外観
このレンズはマイクロフォーサーズシステムがスタートした数年後にオリンパスからPremiumシリーズの単焦点レンズとして2011年に登場。
オリンパスのマイクロフォーサーズ用単焦点としては最初期のエントリーポートレートレンズである。
重量は116gと非常に軽い。マイクロフォーサーズシステムにコンパクトさを求めるのであれば最適な一本だ。
外装はメタリックな塗装が施されているがプラスチック製だ。しかし特に安っぽいとは感じないクオリティ。
おそらく金属と思われるメタリックなレンズマウント。
防塵防滴に対応していない上、マウント部に防滴用シールも無いのでコンディションが悪い時は水滴や粉塵に注意すべき。
製造国はベトナムと印字されている。
登場が同時期のレンズと同じくフィルター径は37mm。
コンパクトなマイクロフォーサーズレンズの多くは37mmか46mmのフィルター径に統一されている。NDやC-PLなどフィルターワークが多いフォトグラファーにとって経済的なシステムだ。
ネックはフィルターサイズが小さすぎで一部の特殊フィルターが37mmを取り扱っていないこと。ステップアップリングを別途用意しておくと良いかもしれない。
残念ながらレンズフードは別売りだ。しかし、逆光耐性は悪く無いためフードが必要と感じる条件は限られてくる。
レンズフィルターを装着するとフィルター由来のフレアが発生する可能性があるのでフードの必要性を感じるかもしれない。
フードはバヨネット式で普段はアクセサリーリングで隠されている。ロック機構は無いので紛失しないように気を付けたい。中古レンズの中にはこのリングが無くなっている出品もあるため注意。
現在オリンパスから登場しているポートレートレンズのサイズを比較すると、45mm F1.8が明らかに小さい。
コンパクトデジタルカメラのように気軽な撮影を楽しみたいのであれば45mm F1.8が合っている。一方で「機能性・堅牢性」を重視するなら45mm F1.2 PROを、「持つ喜び」を得たいのであれば75mm F1.8が良い感じ。
OM-DやPEN-F、LUMIX Gなどに装着するばらばどのレンズでもバランスは良い。E-M1 Mark IIでは小さすぎるくらいだ。
しかし、PEN LiteやLUMIX GFなどと組み合わせるならば45mm F1.8がオススメ。
手持ちのマイクロフォーサーズ機とレンズの組み合わせでサイズを確認したい場合には公式マッチングシュミレーションを使うと良いでしょう。
機能・スペック
オートフォーカス・マニュアルフォーカス
オートフォーカス
爆速では無いが、このレンズの用途を考えると必要十分な速さ。
E-M1 Mark IIの像面位相差(AF-C)を使用することで僅かにAFの高速化を図ることが可能だが、PROズームレンズほど顕著な違いとはならない(AF-Cでとても高速なAFとなる)。
マニュアルフォーカス
マニュアルフォーカスは他の純正レンズと同様に電子制御式。
フォーカスリングをゆっくり回すと精密なフォーカシング、素早く回転させると無限遠から近接まで高速なピント移動が可能である。
ゆっくり回した場合、近接から無限遠までの回転角は720度以上と大きな回転角となる。素早く回しても360度ほどだ。マニュアル操作で近接から無限遠まで素早く操作したいと言う状況が想像できないが、もしもその状況に遭遇した場合は回転角が大きく過ぎると感じるかもしれない。
ブリージング
ピント距離による画角の変化は特に感じられない。そもそも寄れるレンズでは無いためこの問題はスポイルされている。
接写・撮影倍率
一般的なポートレートレンズの接写性能・撮影倍率だ。
競合レンズの「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」の0.31mという最短撮影距離を考えるとあまり感心しない。撮影倍率は45mm F1.8の倍のため、接写性能を重視するならば42.5mm F1.7がオススメだ。
実写
解像
三脚固定でハイレゾショットの撮って出しJEPGを使用。
F1.8
絞り開放から中央は解像・コントラスト共に良好。
比較して周辺は解像がやや甘いものの、極端に荒れていないため実用的な画質だ。
F2.8
1段絞ることで全体的に解像とコントラストが僅かに向上する。
ただし、四隅まで描写を安定させたいと思うのであればさらに1段絞りたいところ。
F4.0
中央はあまり変化しないが、周辺画質は安定感が向上。
絞り開放と比べて劇的に向上するわけでは無いが、風景撮影などで使うならばF4を一つの目安としたい。
F5.6
フレーム全体でピークとなる絞り値。
45mm F1.2 PROと比べて周辺解像のピークと立ち上がりの早さで劣っているが、上を目指さなければ十分すぎる解像性能だ。
ボケ
ニュートラルなボケ質で前後に差は見られない。
45mm F1.2 PROのような滲むボケ質では無いが価格帯を考慮すると及第点以上。収差の影響が大きい部分のボケはPROと比べて見劣りするが、口径食の影響はF1.2 PROよりも小さい。
色収差
軸上色収差の補正は完璧で無いものの、一眼レフ用の同クラスなレンズと比べて遥かに良好。
絞り開放で僅かに色づくが1?2段絞ることでほぼ解消する。
収差の補正はF1.2 PROと比べて僅かに劣る。
逆光
レンズ構成枚数が少ないためかレンズフレアの発生はF1.2 PROよりも抑えられている。
総評
Points
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の長所…
- 小型・軽量
- 実用的で高速なオートフォーカス
- 微調整が可能なフォーカスリングの回転角
- 絞り開放から安定した解像とコントラスト
- フード無しでも良好な逆光耐性
- ニュートラルで使いやすいボケ質
- 程よく補正された色収差
M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8の短所…
- プラスチック鏡筒
- 非防塵防滴
- フォーカスリングの回転角が大きすぎる
- フレーム端の解像性能は立ち上がりが遅い
- フード別売り
オススメするしかないレンズ
これは良いレンズだ。方々で称賛されているのも理解できる。
これと言った光学的弱点を持っていない描写は使いやすく、サイズはポケットに入る小ささで携帯電話よりも軽量だ。外観はプラスチック素材を使った鏡筒だが、安っぽさを感じないクオリティ。おまけに価格はリーズナブル。
もしもこのレンズを買わない強い理由があるとすれば「防塵防滴仕様では無い」ことだが、この価格帯で防塵防滴仕様のポートレートレンズは見たことが無い。マイクロフォーサーズならば13万円の「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」くらいだろうか?
特に批判すべき点が存在しない優等生なレンズ。誤解を恐れずに言えば「ベストなレンズでは無いが、ベストなレンズに近いパフォーマンスを発揮できる安価なレンズ」。味がある個性的なレンズとは言えないので、それを求めているのであればNOKTONやLeicaをチョイスした方が良いかもしれない。
他社と比べて
他社の競合レンズと比べても負けていない。
例えばキヤノン「EF50mm F1.8 STM(APS-Cで使う場合)」はより安価だが開放の解像性能や後ボケは45mm F1.8の方が優秀だ。
ソニー「E 50mm F1.8 OSS」も負けず劣らずの良いレンズだが45mm F1.8ほど小さくない。
フジフイルム「XF50mm F2 R WR」も良好な解像性能を持つレンズで小型・防塵防滴仕様だが価格は倍近い。
やはり悩むのは同じマウントのパナソニック「LUMIX G 42.5mm/F1.7 ASPH./POWER O.I.S.」。同程度のサイズと重量でありながら手ぶれ補正を搭載(Dual.I.S対応)。さらに接写性能は抜群で光学性能はドッコイ。しかし、価格は45mm F1.8よりも僅かに高い。
その他作例
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