OMデジタルOM SYSTEM OM-1 Mark II」のAFについて実写体験をもとに思うところを色々と書いてみました。やはり前モデルから改善を実感できるシーンは限定的で、価格差を考慮するとOM-1で十分な場合も多いように感じます。定量的なAFテストについてはコチラのレビュー記事を確認してください。
Index
OM-1 Mark IIのレビュー一覧
- OM SYSTEM OM-1 Mark II AFレビュー 実写編
- OM SYSTEM OM-1 Mark II オートフォーカス性能を確認する
- OM SYSTEM OM-1 Mark II 手振れ補正とバッファの性能を確認する
- OM SYSTEM OM-1 Mark II ファーストインプレッション
システム
できることは間違いなく増えた
性能や操作性はともなく、AFシステムとして出来ることが増えています。「人物の検出」「シングルターゲットエリアからの全域検出追従」「ボタンごとに被写体検出AFの有効/無効」などなど、OM-1をはじめ古い機種では対応していなかった機能が追加されています。
使い物になるか、使いこなせるかどうかは別問題としても、「0」が「1」になったのは評価できるポイントだと思います。
複雑化するAFシステムに対して操作性が追い付いていない
これは他社にも言えることですが、高機能化するAFシステムに対して、カメラの操作性が追い付いていません。細かい設定のためにはメニューを開く必要があり、現場で設定を切り替えながら使うことができません。
例えば検出時の追従特性を「ターゲットエリア」から「All」に切り替える際、追従感度の変更、ターゲットエリアの変更で専用モードへ移行するなど。撮影のテンポが崩れると感じる操作が多いです。特にOM-1 Mark IIは操作するボタン・機能が多く、取捨選択が重要。そろそろカスタマイズ可能で素早く設定を呼び出せるFnメニューが欲しいところ。
Fnレバーの自由度が拡張が急務
Fnレバーで切替が可能となっているのはAFモードとターゲットエリアの種類、位置のみ。前述したように素早く切り替えたい項目が複数あるのに対し、現在のシステムでは対応していません。被写体検出の切替、検出時の追従範囲、フォーカスリミッター、ドライブモードなどなど、利用したい機能はいくらでも存在します。
カスタム枠が不足している
(前述の状況から)結果的に4枠しかないカスタムモード枠を駆使して、設定を素早く切り替える必要があります。カメラを使う用途が限定されるいるのであれば、4枠で問題ないかもしれません。しかし、風景撮影・物撮りなどでも利用する場合、当然ながら枠が足りません。
ソニーやパナソニックのように、末尾のカスタムモードについて増設できる枠があると良かったです。(例えば、G9 IIはカスタムモード3に合わせた場合、電子制御で3系統の設定を記憶・呼び出すことができます)
AF速度
レンズ次第で超高速
従来通りとなりますが、レンズ側のAF性能次第で超高速のAFを利用できます。代表的なレンズで言うと、デュアルVCMを採用する「M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO」。AF-Cと組み合わせると非常に高速で、ピント移動距離が少し長くても瞬間的にピントを合わせることができます。
他社と比べてもトップクラスのAFスピードだと思いますが、カメラ側の性能が重要となる追従時の精度が足を引っ張る可能性あり。また、前景や後景にピントが抜けるのも一瞬です。
低照度でも安定感がある
大型センサーに太刀打ちできるとは言いませんが、LUMIX G9 IIと比べると安定感があります。また、小型軽量で手ごろな価格、そしてバランスの良い光学性能の単焦点レンズが多い。明るいレンズを利用することで、低照度AF性能の底上げを図るのも一つの選択肢。ISO感度画質も含めて、屋内や低照度で大型センサーと張り合うなら、単焦点は必須と考えています。
検出性能
瞳・顔の精度は良くなった
特に鳥類に対して、瞳や顔の検出精度は良くなったと感じています。途切れる時は途切れますが、被写体をクローズアップしていれば、再度捕捉する可能性が高い。顔や瞳の検出時は検出枠が小さく、前景に引っ張られる可能性は大幅に低下しています。OM-1で不満だったポイントなので、だいぶ良くなっていると感じます。
胴体検出時は前景引っ張られる&瞳に合わない
顔や瞳が検出できない場合、検出は胴体に切り替わります。この際は検出枠が広く、枠内にある最も手前の物体にピントを合わせて追従する傾向があります。枠内に被写体のみが存在する際は問題ないものの、前景がある場合はピントが引き寄せられる可能性あり。状況によっては、被写体ロスト時でも粘り強く、前景に引っ張られず、ピント位置を維持しているようにも見えます。ただ、これは「粘っている」というよりも「見失って固まっている」と言った印象が強く、検出ロストの時間が長い場合は動作が不安定。鳥は検出が安定しているものの、羽ばたく瞬間に大きく羽根を広げると検出が途切れる場合があります。この際にロックが外れたり、被写体の乗り移りが発生する可能性あり。
被写体ロックが手間なうえに効果が薄い
検出時の被写体をロックする機能が追加されています。専用機能を特定のボタンに割り当てる必要があるものの、複数の被写体が混在する場面で有効。ロックした際は検出範囲が自動的に「全域」となるので、不規則で激しい動きの被写体を追いかける際にも有効です。
ただし、被写体ロック時でも検出が外れると無力。また、ロック時に検出が外れた場合、他の被写体に乗り移ってロックを継続する場合があります。この際はロックを解除する動作が必要となります。なにも考えずにロック機能を多用するのは避けたほうが良いでしょう。
人物瞳・被写体選択が面倒
複数の被写体がフレーム上に存在する場合、捕捉したい被写体を指定する必要があります。ターゲットエリアが狭い場合、追従したい被写体にターゲットエリアを合わせることで調整することが可能。全域、ターゲットエリアで指定できない場合、「被写体ロック機能」を使いつつダイヤル操作で切り替えることが可能。
しかし、この被写体ロック機能は任意のボタンで機能を呼び出す必要があり、被写体の選択はボタンを押しながらダイヤル操作となります。被写体選択後は自動的に「被写体ロック」状態となり、追従範囲が「全域」に固定されてしまうのも悩ましいところ。
また、人物の瞳選択は従来の「事前に設定」する形式から被写体ロックに統合されています。このため、瞳検出時に左右の瞳を選ぶ際も同様の操作が必要。
C-AF性能
応答性は良いものの、被写体検出が伴わない
積層型CMOSセンサーと最新のTruePic Xプロセッサの組み合わせにより、応答性はOM製品の中で最も良好。至近距離で瞬間的に動く被写体にも食い付こうとする気概を感じます。ただし、被写体検出モードでは動作が不安定。検出し続けることが出来る場合は強力ですが、誤検出や一時的な検出外れでピントを正確に合わせ続けることが難しい場合も多い。
特に被写体検出が外れた場合、その場でフォーカスが固まる傾向があり。別のトラッキングAFにシームレスで切り替わり、アシストすることはありません。通常のターゲットエリアC-AFを使った動作で復帰するまでに若干のタイムラグが発生します。
被写体検出が途切れやすいシーンでは、被写体ロックなども役に立ちません。このような場合は検出をオフにして、昔ながらの1点AFを利用する必要があります。(C-AF+TRという選択肢もありますが、動作はかなり不安定)
さらに被写体をロストした場合は手前にピントを合わせ続ける傾向があります。他社も完璧とは言えませんが、OM-1 Mark IIほど偏ってはいないように感じます。このようなミスショットでは連写時のカットが全て不要となる場合もあり、一連のカットをグループ化して一括削除できる機能も欲しいところ。
有効な対策は、被写体検出がロストしない方向からクローズアップして追従し続けること。適切な焦点距離のレンズとフレーミングが重要となります。素早く、不規則に動く被写体をフレームに収め続けるのは難易度が高く、「初心者でも簡単に動体が撮影できるカメラ」とは言えません。
必要な時以外はC-AF
「確実に被写体検出が動作する」と自信を持って使う時以外はオフにしたほうがストレスが溜まりません。一眼レフのような使い勝手となりますが、応答性は良好で、特に近距離での撮影で効果的。「え?そこで外すの」というミスショットもなく安定感があります。
個人的には常用するシャッター半押しAFは「被写体検出が動作しないモード」に設定し、AF-ONを使った場合に「被写体検出が動作するモード」に設定して補助的に使用しています。
まとめ
以前から言及しているように、瞳・顔検出は体感できるほど改善しています。(複数の被写体が写りこまないように)クローズアップして、被写体の瞳を捕捉し続けられるのであればOM-1 Mark IIに乗り換える価値があると言えるでしょう。
画角の狭い望遠レンズで、被写体を適切にフレーミングし続ける必要があります。また、状況に応じて被写体をロックしたり、ターゲットエリアを変更したりなど、複数のカメラ操作に慣れる必要があります。お作法が必要なカメラであり、おススメし辛いというのが正直なところ。
システムサイズが小さく携帯性が優れており、AFスピードは超高速。相性の良い被写体であれば、しっかりと瞳を捕捉して撮影することができるはず。さらに最大50/120fpsの高速連写を含めると、30万円以下の価格で手に入れることができるカメラは他にありません。全体的に見て「OM SYSTEMだからこそ」撮れるシーンもあることでしょう。
いっぽう、検出が途切れやすかったり、複数の被写体が写るようなシーンが多い場合はフラストレーションがたまるかもしれません。今後の課題は「被写体の乗り移り」「検出が外れた際の挙動に設定」などかなと。また、AF動作が不安定な時に、これをカバーする操作が複雑かつ洗練されていません。決して悪くないカメラだと思うのですが、OM-1からOM-1 Mark IIに乗り換えたことで「撮れるようになった」と感じるシーンはかなり限定されます。野鳥シーンでは効果を実感しやすいかもしれませんが、被写体が密集するシーン、検出が不安定な被写体、などでは課題が残されています。
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