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ニコン Z 8 徹底レビュー Vol.3 ダイナミックレンジ編

ニコン「Z 8」のレビュー第三弾を公開。今回は3種類のRAWでそれぞれ暗部や明部をRAW現像時にどれだけ復元できるか確認しています。

Z 8のレビュー一覧

ダイナミックレンジ

一定の光条件(NANLITE Pavotube 6C II CCT 100% 5600K)における適正露出(1/3s F5.6 ISO 64)を基準として±5EVで計10枚を撮影。撮影後にAdobe Lightroom Classic CCを使用して適正露出に戻してRAW現像した結果を比較します。

ロスレス圧縮RAW

Z 8で最も圧縮率が低い(ファイルサイズが大きい)RAW形式。この場合、ハイライトは+3EVまで良好な状態を維持しており、+4EVから白飛びの影響が出始めています。同環境でテストしたソニー「α7R V(6100万画素)」と比較すると白飛びするのが少し早め。

シャドーは+4EVの増感まで問題なく復元可能。+5EVの場合まで像感すると部分的にノイズが目立つようになります。シャドーの結果はソニーと同程度。全体的に見て良好なダイナミックレンジを備えているように見えます。

高効率★RAW

ロスレス圧縮RAWと比べてファイルサイズが半分になる高効率★RAWをチェック。少なくともハイライト側の白飛び閾値はロスレス圧縮RAWと同程度に見えます。シャドーにも大きな変化は見られませんが、ダイナミックレンジの本当に端の部分が少し狭くなっているように見えます。(後述)

高効率RAW

白飛びの閾値は前述2形式のRAWと同じ。シャドウは高効率★RAWよりもごくわずかにノイズが増加するものの、ほとんど気にならないレベルに抑えられています。

Z 7との比較

参考までにZ 7のロスレス圧縮RAWの結果を掲載。Z 8とほぼ変わらないパフォーマンスを発揮しています。

本当に違いは無いのだろうか?と言うことで、-5EVのアンダーで撮影した撮影結果からさらにシャドウを+100底上げした結果が以下の通り。

この場合はZ 7と比べて少しノイズが多め。とは言え、RAW現像で極端な増感・補正をかけなければこの差に気が付くことは無いでしょう。

参考

α7R V 非圧縮RAW

Z 7 非圧縮RAW

EOS R8 RAW

まとめ

高解像で読み出し速度を強化した積層型CMOSセンサーですが、ダイナミックレンジは従来機に近いとても良好なパフォーマンスを発揮。また、Z 8の公式ウェブサイトや仕様表、説明書を読む限りでは連続撮影におけるRAWのパフォーマンス低下(他社では14bit RAWから12bit RAWになる場合あり)は無いようです。20コマ秒の高速連写でデメリット無しのRAWが得られるのは魅力的ですね。

他社よりハイライトの白飛びが僅かに早いものの、そのぶんシャドーのノイズはよく抑えられています。ハイライトを重視する場合は少し暗めに撮影して、RAW現像時に増感すると良いでしょう。パフォーマンスはZ 7と比べてもほぼ遜色なく、暗部の本当に暗い部分を強く持ち上げない限り問題はありません。これ以上が必要な場合は現行のフルサイズセンサーでは厳しいかと思います。フルサイズよりも大型のイメージセンサーを検討するか、HDR合成、ハーフNDフィルターなどの導入をおススメします。

高効率★RAWはほとんどデメリットなくRAWのファイルサイズをロスレス圧縮の半分程度まで抑えることが可能。個人的には高効率RAWも圧縮率を考えるとメリットのほうが大きいように見えます。

参考情報

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