このページではオリンパス製ミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark III」のレビューを掲載しています。
連載6回目はカメラのダイナミックレンジについてチェックしています。
撮影環境
メモ
- OM-D E-M1 Mark III
- M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
- Leofoto LS-365C+Leofoto G4
- ミニスタジオで光量を一定にして撮影(LED)
- Adobe Lightroom Classic CCでRAWを現像
- 現像時に中央領域をクロップ
- Adobe Photoshop CCでクロップした画像を合成
ISO 200
通常撮影
メモ
「アンダー5EV」から復元するとシャドウ領域のノイズが多く、正確な色再現が出来ていないことが分かります。「アンダー4EV」でも僅かにノイズの影響を受けています。アンダーの復元は極力3EVまでに抑えておくと良い感じ。
ハイライトは「オーバー2EV」まで良好に復元可能。「オーバー3EV」になるとハイライトの一部領域が白飛びしてしまうので注意が必要。
ハイレゾショット
メモ
通常撮影時と比べて「アンダー5EV」復元時のノイズが綺麗さっぱり解消しています。僅かにノイズの影響は残るものの、許容範囲内の画質と感じます。ハイレゾショットはノイズ低減効果によってダイナミックレンジの実用範囲を拡張できると言って良いでしょう。
ただし、白飛びしてしまうハイライトでの効果は期待薄。許容値は通常撮影時から変化ありません。シャドウ復元時のノイズに強くなるため、ハイライト側に露出を合わせるも一つの手。
後日掲載予定ですが、ハイレゾショット時のダイナミックレンジはフルサイズに近い実用域を持っているように見えます。
ISO 200 通常撮影:ハイレゾショット
ISO 64
通常撮影
メモ
ISO 200と異なり「アンダー5EV」を復元してもシャドウ領域にノイズが発生しません。シャドウ領域が広かったり、シャドウの描写を重視する場合はISO 64を使うのも一つの手と言えるでしょう。
ただし、ハイライト側はISO 200と比べて1段分ダイナミックレンジが狭くなります。とても白飛びしやすいので注意が必要。
ハイレゾショット
メモ
通常撮影でも強いシャドウ回復が、ハイレゾショットを使うことで全く問題なくなります。大部分の状況でこれ以上の復元力が必要とは感じないほど。
やはりハイライトは白飛びしやすく、許容できる復元は「オーバー1EV」まで。後処理がとても厳しいので使用時はハイライトの状態に注意したいところ。
ハイライトの露出をしっかり決めたうえでハイレゾショットで後処理すると編集しやすいかもしれません。
ISO 64 通常撮影:ハイレゾショット
ISO 200:ISO 64
OM-D E-M1Xとの比較
メモ
同じセンサーのはずですが、ISO 200のシャドウ回復に差があります(ハイライト側は同じ)。E-M1XはRAWの段階で不自然な色被りが処理されているのでしょうか?(ノイズ量は同じように見えます)
僅かな差ですが、ダイナミックレンジを重視する場合はE-M1Xのほうが優れた選択肢と言えるかもしれません。
ISO 64はほぼ同じパフォーマンス。しかし、ISO 200の結果を考慮するとE-M1Xがシャドウをより良好に復元できる可能性があります。
ISO 200
ISO 64
ダイナミックレンジテストの雑感
満足度:85点
基本的にはいつも通りのマイクロフォーサーズ。フルサイズと比べるとダイナミックレンジが少し狭く、特にシャドウ側を大きく回復するとノイズが発生しやすい。小型軽量で機動力の高いシステムですが、露出は後処理に頼らず現場でしっかりと露出を煮詰める必要あり。小型レンズが多いので、安くて小さなハーフNDで補うのもアリ。
さらに、ハイレゾショット(三脚・手持ちどちらも)やライブNDを使うことでノイズ低減効果が期待できます。高いシャドウ復元力を活用しない手は無い。
しかし、E-M1Xとシャドウの復元にパフォーマンス差が発生しているのは意外でした。これは何が原因だろう?
まぁ、ここまでシャドウを復元する機会はそう多く無いうえ、シャドウが必要な場合はISO 64やハイレゾショットを使えば問題無いと思いますが…。
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