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FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II レンズレビューVol.4 ボケ編

ソニー「FE 70-200mm F4 MACRO G OSS II」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

FE 70-200mm F4 MACRO G OSS IIのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

ぱっと見は前後の質感に大きな差のないニュートラル傾向のボケ質に見えます。よく見比べてみると、僅かに前ボケのほうが滑らかで、後ボケは少し縁取りが硬い。ただし、ボケが大きくなると違いはほとんど分かりません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

70mm

フレーム隅に向かって若干の口径食が見られるものの、影響は極端ではなく妥協できる範囲内に収まっているように見えます。玉ボケの内側は滑らかで綺麗、よく見ると玉ねぎボケの兆候が見られますが無視できる範囲内。ボケの縁取りは弱く、色収差も良好に補正されているように見えます。

100mm

基本的に70mmと同じ傾向が続きます。

135mm

70mm・100mmと同じく、口径食が目立たず、F4から快適に利用可能。

200mm

他の焦点距離と比べると口径食の影響が強く、状況によっては少し不快と感じるかもしれません。これはこれでアリと感じる人もいると思いますが、好みが分かれそうに見えます。

ボケ実写

70mm

玉ボケのサイズによっては口径食の影響が小さかったものの、一般的な被写体をぼかす場合は隅に向かって口径食の影響が強くなっているように見えます。ボケ質そのものは滑らかですが、それも被写体との距離が長くなると、背景が少し騒がしくなる模様。

135mm

70mmと比べるとボケが大きく、全体的に良好な描写が続いています。撮影距離が長くなると、背景が騒がしくなる兆候が見られますが、それでも許容できる範囲内に収まっている印象。

200mm

口径食は強いはずですが、ボケが大きいのであまり気になりません。後ボケにはわずかな縁取りが見られるものの、大きなボケと比べて縁取りの割合が小さく、やはり心配するほどの欠点ではないかなと思います。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立てて撮影したのが以下の通り。

70mm

70mm F4でも背景はいくらかぼかすことが可能。ただし、ボケの縁取りは硬く、積極的に使いたい描写とは言えません。とは言え、ボケが小さいので大きな問題となることは少ないはず。バストアップまで近寄れば満足のいくボケが得られ、顔のクローズアップで心地よい描写。

135mm

70mmよりもボケが大きく、比較的良好な質感が得られているように見えます。上半身程度まで近寄ると、全体的に綺麗なボケを得ることが出来ます。バストアップでさらに滑らかな描写。

200mm

口径食はいくらか目立つものの、全身をフレームに入れても十分な質感のボケを得ることができます。縁取りは弱く、色収差の影響もほぼ皆無。膝上くらいまで近寄ると問題点はほとんどなし。

まとめ

粗探しをすると指摘する部分はあるものの、実写では概ね満足のいく描写が得られています。特にこのレンズは接写性能が高く、大きなボケが得られるシーンも多い。遠方の被写体を撮影する際は後ボケが騒がしくなることもありますが、近距離で過度に心配する必要はありません。個人的には小さな被写体の撮影で積極的に使っていきたいレンズ。70mmから200mmまで0.5倍の高い撮影倍率を実現しているうえ、APS-Cクロップを利用することでさらに被写体をクローズアップすることが出来ます。離れた被写体の場合は滑らかな前ボケが自然な描写で目障りとならないのがGood。200mm F4を使えば前後ともに満足のいく結果が得られると思います。

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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