようです。この傾向は前後ボケ質のチェックで確認済み。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

70mm

過度ではないもの直線的な被写体を撮影した際には糸巻き型の歪曲収差が目に付きます。手動で完璧に補正するのは難しく、レンズプロファイルを使うのがおススメ。

スライドショーには JavaScript が必要です。

100mm

70mmよりも強めの糸巻き型。この強さの歪曲は直線的な被写体以外でも問題となる可能性あり。

スライドショーには JavaScript が必要です。

135mm

100mmと同じく強めの歪曲収差。

スライドショーには JavaScript が必要です。

200mm

100mmや135mmと同様。

スライドショーには JavaScript が必要です。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

ズーム全域で点光源の変形は最小限。影響がゼロとは言えないものの、無視できる範囲内に収まっているように見えます。

まとめ

全体的に良好な補正状態であり、注意すべき点があるとすれば歪曲収差のみ。しかし、これもカメラ内補正やソフトウェア現像時のレンズプロファイルで簡単に修正が可能。特に心配する必要はありませんん。(プロファイルが使えないソフトウェアでは苦労するかもしれませんが)色収差の補正状態も良好で、極端なコントラストのシーンでも顕著な色ずれは発生していないように見えます。僅かに残る倍率色収差は、ほぼリスク無しでゼロまで修正することが可能。好みは分かれるかもしれませんが、撮影距離が長い場合の後ボケは球面収差の影響で少し騒がしくなる可能性あり(主に微ボケの部分で、大きなボケでは問題なし)。もしも見苦しいと感じた場合は少し絞ってみると改善するかもしれません。

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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