ニコン「NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR」のレビュー第二弾 遠景解像編を公開。28mmから100mmあたりまではフレーム全域できちんとした結果を得ることができるものの、以降は人によって評価が分かれるレンズとなりそう。
NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VRのレビュー一覧
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビュー完全版
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.5 ボケ編
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.4 諸収差編
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.3 解像チャート編
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.2 遠景解像編
- NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VR レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
遠景解像力
撮影環境
- 撮影日:2024.4.19 晴れ 微風
- カメラ:Nikon Z 8
- 三脚:Leofoto LS-365C
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・レンズ補正外せない(歪曲収差・倍率色収差)
28mm
中央
絞り開放から良好で、絞っても大きく改善しません。F5.6でコントラストが最も高くなり、F8以降は画質が徐々に低下します。
周辺
中央と同じく絞りによる画質の変化はほとんどありません。F4から良好ですが、F5.6-8あたりでピークの画質。
四隅
中央や周辺と比べるとややソフト。絞っても大きく改善することはありません。極端な画質差はないので画像処理次第で気にならない程度。
35mm
中央
絞り開放からとても良好。絞りによる画質変化はほとんどありません。やはりF8まで絞ると細部のコントラストが若干低下します。
周辺
中央とほぼ同じ結果。高倍率ズームとしては良好な結果と言えるでしょう。
四隅
28mmと同じく、中央や周辺と比べるとややソフト。気にならない程度の画質差ですが、均質性を重視するのであればかなり絞る必要あり。
50mm
中央
細部まで良好。F8まで絞っても画質の低下はそれほど目立ちません。
周辺
解像性能は良好ですが、広角域と比べると倍率色収差を補正したと思われる痕跡が目立ちます。それが原因となっているためかコントラストが低め。
四隅
周辺部から画質の落ち込みはないものの、引き続き倍率色収差(と思われる痕跡)が目立ちます。
70mm
中央
単焦点とは比べものになりませんが、依然として良好な画質。
周辺
50mmと同じく倍率色収差の痕跡は少し目立ちます。F6.0は若干甘いので、F8まで絞るとシャープな結果を得ることが可能。F11まで絞るとコントラストも少し改善しているように見えます。
四隅
周辺と同傾向。画質の落ち込みがないので均質性が高いと言えるでしょう。
105mm
中央
70mmと同程度の良好な結果。画質に不満はありません。
周辺
50mmや70mmと比べると倍率色収差の痕跡が少なめ。ただし、わずかにコントラストが低く見える点では同じ傾向。絞っても改善しません。
四隅
画質に若干の落ち込みがみられるものの、大きく拡大しなければ気にならない程度。
200mm
中央
100mmまでの結果と比べるとややソフトな画質。解像性能はまずまず良好ですが、コントラストが低く、絞っても改善しません。
周辺
中央から大きな画質低下は無し。回折の影響を受けるまで画質は一定。
四隅
周辺と同様。
300mm
中央
200mmと比べてコントラストがさらに低下。ディテールの描写は悪くありませんが、後処理でコントラストを強めたいところ。
周辺
陽炎の影響を否定できません。そのあたりを加味しつつ見ると、中央から大きな画質低下はないように見えます。
四隅
倍率色収差は目立つものの、解像性能そのものは悪くありません。良くもないですが、安定感のある画質で、画像処理次第で伸びる可能性あり。
400mm
中央
300mmと同じ傾向。極端な画質低下はありません。
周辺
陽炎の影響を考慮しても少しソフトな画質。
四隅
画質の大きな落ち込みもなく健闘していますが、倍率色収差の影響あり。
まとめ
評価が難しいレンズ。
と言うのも、フルサイズの28-400mmズームレンズは類を見ないものであり、相対的な評価ができないため。(APS-CやMFT用の高倍率ズームの経験を踏まえ)あくまでも主観として、今回のテストで感じたポイントは以下の通り。
- 中央:28mmから100mmまで単焦点ほどではないにせよ非常に良好。200mm以降は解像性能とコントラストが低下。
- 周辺:200mmくらいまでは良好な結果。ところどころで倍率色収差の影響あり。
- 隅:70mmくらいまで良好な結果。100mm以降は諸収差の影響で低下傾向。
28mmから400mmまで焦点距離をカバーしている高倍率ズームとしては良くまとまっていると思います。焦点距離やフレーム端における”顕著な”画質低下がなく、ズーム両端でもフレーム端まで実用的な画質を維持。
とはいえ、優れた光学性能のレンズが多いNIKKOR Zラインナップの中では平凡な画質。ズームレンジ全域で4500万画素の高解像センサーを活かせるレンズではありません。20万円に近い販売価格を考慮すると「器用貧乏」という単語がうっすらと浮かび上がってきます。
この画質の高倍率ズームをフルサイズで、20万円で使う必要性があるかどうかよく考えたほうが良いかなと。小型センサーの代替品も要検討。
例えばニコン「NIKKOR Z DX 18-140mm f/3.5-6.3 VR」やタムロン「18-300mm F/3.5-6.3 Di III-A VC VXD」などAPS-Cの高倍率ズームレンズ。はるかに手頃な価格で、常識的な携帯性のレンズとなっています。どうしてもフルサイズにこだわるのであれば「NIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VR」のほうがおススメしやすい。とはいえ、NIKKOR Z 28-400mm f/4-8 VRも28mmから100mmまでの画質はフレーム全域できちんとしています。さらに一般的な200mmくらいまでを常用しつつ、状況に応じて400mmまで使いたいフルサイズ用レンズを探しているのであれば検討する価値があります。
購入早見表
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作例
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