悩めるオリンパスのレンズ選び
機材道楽的に手持ちのオリンパス系機材が行き詰っている。それは何故か?
他でもない「M.ZUIKO ED 12-100mm F4 IS PRO」が他のレンズの購入意欲を削いでいる。
〇解像力をチェックすれば単焦点並みの抜群な性能。
〇さらにハイレゾショットを使うとフルサイズ顔負けの高解像な描写性能に仕上がるレベル
(参考:E-M1 IIのハイレゾとPENTAX K-1のリアレゾを比較する)
(参考:12-100 PROと30mm F1.4 DC DNを撮り比べる)
(参考:12-100 PROと40-150 PROを撮り比べる)
〇ボケはこれだけ綺麗なら別に単焦点が必要ないレベル
(参考:ED 12-100 PROレビュー)
〇強烈でインパクトのある手ぶれ補正にハーフマクロを超えるクローズアップ性能。
〇これらの光学性能をコンディション選ばずに使うことが出来る防塵防滴仕様にL-Fnやフォーカスクラッチ機構など操作面の充実。
褒めちぎるところばかりで「レンズこれだけでいいんじゃなかろうか…」とついつい思ってしまう。しかし、それで完結していまうと”レンズ交換式カメラ”のアイデンティティを奪ってしまう事になりかねない。
そこで今回は”あえて”12-100 PROの短所をひねり出す事で”12-100 PROに不足するもの”を補うための更なるレンズ投資へ足掛かりを見つけていきたいと思います。
ひねり出す短所
写り過ぎる!
球面収差がとても良好に補正されており、絞り開放からスッキリ写るレンズです。お陰様で2線ボケの出ない非常に美しいボケ味。その他収差の補正も良好過ぎる程で、とても高倍率ズームとは思えない写り。
ボケ量は少ないですが、ボケ味はとても滑らかで一級品と言っても過言では無いでしょう。
おっと、描写について話始めると褒めちぎる事になるのでこの辺で止めておきます。
滲みが無い、滲みが出せない
絞り開放からヌケが良くクリアに写るので、「柔らかい描写」を光学性能的に得難いレンズと言うこともできます。
「便利ズームで柔らかい描写が必要か?」と言うとそうでも無いのですが、このレンズでは難しい表現に違いありません。
スッキリした写りのレンズばかり使うと、”たまには”柔らかい描写が恋しくなるのです
玉ボケの粗が見える場合もある
また、球面収差が良好に補正されている代わりに玉ボケに波紋が生じる場合があります。全体的に高輝度の写真では目立ちませんが、例えばイルミネーションの玉ボケを大きく写したりすると球面レンズの粗が見えるかもしれません。(ブログに掲載するサイズだとあまり目立ちませんが…)
レンズが暗い!(開放F4)
ボケ量が少ない
特に12?50mm程度の焦点距離で「ボケが足りない」と感じるかもしれません。
この焦点距離の間には「標準ズームで広角側がF3.5」だったり「安価な単焦点が充実」しているので、比較的安価にボケを作り出すことが可能な領域です。
そういう意味では12-100 PROは10万円のレンズながらボケを作り出すことが苦手なレンズと言うことが出来ます。(もちろん接写すればボケは大きくすることができますが、それは他のレンズにも言える事です)
暗いレンズである
高感度を使う機会が増える
このレンズはどんなに頑張っても、F2.8やF2.0にはなりません。レンズの明るさを意識させられるシーン(やや暗めでシャッタースピードを稼ぎたい被写体:例えば屋内スポーツなど)には不向きと言えるでしょう。
”撮る事ができない”という訳ではなく”高感度を使うのでノイズが増える”というデメリットが発生します。1段分でも感度を下げて高品質な画像を求めるのであれば明るいレンズを選択する必要が出てきます。
暗所・NDフィルター時のAF性能が明るいレンズに劣る
さらに明るいレンズよりもAF性能が低下する(性能が左右されるようなローライトな環境において)のも一つのポイントです。これは暗いシーンだけでなく、「濃度の濃いNDフィルターでどこまでAFが使えるか」ということも言うことが出来ます。E-M1 Mark IIではF1.4のレンズであればND500でも難なくAFが可能ですが、F4の12-100 PROでND500のフィルターは場所によってAFがシビアなシーンが存在します。
反面、光学性能で唯一気になる点はこの”暗さ”だけ。例えば強烈な手ぶれ補正でスローシャターが使えるシーンや、そもそもスローシャッターによるブレの表現をする場合には特に気になる問題ではない。唯一”動体を高画質で捕捉する”という点のみ妥協出来ればそれ以外の不満が出てこない。
このポイントで代案となるレンズ
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
- M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8
- M.ZUIKO DIGITAL 45mm F1.8
- M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
レンズが1段明るい大口径ズームレンズか、2段?3段明るい単焦点レンズ。違いを出すならやはり単焦点をメインに考慮するべきでしょう。
25mm F1.2や45mm F1.8は競合レンズが多いので要検討ですが、75mm F1.8はライバル不在の際立った性能のレンズです。これで防塵防滴だったら即お買い上げなのですけども…。
サイズがでけえ!
マイクロフォーサーズの高倍率ズームとしてはサイズが大きく感じるものの、スペックを考慮すると妥当な大きさではあると思います。
しかし、PEN系やGM/GF系と組み合わせると明らかにバランスがおかしく感じる。特にGM1Sと組み合わせるとレンズに四角いキャップがくっついている印象。追加グリップを装着することで幾分かホールディング性が向上します。
と言っても片手でカメラを扱いたい時にはサイズが大きすぎる。そんな時は12-40 PROやスナップ系単焦点レンズが恋しくなるのです。
このポイントでおススメするレンズ
同じ高倍率ズームの14-150 IIは防塵防滴仕様で尚且つ1.5倍も焦点距離が長いです。PROレンズほどの堅牢ではありませんが、携帯性に優れており一つの選択肢と出来るでしょう。12-100 PROを持っているならば、さすがに買い足しませんが…。
光学倍率は落ちますが、やはり携帯性の面から12-40 PROは魅力的。防塵防滴や深度合成に対応しているのも隠れたポイントですね。
価格がたけえ!
「F4の高倍率ズームに12万円」
確かにこれまでのマイクロフォーサーズ用高倍率ズームと比べるとかなり高めの価格設定です。とは言っても、この描写性能と機能性を考慮すると「安いくらい」と感じるのです。
価格で迷っているなら、迷っていた時間に後悔するレベル。
ただし、単焦点レンズメインでマイクロフォーサーズを運用している方やPENやGMなど小型ボディのユーザーはよく考えた方が良いかもしれません。特にサイズ的な意味で。
このポイントでおススメするレンズ
倍率は落ちますが12-50mm EZは2017年現在で非常に安価で手に入れる事が可能です。それでいて防塵防滴・高いクローズアップ性能を持っています。「画質に拘らなければ」十分おススメできるレンズ。私もE-M1で使っていました。
メインは単焦点レンズでズームレンズは非常用と割り切るなら持っておいても損はしないでしょう。12mmの画角をこの値段で手に入れる事が出来るのは貴重です。
12-100 PROの解像力を出し切るには1600万画素では物足りない!
1600万画素のカメラには12-100 PROの解像力はややオーバースペックな感じ。
もちろん周辺まで安定した描写や効き目の良い手ぶれ補正を求めるなら12-100 PROはおススメできるレンズです。手持ちの1600万画素であるGM1Sでもその性能を遺憾なく発揮するものの、2000万画素の解像力を味わってしまうとちょっと物足りない。
12-100 PROを組み合わせるなら、是非とも2000万画素のマイクロフォーサーズと組み合わせたいところ。
このポイントでおススメするカメラ
- LUMIX DMC-GX8
- LUMIX DC-GH5
- OM-D E-M1 Mark II
- PEN-F
- OM-D E-M5 Mark II(ハイレゾ)
この中で最も安価に手に入れる事が出来るのはLUMIX DMC-GX8。他が20万円超えだったり10万円台であったりする事を考えると解像力に対してのコストパフォーマンスは高い。E-M5 IIもハイレゾショットを使う事で12-100 PROの持つ潜在性能を引き出すことが可能。
今回のED12-100 PROのおさらい
- 解像力は抜群でボケ味は一級品で開放から写り過ぎるほどの描写
- 玉ボケは非球面レンズの影響を受けている
- ボケ量は単焦点レンズや大口径ズームと比べて絶対的に劣るが、近接や望遠域を使う事で増やすことが可能
- 暗所やNDフィルターを使った際のAF性能が明るいレンズに劣る
- 動体撮影をするときは高感度に強いカメラを使用する(E-M1 IIやGH5など)
- サイズが大きい点はレンズへの愛情と追加グリップでなんとかする
- 描写性能や使い勝手・機能性を考慮すると価格が高い訳ではない
じゃあ結局何を買い足せばいいのか?
やはり「大きなボケ(広角?標準)」「柔らかい描写」を起点として考えるのがベター。「F値が暗い」と言うのは個人差があるので要検討。1段差の大口径ズームにメリットを見出すか、数段差のあるF1.4やF1.2クラスの単焦点レンズを手に入れるか…。玉ボケの美しさも考慮すると大口径単焦点が妥当な選択肢。
私なら25mm F1.2 PROか、75mm F1.8。
また、携帯性の点からスナップ系の手軽なレンズもそろえていきたい考えると…
そういう場合には「17mm F1.8」とか「12mm F2」あたりが候補。ただ、E-M1 Mark IIのサイズなら12-100 PROでいいじゃん、となっちゃいますけども…。PEN系やE-M5後継モデルを見越してスナップ系レンズを導入するべきか否か…。
実は最大の問題はボディ
E-M1 Mark IIにED 12-100 PROをくっつけると外したくないのですよね。
真剣にボディを買い足さないといけない境地。今更1600万画素のカメラでは我慢できない体になってしまった。一番安価な2000万画素機はDMC-GX8。しかし、言ってM.ZUIKOで揃えたレンズ群にLUMIX機もなぁ…。
う???む…
E-M1 Mark IIを買い足すか?買い足しちゃうのか?(金銭的な問題)
それともE-M5 Mark IIIを待つか?待てるのか?(理性的な問題)
今回話題にしたレンズの購入早見表
高倍率・標準ズーム
単焦点レンズ
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