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Mr.Ding Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II レビューVol.4 ボケ編

Mr.Ding Studio「Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II」のレビュー第四弾を公開。近距離では滲みを伴う柔らかい描写となり、中距離でもまずまず良好なボケ質に関してレビューしています。

Noxlux DG 50mm F1.1 E58 IIのレビュー一覧

おことわり

今回は2ndFocusより無償貸与の「Mr.Ding Noxlux DG 50mm F1.1 E58 II」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前ボケ

球面収差により滲むようにボケていきます。縁取りのない柔らかなボケですが、輪郭がなくなるまでの(ピント位置からの)距離は少し長め。この滲むボケにより、F1.1におけるピント合わせの難しさは緩和しているように感じます。(解像度が高くボケも硬い場合、ピントが外れるのが分かりやすいため)

後ボケ

後ボケとは打って変わって非常に硬いボケ質。2線ボケの兆候が見られ、残像のように背景の情報が残ります。前ボケがフレームに多く入る場合はF2くらいまで絞るのがおススメです。(収差編で解説)

玉ボケ

口径食(ヴィネッティング)

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

玉ボケが大きい場合は滑らかで綺麗。ヴィネッティングは隅で目立ちますが、像高7割くらいは許容範囲内の形状を維持しているように見えます。色収差の補正状態は完璧と言えないものの、悪目立ちしない程度に抑えられています。ヴィネッティングはF2.8まで絞るとほぼ改善。絞り羽根が多く、しっかりと絞っても円形を維持しています。撮影距離が長くなる場合、収差の変動で縁取りがやや硬くなり、ヴィネッティングはより目立つ。ただ、この価格帯のF1.1レンズとしては健闘しているように見えます。

ボケ実写

至近距離

接写時の絞り開放は球面収差の影響もあり、後ボケが滲むように柔らかい描写。ここまで滲む必要はないと感じたら少し絞るのがおススメです。F1.4まで絞ってもあまり変わりませんが、F2まで絞ると球面収差を抑えることが出来ます。この状態でも多少の滲みがあり、柔らかい後ボケを得ることが可能。

近距離

撮影距離が長くなると、自然と球面収差が抑えられます。F1.1から十分なコントラストと言えるでしょう。それでいて滲むように柔らかく、線が溶ける後ボケが非常に綺麗。

中距離

さらに撮影距離が長くなるとボケ質はニュートラルに近づきます。滲みを伴う質感ではないものの、滑らかで綺麗な描写は健在。ヴィネッティングが目立つ場合はF2.8まで絞ると改善しますが、後ボケは少し硬めの描写となります。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。フレームに全身を入れるような撮影距離では球面収差が変動して2線ボケの兆候が見られます。状況によっては絞りで収差を抑えたほうが良いでしょう。上半身くらいまで近寄っても硬めですが、質感は若干改善。上半身やバストアップくらいまで近寄ると、打って変わって溶けるように柔らかい描写を得ることができます。

まとめ

端的に言えば、ボケに関してとても魅力的なレンズです。球面収差が程よく残っており、特に近距離では「夢のような」柔らかい後ボケを得ることができます。接写時はボケの滲みが強烈ですが、絞りによる調節が可能。スウィートスポットはピント距離が最短撮影距離から2mくらい。撮影距離が長くなると収差が変動して後ボケが硬めに。ただし、もともとF1.1の大口径なので、F2くらいまで絞っても十分なボケ量、被写界深度の浅さを実現できます。少し背景が騒がしいなと感じたら、積極的に絞ったほうが良い結果となるかもしれません。ミラーレスであれば、ヘリコイド付きのアダプターを使用することで、より短い撮影距離を実現できます。この際はさらに球面収差が強くなり、溶けるようなボケを得ることが可能。滲むようにボケるので、F1.1でもピント合わせに苦労しないのは予想外でした。

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