ニコン「NIKKOR Z 35mm f/1.4」のレビュー第二弾を公開。遠景解像性能が思っていたよりも良好で、F4まで絞れば隅の端までシャープな結果を得ることができます。
簡易的なまとめ
安くてコンパクトな35mm F1.4として、より酷い結果を予想していたのですが…。意外にも悪くない結果が得られました。もちろん、F1.4では軸上色収差やコマ収差の影響で最良とは言えず、風景や天体用の大口径レンズとしては不適。しかし、F4くらいまで絞ると隅の端までシャープな結果を得ることができます。絞れば性能がぐんぐんと伸びる印象。
As a cheap and compact 35mm f/1.4, I expected worse results... Surprisingly, the results were not bad. Of course, F1.4 is not the best due to axial chromatic aberration and coma aberration, making it unsuitable as a large-aperture lens for landscape and astronomical use. However, if you stop down to about F4, you can get sharp results all the way to the edges of the corners. I have the impression that performance will increase rapidly as you stop down the aperture.
NIKKOR Z 35mm f/1.4のレビュー一覧
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビュー完全版
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.6 周辺減光・逆光編
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.5 諸収差編
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.4 ボケ編
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.3 解像チャート編
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.2 遠景解像編
- ニコン NIKKOR Z 35mm f/1.4 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
遠景解像力
テスト環境
- 撮影日:2024.7.19 曇り 微風
- カメラ:Nikon Z 8
- 三脚:Leofoto LS-365
- 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
- 露出:ISO 100 絞り優先AE
- RAW:Adobe Lightroom Classic CC
・シャープネスオフ
・レンズ補正オフ
・ノイズリダクションオフ
テスト結果
軸上色収差やコマ収差によるコントラスト低下が見られるものの、解像性能はF1.4から良好。中央から周辺までシャープな結果が得られています。隅はコマ収差などの影響でソフトな結果ですが、F4~F5.6まで絞ると見違えるように良好な結果となる。隅の画質が必要なければ、F2まで絞ると大部分で非常に良好な結果を得ることができます。F2.8まで絞ると、軸上色収差の影響をほぼ完ぺきに抑えるこが可能。
中央
絞り開放から非常に良好ですが、軸上色収差の影響かハイライトに色ずれが見られます。極端なコントラストではF2まで絞っても色づきがあり、F2.8でほぼ解消。ベストを尽くすのであればF4まで絞ると良いでしょう。
周辺
中央とほぼ同じ結果。像面湾曲の影響は見られず、絞れば目に見えて画質が向上します。F2.8の段階で十分良好ですが、ベストを尽くすのであればF4あたりがピーク。
四隅
周辺減光が強いので補正必須。補正したとしても、隅はコマ収差などの影響で中央や周辺と比べてかなりソフトな結果。絞ると徐々に改善しますが、隅の端まで良好な結果を得るにはF4まで絞りたいところ。F5.6で少し改善しますが、以降に大きな変化はありません。倍率色収差の影響が少し残っています。
まとめ
安くてコンパクトな35mm F1.4として、より酷い結果を予想していたのですが…。意外にも悪くない結果が得られました。もちろん、F1.4では軸上色収差やコマ収差の影響で最良とは言えず、風景や天体用の大口径レンズとしては不適。しかし、F4くらいまで絞ると隅の端までシャープな結果を得ることができます。絞れば性能がぐんぐんと伸びる印象。細部にこだわらなければF1.4から実用的な画質。点光源(人工灯や木漏れ日など)が多いとコマ収差が目立つかもしれませんが、屋外日中であれば気になるシーンは多くありません。35mmでベストなレンズとは言えないものの、価格やサイズとのバランスが「ちょうどいい」と感じる人は多いのではないのかなと思います。
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