このページではオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」の外観・操作性・AF・手ぶれ補正に関するレビューを掲載しています。
Index
まえがき
レンズのおさらい
レンズ概要
- データベース
- 管理人のFlickr
- 商品ページ
- 発売日:2016-11-18(日本国内)
- 初値:?136,026
- 11群17枚
- 絞り値:F4-F22
- 最短撮影距離:0.15m(Wide) / 0.45m(Tele)
- 最大撮影倍率:0.3倍(Wide) / 0.21倍(Tele)
- フィルター径:72mm
- サイズ:Ø77.5 x 116.5mm
- 重量:561g
- AF駆動:ステッピングモーター
- 防塵防滴:対応
- レンズ手ぶれ補正時 5段
- 5軸シンクロ手ぶれ補正時 6.5段
レンズ交換式カメラシステムとしては前代未聞の絞り開放F値を「F4」に固定した光学8.3倍ズームレンズ。開放絞り固定で使いやすいのみならず、オリンパスPROシリーズらしい高い光学性能と耐候性を併せ持つ汎用性の高いレンズに仕上がっています。
光学性能は全体的に良好で、高倍率ながら解像性能は全域で単焦点並みの安定感(繊細な描写は単焦点に一歩劣る)で定評があります。さらに接写性能も非常に高く、広角側ではハーフマクロ以上の撮影倍率、望遠側でも換算0.4倍と高い撮影倍率を備えています。まさにオールインワン。
極めつけはオリンパス製レンズで珍しい光学手ぶれ補正。補正効果が非常に高く、ボディ内手ぶれ補正を備えていないカメラで使用しても公称値に近い5段分に近いパフォーマンスを得ることが可能。シンクロ手ぶれ補正に対応するカメラと組み合わせることで、1秒以上の長秒露光も比較的簡単に撮影可能です。
欠点はレンズサイズ。マイクロフォーサーズ用レンズとしては比較的大きく、重く、そして高価。とは言え、幅広いズームレンジ・光学性能・耐候性・接写性能・手ぶれ補正・高速AFを兼ね備えた恐るべき高倍率ズームと考えると妥協できるサイズ感と言えるかもしれません。「高倍率」の既成概念を劇的に変えた一本。
今回は2016年から使い続けているこのレンズを、現在の形式で改めてレビューしてみたいと思います。
価格のチェック
2020年2月にM.ZUIKO PROシリーズは値上げしており、売り出し価格と比べて最安値は1万円ほど高くなっています。マイクロフォーサーズ用レンズとしては比較的高価であり、特にF4ズームレンズに15万円を価値を見出せるかどうかは悩ましいところ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO | |||
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レンズフード LH-76B | |||
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レンズケース LSC-0914 | |||
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レンズキャップ LC-72C | |||
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外観・操作性
箱
今でこそお馴染みとなりましたが、12-100PRO登場時は珍しかった黒を基調としたデザインです。焦点距離の表示が分かりやすいですね。
「35mmフルサイズ換算」の焦点距離が小さく併記されています。この併記をあまり好ましく思っていない人もいるようですが、個人的には分かりやすくて良いと考えています。
付属品
メモ
- レンズフード(LH-76B)
- レンズキャップ(LC-72C)
- レンズリアキャップ(LR-2)
- レンズケース(LSC-0914)
- 取扱説明書
- 保証書
PROレンズらしい付属品。出来ればレンズケースはシグマのようなしっかりとしたものが良かったですが、特に過不足のない付属品と言えるでしょう。
外観
PROシリーズらしく全体的に金属パーツを多用した頑丈な作りです。金属パーツは温度変化に弱いと言われていますが、外装にプラスチックやゴム製パーツを使わないことで、長期的な耐久性を実現していると感じます。事実、発売から4年ほど酷使していますが全く問題ありません。
金属外装の表面は光沢のあるブラックで塗装されています。硬くて尖った物体にぶつけると塗装が剥げて金属表面がむき出しとなるので注意が必要。
ハンズオン
- サイズ:Ø77.5 x 116.5mm
- 重量:561g
感覚的には500mlのペットボトルを握っているようです。
マイクロフォーサーズとしては大きなレンズですが、それでもまだ手持ち撮影や携帯性で大きな問題とはならないように感じます。24-200mm相当の画角をカバーするF4ズームと考えればまだまだ妥協できるサイズ感。
全体的に金属パーツを多用した外装は頼もしい質感です。マウント付近の外装は光沢があり、指紋が付きやすいのが玉に瑕。
レンズフード
プラスチック製の花形レンズフードが付属。12mmの広角をカバーしているのでレンズサイズや100mmの焦点距離を考えると小さめのフードです。側面にはリリースボタンを配置し、誤操作でフードが脱落しないように設計されています。PLフィルターの操作窓は無し。
前玉・後玉
マイクロフォーサーズとしてはやや大きめの72mmフィルターを採用。金属パーツを多用しているPROレンズですが、内筒からレンズ先端まではプラスチックパーツが多い(フィルターソケットを含めて)ので取り扱いには注意したいところ。
前玉は凸レンズですが目立つ球面では無く、比較的フラットでメンテナンスしやすい形状。残念ながらフッ素コーティングを採用している記述は無いので、悪天候で水や油の付着が予想される場合はプロテクトフィルター推奨。
後玉はレンズマウントから少し飛び出した状態で固定されています。ズーム操作による移動はありません。このため、後方は完全に密閉されているので空気の流入は少ないと思われます。
3年半使い続けていますが、レンズ内に目立つ小ゴミや塵の混入はありません。オリンパスの防塵防滴仕様は確かな性能だと感じます。
フォーカスリング
フォーカスリングはバイワイヤ式。他のPROレンズとお同じくフォーカスクラッチ機構を採用しているので、リングをスライドすることでリニア操作のMFに素早く切り替えることが出来ます。意図しないスライド操作でMFに切り替わることがある点には注意が必要。
クラッチを動作させない状態でカメラ側から「MF」に切り替えると回転速度に応じたマニュアルフォーカスを利用可能。この際はゆっくり回転すると約270度の回転角、素早く回転させると180度ほどの回転角となります。
その一方でフォーカスクラッチ操作時の回転角は90度未満とストロークが非常に短い。素早い操作に適していますが、接写性能の高さを考慮すると少し扱い辛いと感じます。
ズームリング
12mmの広角端でレンズが最も短くなり、100mmの望遠端でレンズが最も長くなります。100mmまでズームした時に内筒は約3.5cmほど伸びます。
12-40mm F2.8 PROのように中途半端な焦点距離で内筒が最も短くなる仕組みではありません。
ズームリングのストロークは約90度。程よい回転角で正確性と高速性のバランスが良い。極上の操作性ではありませんが、まずまず滑らかに動作します。
高倍率でよくある多段式の内筒では無く、1つの内筒が大きく伸びる構造です。内筒はプラスチック製ですがしっかりとした作り。鏡筒側に水やゴミを遮るシーリングが施されているように見えます。
装着例
大きなレンズですが、グリップが大きなE-M1 Mark IIIとの組み合わせでバランスが取れています。同じくLUMIX G9 PROとの相性も良好。収納性が悪い点は残念ですが、長時間の手持ち撮影で苦になるサイズ・重量ではありません。
コンパクトなE-M5 Mark IIIと組み合わせると、まるで望遠ズームを装着しているかのようなサイズ感となります。アンバランス感は否めず、追加グリップなどが必要と感じます。
AF
フォーカススピード
広角12mmでは最短撮影距離付近から無限遠まで瞬間的に動作します。非常に高速で、ハンチングの兆候はありません。
望遠100mmを使う場合は12mmと比べて合焦速度が少し低下します。とは言え、まだまだ「高速」と呼べる水準のスピードであり、快適な動作に違いありません。
ブリージング
高倍率なうえに高い接写性能を備えるズームレンズですが、フォーカスブリージングはとても良好に抑えられています。広角・望遠どちらも極端な画角変化はありません。
精度
広角から望遠まで、近距離から無限遠まで精度の問題はありません。ただし、低照度では「F4」の暗さが問題となり、暗所でのAF性能に影響が出る可能性あり。
MF
カメラ側で「MF」モードへ移行すると、ハードストップのないフォーカスリングを操作可能です。フォーカスクラッチ使用時はストロークが短く、素早いフルマニュアル操作が利用できます。
手ぶれ補正
シンクロ手ぶれ補正に対応しているE-M1 Mark IIIやE-M1Xなどと組み合わせることで異次元の手ぶれ補正効果を実現。フルサイズやAPS-Cでも1/5秒程度のスローシャッターに対応するカメラはいくかあるものの、換算70mmの画角で1秒の安定した成功率を叩き出せるシステムは珍しい。ボディ側の強力な手ぶれ補正も一役買っている部分はありますが、レンズ側の補正効果もなかなか良好だと思います。
実際、手ぶれ補正を搭載していないLUMIX GF9やLUMIX GM1Sに装着しても5段分程度の補正効果を期待できます。
MFTのオールインワンレンズ
マイクロフォーサーズ用としては少し大きなレンズですが、これ一本で広角・望遠・ハーフマクロ・悪天候に対応する汎用性の高いレンズに仕上がっています。さらにオートフォーカスや手ぶれ補正も高水準で使い勝手が良好。まさにオールインワン。
使い勝手が良いのみならず、オートフォーカスはブリージングが少なく非常に高速で静かに動作。さらにマニュアルフォーカスは回転速度に応じた操作とリニアなレスポンスに対応しているので、様々な用途で使いやすい仕様となっています。
光学手ぶれ補正は単体でも非常に優れたパフォーマンスを発揮するうえ、ボディと組み合わせることで1秒を超えるスローシャッターでの安定性を効果的に高めることが可能。
汎用性が高く機能的。ただしお値段もそれなりに高く、高倍率ズームとしては最も高いマイクロフォーサーズ用レンズです。個人的にはそれだけ価値のあるレンズと感じていますが、イニシャルコストが気になる場合は他のレンズも併せて検討してみると良いでしょう。
購入早見表
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO | |||
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レンズフード LH-76B | |||
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作例
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- LUMIX G VARIO 14-140mm / F3.5-5.6? ASPH. / POWER O.I.S.
- LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.
- 14-150mm F/3.5-5.8 Di III (Model C001)
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