OMDS「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」のレビュー第一弾を公開。今回は恒例の近距離解像力チャートを使って2000万画素・80MPハイレゾモードでの解像性能をチェックしています。
まえがき
概要 | |||
---|---|---|---|
レンズの仕様 | |||
マウント | MFT | 最短撮影距離 | 0.84m |
フォーマット | 4/3 | 最大撮影倍率 | 0.1倍 |
焦点距離 | 75mm | フィルター径 | 58mm |
レンズ構成 | 9群10枚 | 手ぶれ補正 | - |
開放絞り | F1.8 | テレコン | - |
最小絞り | F22 | コーティング | ZERO |
サイズ・重量など | |||
サイズ | φ64×69mm | 防塵防滴 | - |
重量 | 305g | AF | STM |
付属品 | |||
説明書・保証書 |
2012年に登場した比較的古いマイクロフォーサーズ用の望遠単焦点レンズ。マイクロフォーサーズで「75mm」の焦点距離はフルサイズ判換算で「150mm」に相当する望遠レンズです。AF対応の明るい望遠単焦点レンズとしは焦点距離が最も長く、2021年現在でもその特徴は健在。
レンズ構成は9群10枚で、そのうち3枚のEDレンズと2枚のHRレンズを贅沢に採用。大口径レンズで発生する軸上色収差や球面収差を良好に補正する設計。
外装は金属製で堅牢性と高級感を両立しています。ただし、レンズフードが付属していないので、遮光性や前玉保護の観点からなんらかの対策を実施する必要があります。レンズフードは別売り7千円と高いのが悩ましいところ。
価格のチェック
新品相場は9万円前後。M.ZUIKO PREMIUMシリーズのレンズとしては最も高く、一部のPROレンズよりも高価です。75mmは他に選択肢がない魅力的な焦点距離ですが、価格を正当化できるのかよく考えたいところ。
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M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8 シルバー | |||
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解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディLUMIX G9 PRO
- 交換レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
- パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」
- オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- LUMIX G9 PROのRAWファイルを使用
- ISO 200 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果 2000万画素
中央
絞り開放は「2659」とまずまず良好な性能で、F2.8まで絞ると「3500」に近いとても良好な解像性能を発揮。この性能はF5.6まで持続し、回折の影響が始まるF8でワンランク低下します。F11までは良好な画質を維持しているものの、F16以降は回折の影響が強いので出来るだけ避けたいところ。
周辺
絞り開放はほぼ中央と同じパフォーマンスですが、絞りによる改善速度は中央よりも遅い。中央に追いつくのはF5.6付近。
四隅
中央や周辺と比べると解像性能がワンランク低下するものの、絞ることで徐々に中央や周辺に追いつきます。F4で周辺部とほぼ同じとなり、F5.6?F8で均質的な結果を得ることができます。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.8 | 2659 | 2440 | 2062 |
F2.0 | 2764 | 2306 | 2017 |
F2.8 | 3425 | 2769 | 2279 |
F4.0 | 3495 | 3007 | 2812 |
F5.6 | 3412 | 3179 | 2953 |
F8.0 | 2960 | 2988 | 3115 |
F11 | 2857 | 2764 | 2971 |
F16 | 2331 | 2332 | 2199 |
F22 | 1702 | 1839 | 1667 |
実写確認
最新設計のレンズと比べると絞り開放付近の収差補正が完璧と言えず、若干ソフトに見えます。ただし、四隅まで顕著な性能低下が無く、使いやすい画質に見えます。F2.8からF4で全体的にコントラストが改善し、F5.6でピークとなる。
テスト結果 8000万画素
中央
収差の影響があるものの、絞り開放から良好な解像性能を発揮。F2.8まで絞るとこの解像力チャートで測定できる限界値に到達します。
周辺
中央と比べて(ハイレゾモードによる)絞り開放の伸びが悪いものの、ピークのF4に向かって絞ると急速に改善します。F2.8で「4000」に迫る優れた結果となり、F5.6で中央に近い性能を獲得します。
四隅
絞り開放ではハイレゾモードの効果がほとんどありませんが、周辺と同じく絞ると急速に改善します。F4?F8の絞り値で優れた性能、F5.6でフレーム全域がピークとなる。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.8 | 3836 | 2831 | 2129 |
F2.0 | 4259 | 2882 | 2198 |
F2.8 | 4631 | 3853 | 2922 |
F4.0 | 4645 | 4451 | 3820 |
F5.6 | 4729 | 4451 | 4437 |
F8.0 | 4175 | 4220 | 3954 |
F11 | 3419 | 3579 | 3431 |
実写確認
ハイレゾモードを活用するのであれば、少なくともF2.8まで、出来ればF5.6まで絞りたいところ。
今回のまとめ
シャープなレンズに間違いないものの、価格を考慮すると残存収差が少し多い。そしてPROレンズのように、「絞り開放からキレのあるシャープネス」と評価するには少し及ばず。
とは言え。絞ると四隅まで非常に高解像となり、ハイレゾショットで性能がしっかりと伸びる点は評価したいところ。特にF5.6まで絞ると四隅まで非常に高い解像性能を発揮します。そして、ピークのシャープネスにこだわらなければ絞り値全域で良好な画質を実現しており、人によってはとても使いやすい小型軽量な望遠単焦点と感じるはず。
購入早見表
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